映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】鬼火
2011年08月08日 (月) | 編集 |



自殺を決意した男の最後の48時間を描く、ルイ・マルの名作『鬼火』。
ヴェネチア映画祭審査員特別賞受賞作品です。
 
鬼火 (1963)フランス
監督:ルイ・マル
出演:モーリス・ロネ/ベルナール・ノエル/ジャンヌ・モロー/アレクサンドラ・スチュワルト

モーリス・ロネ演じる主人公のアランは、アルコール中毒で入院中の身。
医者からはもう退院してもよいと告げられるものの、アランの不安は募るばかり
「また酒に溺れ、バカなことをしでかすことは目に見えている。」
 

 
アランの部屋の壁には、妻の写真や、新聞の死亡記事の切り抜きが貼られ
鏡には7月23日の文字
その日付けの意味するところは・・・

自殺を決意した男の、最期の二日間を描くという本作、
音楽の使い方などにも『シングルマン』を思い出しました。
でも『シングルマン』では、主人公が「死」を主体的に準備する様子が描かれていたのに対し、
本作は何か受け身的なものを感じたのよね。
 
最期の一日、彼は旧友たちを訪ね歩くのだけど
もしかしたら、なにかが彼を死から救い上げてくれることに
微かな希望を抱いていたのではないか。
でも、結局はひたすら絶望を募らせるだけで、何も変わらない。
その様子が痛々しいのです。
 
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ブルジョアで、文学的な才能にも恵まれながら
人を愛す術を知らず、それでも愛されたいと待ち望み
待ち疲れ、そんな自分を嫌悪するうちに、彼は酒に溺れていったんだろうなぁ。
 
世話になった職員に、自分の腕時計を外して渡したり、
時を告げている時計の針を進めたり
時間も 彼にとっては もう何の意味も成さないというのは切ない。
 
そして、最期の一日の過ごし方のオプションに、
“妻のもとに行き、一緒にすごす”というのがないのは寂しいよ。
 
詩的な作品でした。



【映画】さよなら子供たち
2009年11月25日 (水) | 編集 |


バスターズと一緒にKill Nazis!2本目 『さよなら子供たち』

1987年(フランス/西ドイツ)
監督/脚本:ルイ・マル
出演:ガスパール・マネス/ラファエル・フェジト/フランシーヌ・ラセット/スタニスタス・カレ・ド・マルベール
フィリップ=モリエ・ジェヌー/フランソワ・ベルレアン/イレーヌ・ジャコブ
■感想
今日は「ナチスによるユダヤ人迫害を描いた作品」から
ナチス占領下のフランスにおけるユダヤ人迫害を描く、ルイ・マル監督の自伝的作品です。

1944年1月。休暇から寄宿舎へと戻ったジュリアンのクラスに、ジャンという転入生がやってくる。
成績優秀なジャンはなかなか級友たちと馴染もうとしなかったが、読書という趣味を通して、
次第にジュリアンに心を開きはじめる。そんなある日、好奇心からジャンのロッカーを盗み見たジュリアンは
ジャンの秘密を知ってしまう……。

その秘密とは、実は転校生のジャンはユダヤ人だということなんですね。
フランスにおいてもナチスにユダヤ人迫害は行われ、こんな子供までもが危険から逃れるため身分を偽り
全く宗教の違うキリスト教の寄宿学校に身を置くんです。

12歳の主人公ジュリアンはユダヤ人とは何かも全く知らない。
それでも外に出れば公衆浴場はユダヤ人お断りの表示があったり、レストランからユダヤ人が追い出されたり
そんな光景を目にしながら、徐々にジャンの立場を理解するようになるのですが、
それは同時に大きな秘密を共有するという重荷を背負うことにもなるんですね。

映画は子供たちの日常が映し出され、特に過激な描写があるわけでもありません。
子供だし、と頭の中で楽観的に観ていたのかもしれません。
それだけにラストのナレーションにはショックを受け、後から涙が出て来ました。




あのナレーションは監督自身だったのかな。
監督は「生きているうちに絶対に撮らなければならない作品」として、アメリカでの活動の後
フランスに帰って真っ先にこの作品を撮ったのだそうです。

子供の視線で、静かに戦争の残酷さを描いた作品。
ジュリアンが「ねえ、怖い?」と訊き、ジャンが「うん、いつでも」と応えるシーン
子供たちがチャップリンの映画を大笑いで観るシーン(伴奏されるヴァイオリンが秀逸!)が印象的でした。

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞しています