映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『6才のボクが、大人になるまで。』
2015年01月09日 (金) | 編集 |

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6才のボクが、大人になるまで。(2014)アメリカ
原題:Boyhood
監督:リチャード・リンクレイター
出演:パトリシア・アークエット/エラー・コルトレイン/ローレライ・リンクレイター/イーサン・ホーク 
 

テキサスの田舎町に住む6歳の少年メイソンは、母のオリヴィアと姉サマンサとの3人暮らし。父親のメイソン・シニアは離婚してアラスカに放浪の旅に出てしまい、シングルマザーとなったオリヴィアは大学への入学を決意し、メイソンとサマンサを連れてヒューストンに移り住む。


リチャード・リンクレイター監督
6歳の少年とその家族の12年にわたる軌跡を綴るのに、同じキャストで同じ年月をかけて撮りあげた作品。
ちっちゃかったメイソン(エラー・コルトレイン)が段々と大きくなって、お母さん役のパトリシア・アークエットがおばさんになっていく。
家族のアルバムを一緒にめくっているような、不思議な鑑賞感。

このどう考えても地味な作品がオスカー最有力とされるのは、家族の12年に、観るものが自分の思い出を重ねるからかな。メイソンの遊びや親子の会話などあるあると思うことが多くてニマニマしたし、それらが郷愁ともなってキュンとする。

原題がboyhoodであるように、本作はメイソンの成長を描く作品には違いないけど、同時にメイソンを取り巻く家族の物語でもあって、子供と親、相互の関係やそれぞれの変化が繊細に描かれているのが素晴らしいんですよね。

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なかでも良かったの母親役のパトリシア・アークエット
イーサン・ホーク演じる自由人の夫に見切りをつけ、大学に行きなおして社会的に自立し子供を育てる母親。再婚に失敗し途方にくれ、結果的に子供に苦難を強いることもあるけれど、いつだって子供たちに何が一番いいのかを懸命に考えて懸命に生きてる母がそこにいて、大きくなった子供たちもそんな母をちゃんと理解してるところに胸が熱くなった。

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離れてはいるけれど要所要所で大事な助言をして、父親の責任を果たそうと頑張るイーサンもいい。
自由人ゆえに家庭を捨てた彼も、12年経って落ち着いて、新しい家庭の父親に納まる
車も変わり、メイソンの卒業祝いにはちゃんとスーツで現れるところに、彼の変化をきちんと描いているところが微笑ましかった。

多分これを観たら自分の親に感謝の気持ちがわいてくると思う。
いい作品でした。


ビフォア・ミッドナイト
2013年11月07日 (木) | 編集 |





賞関連、今日はゴッサム賞作品賞にノミネートの『ビフォア・ミッドナイト』
イーサン・ホークジュディ・デルピー主演、リチャード・リンクレイター監督による
『恋人までの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』に続く第三弾ですね。
ビフォア・ミッドナイト(2013)アメリカ
原題:Before Midnight
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー/シーマス・デイビー=フィッツパトリック
日本公開:2014/1・18
 
 旅の途中の列車での出会いから始まった、アメリカ人男性ジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人女性セリーヌ(ジュリー・デルピー)の恋物語。実はこれ、公開をものすごく楽しみにしてたのに、劇場逃しちゃってDVDでようやく観ました。観にいこうとするまさにそのとき、友人に誘われ、エンタメ大好きな彼女に合わせてほかの映画を観たところ、二日後には公開が終わっちゃったんですよねぇ。まさか一週間で終了するとは・・(泣)インディーズ作品の寂しいところです。

 さて、前作『ビフォア・サンセット』は、セリーヌとの出会いをしたためた本を出版したジェシーが、パリの書店でサイン会でセリーヌと9年ぶりに再会するという物語でした。このとき既に妻子のある身のジェシーでしたが、フライトまでの時間をセリーヌのアパートで過ごすうち、彼女への思いが再燃し心を揺らす。最後は「飛行機に遅れちゃうと思うなぁ」というセリーヌの悪戯な台詞で暗転。「そ、それからどうなったのーー??!!」だったわけですが


それから9年・・




 冒頭、大きくなった息子ハンクを空港で見送るジェシーの絵
どうやら、ハンクはジェシーらとギリシャで休暇を過ごした後、アメリカの母の元に帰国するようです。ドライな息子に対し、息子との別れを惜しむジェシーの表情は痛切。画面は変わり、ジェシーの運転する車の横にはセリーヌ。後部座席にはブロンドの可愛い双子の女の子!そう、ジェシーはセリーヌと結ばれていたのです。





 デルピーは少しぽっちゃりさんになったけれど、イーサンと息もぴったりで、共に過ごした歴史を感じさせてくれるふたりに頬が緩みます。けれど、ジェシーはどうしても息子ハンクのことが気がかりで、そのことは、セリーヌをじわじわと苦しめているようなのです。

 シリーズを通し、リンクレイター、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーが共同で脚本を書いています。この映画が面白いのは、1995年に第一弾となる『恋人たちの距離(ディスタンス)』が公開されてから、9年ごとに続編が作られ、主人公たちがリアルタイムで歳を重ね、映画が時を刻み続けている点。それゆえ9年後の二人の今に期待と不安が入り混じります。序盤、幸せそうな二人にホッとするのもつかの間、二人に流れる微妙な空気に気を揉むことになりました。

 ギリシャのゲストハウスに世代の違うカップル(お一方は既に妻が他界)を集わせ、「共に生きるとは」をさりげなく語らせ、徐々にジェシーとセリーヌの問題を浮き彫りにさせるつくりもうまい。彼らの問題がある意味普遍的なものであることから、二人がこの危機をどう乗り切るのかと興味が尽きず、二人の行く末を固唾を呑んで見守ることに。
 
 この映画、会話が主体で、3作通じて派手なところは一切なし。それでもシニカルさを交えながらも、湧き上がる恋する思いに興奮させてくれる展開は本作でも健在。今回は特にジェシーが作家であるという設定が生かされた言葉選びも絶妙で、ソルーションへと向かう最後の10分に静かな感動があります。「ここから来る!」と思った瞬間涙が溢れ、DVDを止めて心の準備をしちゃいましたもの。

 長い人生、思いどおりにならないことも不満に思うこともあるでしょう。でも心配事や問題点は、力を合わせて解決することも出来る。愛さえあれば。そんな作品です。ギリシャの風景も綺麗でした。
9年後のジェシーとセリーヌにまた会いたいな。

余談ですが・・
一本目の『恋人までの距離(ディスタンス)』は原題の『ビフォア・サンライズ』に改名しましょうよ。


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  1. 1. 「ビフォア・ミッドナイト」は主人公の元奥に幸多かれと祈る

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • January 20, 2014 07:12
    • 今回は新作の「ビフォア・ミッドナイト」をヒューマントラストシネマ有楽町1で観てきました。この映画のパンフレット、700円するのに、24ページ中6ページが広告なんです。広告出すなら値段下げろと思いますよ、マジで。広告を放り込む会社もイメージダウン、オムロン、鹿島







ビフォア・サンセット
2013年06月25日 (火) | 編集 |



ビフォア・サンセット(2004)アメリカ
原題:Before Sunset
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー/ヴァーノン・ドブチェフ
ご存知、イーサン・ホークジュリー・デルピー主演の『恋人までの距離(ディスタンス)』の続編。
前作は、列車で出会い意気投合した2人が途中下車したウィーンの街をひたすら歩き、翌朝駅で別れるというワンナイトスタンド描いたものでしたが、別れ際、2人は互いの連絡先を告げないまま、半年後の再会を約束するんですね。
さて、それから9年後に製作された本作は、時間の経過そのままに、「あれから9年」の2人を描いています。
気になるのは、約束は果たせたのか・・ということですが、これももう9年前の名作で、そこをスルーしては何も語れないので言っちゃうと、2人は再会できなかったんですね。

しかし、イーサン演じるジェシーは2人の出会いをしたためた本を出版し、作家としてパリを訪れる。
パリに住むセリーヌ(ジュリー・デルピー)がジェシーのサイン会の会場を訪れ、2人は9年ぶりの再会を果たすわけです。
映画は、ジェシーのフライトまでの時間を過ごす、2人の再会を描くもの。

前作も良かったけど、これも凄く好きだったなぁ。

今回は、ジェシーがすでに結婚してることもあり、互いは微妙な距離をとらざるを得ない。
でも、それぞれの存在かが今も大きな影響を及ぼしていることが分って来ると、
もしも再会の約束が果たせていたら、もっと幸せな2人でいたんだろうなと思ってしまい、とても切ない気持ちになった。相変わらず2人の会話だけで成立つ映画なのに、互いの気持ちを探るスリルもあり、まるで退屈しないし、これほど短い時間を描く会話劇でありながら、ユーモアとほろ苦さと、人を愛しいと思う感情を詰め込む描き方は秀逸ですねぇ。


さて、ここからはちょいと結末に触れますので、未見の方はスルーしてください









別れを惜しみ、ついにセリーヌのアパートに上がりこんでしまったジェシー。
出会いをギターを爪弾き歌うジュリー・デルピーのワルツがまたいいんだ。
「飛行機でちゃうよ」「そうだね」そんなやり取りのあと暗転。

しょえーー、それから2人はどうなったのーー?と誰もが思ったことでしょう。


そして!!
このたび続編『Before Midnaight』がついに公開になりましたね~。
監督、主演も勿論同じ。
結婚生活に迷いがあったジェシーと、人を愛することができずにいたセリーヌゆえに
あれからさらに9年経った2人がどうなったの、気になって仕方ないですよねぇ。

ところが、、
近くでの公開が1週間で終わってしまい見逃しちゃったんですよ(泣)
遠出するかな・・

ということで、劇場で観れるかは定かじゃないですが、続編も超楽しみです。





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  1. 1. 「ビフォア・サンセット」で「ビフォア・ミッドナイト」の予習してみました。

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • January 17, 2014 22:45
    • 公開中の「ビフォア・ミッドナイト」を観たいと思っているのですが、「恋人までの距離」「ビフォア・サンセット」の続編ということで、多少の予習は必要かなと思っていたのですが、「ビフォア・サンセット」がBSで放映されていたので録画して、予習しようということになり




バーニー みんなが愛した殺人者
2012年10月16日 (火) | 編集 |
テキサスの小さな田舎町で実際に起きた事件を描くブラックコメディです。
監督は『ロック・オブ・スクール』のリチャード・リンクレイター
 
 

バーニー みんなが愛した殺人者 2012年(アメリカ)
原題:
Bernie
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー
日本公開:7/13(2013)
 
東テキサスの葬儀屋で働くバーニー(ジャック・ブラック)は地域住民に最も愛される男。
ある日富豪の老人の葬儀を担当したバーニーは、未亡人となった老婦人マージョリー(シャーリー・マクレーン)を慰めるうち、二人は一緒に旅行をするほどに親しくなる。
しかし徐々にバーニーを独占し始めるマージョリーに、バーニーは行動を縛られるようになり・・・
 
 

葬儀屋のバーニーが親しくなった富豪の老婦人を殺害したという実在の殺人事件を元にした作品です。
事件の一部始終を見せ、事件に対する地元住民の反応をドキュメンタリータッチに描くという手法は、テレビの再現ドラマ的であるんですが、バーニーを演じる
ジャック・ブラックの演技が秀逸なのと、静かな田舎町の珍事件といった風合いが面白い。

 

バーニーは葬儀社のアシスタントディレクターとして完璧に葬儀を演出し、賛美歌を高らかに歌い、
地元の劇団に所属しミュージカルを演じ、チャリティにも余念が無い。
 
JBはこんなに歌が上手かったのね~とか(一応ミュージシャンと知ってはいるけどw)
そのパフォーマンスに彼の器用さを改めて知ることになるわけですが、
天使の側面を持つ男のジレンマや二面性という内面の演技も確かで惹きこまれます。



見事なテキサス訛を披露するマシュー・マコノヒーはバーニーを有罪に追い込む地方検事で登場。
住民の大半がバーニーは天使だと信じる地元では公平な裁判は無理とわざわざ遠くの裁判所で審理したという、
嘘のような本当の話。 JBのパフォーマンス含め一見の価値あり。
日本公開の予定は今のところないですが・・
 


★★★★