映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『毛皮のヴィーナス』
2014年12月19日 (金) | 編集 |



毛皮のヴィーナス(2013)フランス
英題:Venus in Fur
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エマニュエル・セリエ/アマルリック
日本公開:2014/12/20
舞台『毛皮のヴィーナス』のワンダ役のオーディションが行われたパリのシアターでは
脚本家で演出家のトマ(マチュー・アルマニック)が散々の結果に疲れ、会場を後にしようとしていた。
そこにやってくるのがエマニュエル・セニエ演じる女。
彼女は役名と同じ「ワンダ」と名乗り、オーディションを受けさせて欲しいと懇願する。
まるでその気のないトマだったが、しぶしぶ脚本読みに協力することになり・・・



今週末から日本公開になるロマン・ポランスキー新作の『毛皮のヴィーナス』。
オーストリアの作家ザッヘル=マゾッホの原作を基にしたブロードウェイの舞台劇の映画化だそうです。
このマゾッヒさんという名前がマゾヒズムの言葉の由来になってるとご存知の方も多いでしょう。



登場人物はマチューさんとセニエ嬢の2人のみ。
2人劇で退屈かしらと思いきや、なんのなんの。2人の演技力もあって大変面白い作品に仕上がっております。



まず、セニエ嬢のこのいでたちがいいでしょ。首には犬の首輪(笑)
何故か台本まで持参しているワンダは、脚本から作品をサドマゾポルノと解釈し、この格好でやってくる。
ポルノ呼ばわりされトマは激怒するものの、台詞を読み始めたワンダが北島マヤなみの変わりようを見せることに愕き、彼女から目が離せなくなるんですね。それは観客も同じこと。
そもそも、ワンダは何故台本を手にし、しかも台詞もキャラクターも知り尽くしているのか等、彼女に関するミステリーにも引き込まれるわけです。

幼少時代をゲットーで過ごしたり、自身が投獄されるなどの暗い過去が影響してか、ポランスキーは壁に囲まれ身動きが取れないようなシチュエーションを映画にすることを好む監督です。
しかし壁は打ち破るためにあるもの。
今回はトマが徐々に自分の性を開放させていくところがポイントですね。
適度な緊張とエロスとユーモアを保ちながら、次第に立場を逆転させていく2人。
マチューさんに後半大いに笑わせてもらいました。首輪や靴もいい仕事します(笑)

ミステリーが明かされたかと思いきや、あえて謎を謎として残すことで
クリスマスの贈り物的なファンタジーが加味されたように思います。

って、無理矢理ですが(笑)
今日の一曲はアベンジャーズからクリスマスキャロルのプレゼント
ウケるのでぜひ見てみて~w




チャイナタウン
2013年05月12日 (日) | 編集 |




 

チャイナタウン(1974)アメリカ

原題:Chinatown
出演:ジャック・ニコルソンフェイ・ダナウェイジョン・ヒューストン、 バート・ヤング、 ペリー・ロペス、 ジョン・ヒラーマン、 ダレル・ツワリング 、 ダイアン・ラッド


1930年代のロスアンゼルスを舞台に、私立探偵ジェイク・ギテスが、水の利権をめぐる陰謀に巻き込まれていく様を描く。
ロマン・ポランスキーの珠玉のフィルムノワールです。




 私立探偵ギテス(ジャック・ニコルソン)はダム建設技師の妻と名乗る女性から夫の浮気調査の依頼を引き受け、若い女と密会する写真を撮ることに成功。ところがこれが何故か新聞に掲載され、怒った本物のモーレイ夫人(フェイ・ダナウェイ)がギテスの前に現れる。最初の依頼者は偽者だったのだ。しかもモーレイはその後溺死体となって発見される。何かの陰謀を察知し、モーレイ夫人に接近するギテスだが、彼の周りで新たな殺人事件が起こり、ギテス自身も命を狙われることになる。

砂漠に作られたロスは、水の供給がなければ市民生活はなりたたないことから、貴重な水をめぐる汚職が生まれる。ジョニー・デップが声を担当した『ランゴ』もそうだったな。
かつてはロスのチャイナタウンで警察として働いていたギテスは、そこで事件にのめり込んだあげく傷ついた過去を持つ。チャイナタウンにはチャイナタウンのルールがあり、よそ者の介入を許さない。けれど、ギテスはまたしても女にのめり込む。同じ失敗を繰り返すことになるのに・・

