映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】フール・フォア・ラブ
2015年11月13日 (金) | 編集 |

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【作品情報】
フール・フォア・ラブ(1985)アメリカ
原題:Fool for Love
監督:ロバート・アルトマン
原作/脚本:サム・シェパード
出演:サム・シェパード /キム・ベイシンガー /ハリー・ディーン・スタントン /ランディ・クエイド/ マーサ・クロフォード

【ストーリー】
ニューメキシコ州モハベ砂漠に立つモーテルでひっそりと暮らす女メイ。そんな彼女のもとに、カウボーイ姿の男エディが現れる。愛憎をぶつけ合うエディとメイだったが・・

【感想】

老人の歩みでヨタヨタと進んでおりますシニア選手権(笑)
今日は『天国の日々』で気になって『ライトスタッフ』で惚れたサム・シェパードです。
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役者としても渋いところを見せてくれるシェパードさんですがもともと劇作家で
ベンダース作品などで脚本を手がけていることでも知られてますね。

本作も元はサム・シェパードが書いた舞台劇。
映画化に際し、シェパードは監督にロバート・アルトマンを指名し
アルトマンがシェパードを主演に起用したという一本です。


舞台となるのは、砂漠に建つ場末のモーテル

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そこにカントリーミュージックを鳴らしながらトラックがやってくると
キム・ベイシンガー演じるメイは必死に身を隠すのです。

一度は去ったトラックが再び舞い戻り、降り立った男エディを演じるのがシェパードさん
エディは窓からメイの部屋を覗き、やがてドアを破って力ずくで押し入る。

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頭を抱え、エディを拒絶したかと思うと、
次にはセーターを脱ぎ、指で唇を弄んで誘うようなしぐさをするメイ
しばし抱き合い唇を重ねる二人ですが、次の瞬間にはメイの膝蹴りがエディの股間を襲うというねw

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欲し合いながら拒絶しあう男女のやりとりを
古びたトレーラー・ハウスに暮らすハリー・ディーン・スタントンが眺めているという
不思議な光景が続くのですよ。

やがて、マーティン(ランディ・クエイド)という来客を迎えると話は一気に動き始め
エディとメイをこんな風にしてしまったのは、実はスタントンであると知ることになるんですね。


昨日、ゴミ屋敷といわれる家に住む人が市によって強制的にゴミを撤去されたというニュースを見て
外から集めて来てまで溜め込むのはどういうことなんだろうと不思議だったのだけど
もしかしたらこの映画のスタントンに通じるものがあるのかなと、ふと思う。

スタントンはスクラップに囲まれたクズのようなトレーラーハウスをねぐらとしていて
そのスクラップの中には、エディが事故ったバイクまであった
彼は自分に繋がるものを近くに置くことで、心を慰めていたのかなと
そんなことを思ったのですよ。

優柔不断という優しさから世捨て人になるしかなかったスタントンは
同じくシェパードが脚本を手がけた『パリ・テキサス』のトラヴィスに見えてくる。
世捨て人を演じさせたらスタントンの右に出るものはいないよねぇ。

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モーテルの住人の一組の母子は、かつてのメイと母親を投影しているのでしょう。
待ち人とともに車に乗ってモーテルを出た母子だけど
母子を車に乗せて立ち去る男とスタントンの目が合う瞬間
男は第二のスタントンであって、母子が舞い戻る確率は高いのではないかと思った。

終盤、求めても届かない愛と憎しみがぶつかり合うさまは、まさに舞台劇の迫力。
酒でごまかし口笛を吹き、飄々とすることで自分を保っていたスタントンだけど
繋がるものを無くした彼の、あれしかないというラストが切ない。

場末のモーテルの電飾、メイのドレス
乾いた映像の中の赤が印象的。
好きな映画です。


アルトマンの描く不思議世界『三人の女』
2012年11月21日 (水) | 編集 |

美女特集異端な作品になりますがw
今日は先日観たロバート・アルトマン『三人の女』があまりに面白かったので
みんなと感想を共有したいと思い、ここに書いちゃいます。




三人の女
1977年(アメリカ)
原題:3 Women
監督:ロバート・アルトマン
出演:シェリー・デュヴァル 、 シシー・スペイセク、 ジャニス・ルール、 ロバート・フォーティエ、 ルース・レルソン 、 ジョン・クロムウェル、 パトリシア・レズニック、 デニス・クリストファー


カリフォルニアの老人リハビリ施設にピンキーという娘がやって来て療養士の見習いとして働き始める。指導にあたったミリーは気どり屋で周囲から無視される存在だったが、ピンキーだけは彼女を慕い、やがて謎めいた絵を描く女の経営するアパートでルームメイトとして同居生活を始める。ある日、ふとしたことからミリーになじられたピンキーは自殺未遂し、以来人格が一変し・・。

