映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
小間使の日記
2013年06月30日 (日) | 編集 |







小間使の日記(1963)フランス/イタリア
原題:LE JOURNAL D'UNE FEMME DE CHAMBRE
監督:ルイス・ブニュエル
出演:ジャンヌ・モロー/ミシェル・ピッコリ/ジョルジュ・ジェレ/フランソワーズ・リュガーニュ 


すっかり更新をサボってました(汗)
今月はフランス映画特集をしようと思いながら、結局ブニュエルだけになってしましましたが、ま、それもいいか。
ということで、最後までブニュエルで。






今日は、ジャンヌ・モロー主演の『小間使の日記』
モロー演じる小間使いセレシティーユは片田舎の貴族の家に働きにやってきます。
屋敷の奥様は、これは高いから壊すなだの、口うるさい
妻におされ気味の主は小間使いにも手を出す色情狂で、老主人は足フェチ
一家は隣に住む軍人上がりといさかいが絶えない

お高くとまってはいても中身はこんなに病んで醜い というブルジョワたちの生活を、
ブニュエルはセレシティーユの「家政婦は見た」的視線でシニカルに描いています。


面白いのはちょっと危険な下男の存在。
彼はセレスティーユに、自分と同じ匂いを感じている。

パリからきたセレスティーユは、小間使いにしては都会的で洗練されてもいる
けれども、小間使いは主に動物のようにこき使われ、さげすまれるだけの存在でしかないのも分かっている。
そんな彼女が、何に幸せを見出そうとするのか興味深かったのだけど
結局彼女の選んだものが、尽きることなき倦怠と憂鬱を残すのみなのが切なく
ブルジョワたちと同じ、腐った日常に身をおとすのかと思うと、それも皮肉。

ジャンヌ・モローのドライな美しさがセレスティーヌによく合ってました。

マリオン・コティヤール主演で映画化も予定されてるとのこと
比べてみるのも面白そうです。




哀しみのトリスターナ
2013年06月08日 (土) | 編集 |


ブニュエルをもう一本。
カトリーヌ・ドヌーヴを主役に迎えて作った、ブニュエルのスペイン映画のうちの一本です。







哀しみのトリスターナ(1970)西ドイツ・フランス・スペイン・イタリア
原題:Tristana監督:ルイス・ブニュエル
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、フランコ・ネロ、フェルナンド・レイ

両親を亡くしたトリスターナ(カトリーヌ・ドヌーヴ)を名付け親であるドン・ロペが養父として引き取り、ともに暮らすことになる。美しく成長するトリスターナを愛し始めるドン・(フェルナンド・レイ)ロペ。いつしか肉体関係となる二人だったが、トリスターナは内心で老いていくドン・ロペを憎み、やがて愛する人(フランコ・ネロ)をみつけ、ロペのもとを去った。しかし二年後、病魔に侵されたトリスターナは・・。。

全米で最近ブルーレイが発売された、ドヌーヴ&ルイス・ブニュエル初タッグ作品。
先日の『欲望のあいまいな対象』で好色爺を演じたフェルナンド・レイが、幼女トリスターナを愛す養父を演じていますが、ここでも彼は、変わっていくトリスターナに疎まれる爺様役なんですね(笑)

ドヌーヴ演じるトリスターナは、純真な乙女のときにドン・ロペに引き取られ、貴族で仕事もしないドン・ロペに半ば拘束されて大人になっていく。
彼女はときに、鐘楼にドン・ロペの生首が吊るされた夢をみるのですが、この絵に見覚え有り。
そう、桜田淳子ちゃんがヒロインを演じた金田一シリーズの『病院坂の首縊りの家』にそっくりなシーンがありましたね。本作へのオマージュだったのかしら。





変わっていくトリスターナを見事に演じたドヌーヴがとにかく美しい。
トリスターナの過ごしてきた人生を走馬灯のように見せる終盤の回想シーンで、清純だったトリスターナが、いかに冷酷にシニカルに変わっていったかを目にするとき、トリスターナの人生に思いを馳せることになりました。


鐘楼に生首・・
それはトリスターナの密かな願望の表れだったんでしょうね。

雪の降る夜、そっと窓を開ける・・
そのシーンに、トリスターナの哀しみと憎しみを凝縮させるブニュエルに脱帽した次第。








欲望のあいまいな対象
2013年06月05日 (水) | 編集 |


6月は日本でフランス映画祭が開催されるようなので、我が家もプチフランス映画特集。
気になりながらそのままになってた作品を中心に観てみようと思います。

まずはルイス・ブニュエル作品から



 

欲望のあいまいな対象(1977)フランス
原題:CET OBSCUR OBJET DU DESIR
監督:ルイス・ブニュエル
出演: フェルナンド・レイ、 キャロル・ブーケ、 アンヘラ・モリーナ


正体不明のテロ事件が頻発するセビリアの町から、パリ行きの列車に乗り込んだのは、初老のブルジョワ紳士マチュー。追いすがる女にバケツの水を掛けた彼は、驚く乗客たちに奇妙な愛の体験談を語り始める……。

新入りの小間使いコンチータを見初め、愛人にしちゃおうとするブルジョワの老紳士が
コンチータに逆に利用され、翻弄される姿を描くルイス・ブニュエル監督の本作は、
妄想的愛欲に満ちた・・というか、エロジジイ炸裂な一本でして(笑)、
とても77歳で撮ったとは思えないシニカルで艶っぽい作品に仕上がってます。





面白いのは、コンチータを2人の女優さんが演じていること。
ツンとすまし、貞操帯に身を包む淑女風かと思えば、
あるときは情熱的な全裸のフラメンコダンサー
女性の多面性を表しているのでしょうかね。
甘い言葉に期待すればもったいぶられ、結局ジジイなんか相手にするかと蔑まされ
堪忍袋の緒が切れたはずなのに、また次の瞬間には、コンチータに寄り添うという

途中何度もテロのシーンが描かれるのだけど、
対象も曖昧なら、一寸先も何が起きるか分らない
短い人生、その一瞬を楽しく過ごすしかないよなぁ。
そんなことを思いながら観終えました。

1900年生まれ、激動の時を生きたブニュエル監督の遺作です。