真実を追究しようとしながらも巨大な陰謀を前に無力感を噛み締めるしかないギテス。
ニコルソン悲痛な表情が、ジェリー・ゴールドスミスの退廃的なメロディに被さるラストシーン
鳴り続けるクラクションが哀しく響き、なんとも言えない虚無感に襲われ忘れられないものがありますね。
30年代の時代を再現する美術も見事です。

ちなみに、モーレイ夫人の父親を演じているのは、ジョン・ヒューストン監督だったんですね。

ポランスキー自身も、ギテスを脅すギャング役で登場。
「こんなミジェット(小人)どこから連れて来たんだ」と言うニコルソンの鼻をナイフで切り裂くシーンはリアルでビビったわ。


劇中フェイ・ダナウェイがカクテルを注文するシーンで言う「トムコリンズをライムで」。
これいつか真似してみたい!!

 

■トラックバックいただいてます

Tracked from CINEmaCITTA&.. at 2013-05-11 00:51 x

タイトル : チャイナタウン
久しぶりに蔵出しビデオで観ました。 この時代の映画は個人的な思い入れが強い作品が揃っていまして、この映画もその一作なんです。 『ローズ・マリーの赤ちゃん』 のヒットで一躍人気監督となった ロマン・ポランスキー監督 のハードボイルド・ミステリーといったら言いのでしょうか。 ジャック・ニコルソン が私立探偵ジェイク・ギテスに扮した名作の一本。 相手役は、これも当たり役、ミセス・モーレイ演じる フェイ・ダナウェイ です。 【チャイナタウン】 CHINATOWN 1974 ......more



袋小路
2012年03月23日 (金) | 編集 |

袋小路
1966年(イギリス)
原題:CUL‐DE‐SAC
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ドナルド・プレザンス、フランソワーズ・ドルレアック、ライオネル・スタンダー、ジャクリーン・ビセット

【ストーリー】
中年でハゲ上がった頭の特異な風貌の男と、若いが変に物憂げな女との妙な夫婦が新生活を営むため、全財産を投げうって古城に移り住む。海に囲まれ、孤立したこの城に、逃亡中のギャングが侵入したことから、平穏に見えた二人の生活は、ことごとく、覆されるのだった……。(映画.comより)




ポランスキー繋がりです。

古城に住むのは若く美しい妻テレサと、彼女に不似合いな中年の夫。
テレサはすでに近所の若者と通じていて
ネグリジェを着せられ笑いものにされても妻を叱れないような
優しいだけの夫にはすでに愛想をつかし、孤独を感じている様子。
そんな時に逃亡中のギャングがやってくるのですが・・

なるほど、タイトルは袋小路。
夫に愛情を感じられなくなった妻テレサも、
妻との暮らしに賭けるしかない夫(ドナルド・プレザンス)も
ミッションに失敗した手負いのギャング(ライオネル・スタンダー)も
思えばみんな何かを待ちながら、古城=袋小路で立ち往生する同志。

この袋小路から抜け出せるのは誰なのか。
ってわけですね~。

ポランスキー初期の作品だけど、
ギル・テイラーの撮影によるモノクロ映像はドヌーヴの『反撥』に通じるところがあり
下から見上げるアングルが、観るものを不安にするような怖さがある。
主演の美女もカトリーヌ・ドヌーヴ似で、ポランスキーの好みなのねぇと思ったら
なんと、ドヌーヴの姉フランソワーズ・ドルレアックだった。

サスペンス性を漂わせながらも、
段々にそれぞれの孤独が浮き上がってくるという作りが上手いね。
ギャングのオヤジが強面なのに、優しいところがあって、
テレサのことも、夫以上に理解するところとかもいい。

最後はそうか、そうきたか。

結局、どうしても抜け出せなかったのは二人、、いや一人かな。
切ないけど鮮やか。
地味だけど奥深い作品でした。






おとなのけんか
2012年03月22日 (木) | 編集 |



おとなのけんか
2011年(フランス・ドイツ・ポーランド)
原題:Carnage
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ワルツ、ジョン・C・ライリー
【ストーリー】
子ども同士のケンカを解決するため2組の夫婦が顔をあわせ、話し合いを始める。最初は理性的に進められていた話し合いも、時間がたつにつれ各々の本性がむきだしになり、やがてそれぞれの夫婦間にも不協和音が生じていく。(映画.comより)



舞台劇の映画化だそうですね。劇場を逃しDVDで観ました。
ジョディ・フォスタージョン・C・ライリーの息子が、ケイト・ウィンスレットクリストフ・ワルツ夫婦の息子にケガをさせられたってことで、ケイト&クリストフ夫妻がジョディ宅に話し合いにやってくる
その二組の夫婦のやり取りを室内劇で描いております。

ポランスキーがこんな会話劇?って驚いた作品だったけど、これ面白かったなぁ。
とにかく実力派の役者4人がそれぞれに上手い。
特に頑張ってたのは女性陣でしょうか。
裸体を披露せずに、ここまで素っ裸な演技を披露したケイト・ウィンスレットには
お疲れ!と肩をポンと叩きたいところだけど、
終わって肩を揉み揉みしてあげたいのはジョディ・フォスターやね。

被害者側の妻ペネロペを演じるジョディは、世界の人道的な問題も扱うライターという役どころ。
加害者の夫妻を目一杯のホスピタリティで迎えるものの
母親として、相手が息子にちゃんと謝ったかなんてことが気になるわけで
いくら笑顔を作ったところで内心穏やかでない。
それは冒頭、彼女がしたためた「報告書」の文章の一つの単語にも現れていて
「棒切れで叩いた」とだけ書けばいいものを、わざわざ「武装した」と書く。
加害者側の夫ヴァルツ演じる弁護士のアランに指摘され訂正するものの
ペネロペのこの隠された攻撃性と偽善者面は映画の鍵であり
終いには、彼女の不満の源は・・なんて話になってきて
こうなったらもう子供の喧嘩の話はどこへやら
まさに大人の喧嘩へとスケールアップしてしまうんですね(笑)

まぁ、勿論ジョディだけでなく、4人がそれぞれに本性を現していくところが
面白いところでもあるのだけど
みんなが壊れ始めるきっかけをつくるのがヴァルツさんにかかってくる仕事の電話。
携帯がなるたびに場が凍りつくもんだから、観てるほうはハラハラしながらもこれが笑える。
終わってみると、最初に感じた4人の印象は全員違ったものになっていて
自分の人物像の読みが覆されたところにもしてやられた感がありました。

さすがポランスキーやね。って
よく知らないのに言ってしまいたくなる自分がいましたw
ちなみに原題のcarnageは「修羅場」の意(笑)



ロマン・ポランスキー『テナント/恐怖を借りた男』
2010年04月16日 (金) | 編集 |




1976年(フランス/アンリカ)


■感想
世界の巨匠シリーズ後半戦のスタート
6本目となる今日は、ポーランド大統領専用機墜落に追悼の意を表し、
もうひとりのポーランドの巨匠ロマン・ポランスキー作品を。

ロマン・ポランスキー監督/脚本/主演。日本劇場未公開の心理サスペンスです。

ポランスキーが演じるのは、フランスの古いアパートに空き部屋をみつけたトレルコフスキー。
彼の借りた部屋は前の入居者(テナント)のシモーヌが、窓から飛び降り自殺を図ったばかりの曰く付き。
シモーヌは瀕死の重体となり回復の見込みなし。
大家は見切り発進的にトレルコフスキーに部屋を貸したのだった。
部屋にはまだシモーヌの持ち物が残されている状態
入居早々に友人がトレルコフスキーの部屋で入居祝いのパーティをしたことで、
アパートの住人から苦情がきた。大家からも次はないと釘をさされる。
物音に過剰に神経を尖らせるようになるトレルコフスキーの周りで不思議なことが起こり始め。。


この作品は外国人である主人公が、他人に気を使いながら暮らすうちに
周囲の人間が自分をシモーヌにしたて、自殺に追い込もうとしてるという妄想に駆られ始める様子を描くもの。

次第に神経を衰弱させていく主人公をポランスキー自身が好演していますが、
その妄想シーンがホラーチックでちょっと怖いんです。

これは監督が『チャイナタウン』のあと例のスキャンダルを起こし、
疲れ果てハリウッドを去ったあとに、フランスで撮った作品らしい。
スキャンダルの後は、彼を見る世間の目も変わったのでしょう。
一度偏見をもってしまうと、ポランスキーの全ての行動は変人に見えたかもしれないし、ポランスキー自身も人を信じることが出来なくなった時期でもあったでしょう。
全てを失い心を閉ざした監督の出した作品でもあると思いますね。

そんな時期に作品内で女装を披露するポランスキーは、ある意味潔し!
ポランスキー自身が主人公を演じることも、監督にとっては必然だったのかもしれません。

共演にイザベル・アジャーニ。監督には美味しいシーンも。