1977年製作の作品ですが、今年になってソフトがリリースされたようですね。
これ不思議な映画だった~。




老人リハビリ施設での治療風景から始まる本作
映像に似あわぬこの不気味な音楽に初っ端から困惑。
するとカメラの移動した先にはキャリー顔のシシー・スペイセク
ホラーを髣髴とさせる物語の幕開けにおのずと期待が高まります。

テキサスから出てきたばかりのピンキーは、ホテルで寝泊りをしているのだけど、仕事から帰るやパンツを脱いで洗面台で洗う。服はミシンで全部手作りという実質のない不思議な暮らしぶり。

そんな彼女は教育係として仕事の指導をしてくれるミリー(シェリー・デュヴァル)を気に入り、ルームメイト募集にも申し込むのだけど、果たしてミリーに傾倒していくピンキーは、あることから自殺を図る。しかし意識が回復した時には、ピンキーはミリーも真っ青ないけ好かない女に一変してしまっているんですね。



ベルイマン『ペルソナ』にインスパイアされたという本作の本当の解釈は私にはわかりません。
『ルームメイト』のように、憧れのルームメイトの真似をするうちに、自分がその対象に一体化してしまうというのはありがちだけど、本作の場合、施設を訪れたピンキーの視線の先にはすでにミリーがいて、しかも凄い形相で彼女をみつめている。
自殺後ミリーとピンキーの性格が逆転したように見えること
ピンキーが両親の存在すら覚えていないこと
ピンキーとミリーは同じテキサス出身であることなど 謎ばかり
ミリーの言葉を誰も聞いていないところを見ると、ミリーは最初から存在していないのかなとも思えてきたり。。

タイムカードの押し間違いに一体化の始まりを暗示しているのが面白い。
印象的なのはピンキーが自殺した当日、彼女が服にこぼしたトマスソースと、第三の女であるアパートオーナーの出産に立ち会ったミリーに付着した血液で、この二つのアイテムが私の中でリンクした。
あれは別人格が生れ落ちる瞬間だったのではないか
そう思うと、これは二重人格を描く映画だったのかな。

あ、三重人格・・ もっとか。
多分見た人それぞれで解釈が異なるでしょうね。

ミリーを演じたシェリー・デュヴァル、ピンキーを演じたシシー・スペイセク
二人のホラー対決とも言うべき演技がみもの
解釈が難しいだけに後を引く作品です。

★★★★☆


猫はどこに『ロング・グッドバイ』
2012年09月10日 (月) | 編集 |
猫が出てくる映画で好きなのが『ハリーとトント』とこれ。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公としたレイモンド・チャンドラー原作の小説を ロバート・アルトマンが映画化した一本です。
 



 

ロング・グッドバイ 1973年(アメリカ)
原題:The Long Goodbye
監督:ロバート・アルトマン 出演:エリオット・グールド、ニーナ・ヴァン・パラント、スターリング・ヘイドン、ジム・バウトン

 
私立探偵フィリップ・マーロウはメキシコに行くという友人ハリーを車で送った翌日、警察に連行される。
ハリーの妻が殺害されたのだ。しかしメキシコでハリーが自殺したことが伝えられ、マーロウは釈放される。
その後、マーロウはアイリーンという女性から作家である夫を捜してほしいと依頼されるが……。


これ、猫の出演時間は凄く短いんですが エリオット・グールド演じるマーロウと飼い猫のやり取りが最高で大好きなんです。
冒頭、眠っているところをお腹を空かせた猫に起こされるマーロウ。
夜中の3時なのに、わかったわかったと猫に食事を準備しようとするもののいつもの猫缶を切らしていて、買いに行った店にもない。
結局猫は「いつものじゃないもーん フン!」っと家を飛び出しちゃった。
猫を探しに行こうとしてるところにやってくるのが友人ハリー。
そこからマーロウの長い一週間(くらい?)が始まるんですね~。


 

ハリーの死に釈然としないものを感じるマーロウは夫の捜索を依頼してきた作家の妻の家がハリーの近所だったことからちらりと様子を聞くうちに、何故か妙に繋がっていく。金銭がらみのいざこざに巻き込まれながらも真相に迫っていくというお話です。
 
チンピラの中にシュワちゃん発見!



グールド演じるマーロウの口癖は「 It's okay with me.(まぁ、いっけどね)」何があってもあまり動じず、
飄々とした彼がモゴモゴと口にする台詞が笑える。

チェーンスモーカーでどこででもマッチを擦ったりネクタイへのこだわりが、実際随所に見えるのも可笑しい。
そんなオフビートな彼が最後に見せる「けじめ」は唐突で驚くけれど猫への愛情があるから余計に・・だと解釈。

『第三の男』のオマージュを感じるラストシーンがいいですね。
音楽を担当するのはジョン・ウィリアムズタイトルにもなっている『ロング・グッドバイ』が都会の孤独を際立たせます。
アレンジを変え色んなシーンで流れるのも面白い。

劇中挿入歌と、偽ブランドの猫缶を与えようとするシーンはこちら。
役名なしwの猫もいい演技

いつかひょっこり帰っておいで。



★★★★☆