映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
息もできない
2011年01月14日 (金) | 編集 |

 
2008年(韓国)
監督/製作/脚本:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン/キム・コッピ/イ・ファン/チョン・マンシク/ユン・スンフン/キム・ヒス
 
■感想
今日は先日発表になったキネマ旬報、年間ベスト10で外国映画の第一に輝いた本作を。
これ主演のチンピラ、サンフンを演じたヤン・イクチュンが監督や脚本なども努めています。
可愛いクシャミみたいな名前、ってそんなことはいいかw
 
長編初監督作品らしいですが、これがなかなかに衝撃的
 
サンフン(ヤン・イクチュン)は暴力で借金を取りたてる、ヤクザな仕事を生業とする男
ある日、サンフンの吐いた唾が通りがかった女子高生ヨニ(キム・コッピ)にかかり、
無謀にもはむかうヨニを、サンフンが殴って気絶させるという(笑)
なんともあり得ない出会いを果す二人。
それでも何かウマが合って、女子高生と強面のチンピラの不思議な交流が始まるんですね。

話が進むにつれ、サンフンが父親への大きな怒りを抱えて生きてきた男であることが分かってきます。
ヨニもまた家庭に問題を抱えた少女
同じ哀しみが互いを惹きつけたのかもしれません。
 
父親を、ただ憎んでいられたら、そのほうがまだ楽なのかもしれない。
けれども、どんな父親であっても生きてそこにいて欲しいと思う、それが人間、血の繋がりというものでしょう。
どうしようもない怒りを暴力に変え、自分に憤り、暴言を吐き
それでも心根の優しさが見え隠れする主人公サンフンに感情移入し始めた頃
彼を襲う悲劇が虚しいんですよね。
 
ヨニとは、あることでもめる事になるだろうと予感させながら
そこは表現せず、ラストシーンでその後のヨニの葛藤を暗示するなんてね。
哀しみの連鎖がとまらない・・
深いため息をもって見終えることになりました。
 
暴力描写は好きじゃないけど、
主人公のリアルな心の叫びと純な優しさに惹かれます。
今の日本人が無くしかけている、何か懐かしいものがそこにあるような。
逆に、ヨニの弟に見る鬱屈した人間性には
親子同士で殺しあう今の日本人に共通するものも感じるところで
より複雑な時代になるなぁと、寒いものが走る思いでした。
 
悲しみに、愛おしさに、息もできない・・そんな映画でしたね
ちなみにキネ旬のトップ10はこちら