映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ハクソー・リッジ
2016年11月05日 (土) | 編集 |
 Cv9Rc9WUMAAQr3h.jpg

ハクソー・リッジ(2016 オーストラリア・アメリカ
原題:Hacksaw Ridge 
監督:メル・ギブソン
脚本:アンドリュー・ナイト/ロバート・シェンカン/ランダル・ウォレス/グレゴリー・クロスビー
出演:アンドリュー・ガーフィールド/ヴィンス・ヴォーン/サム・ワーシントン/ヒューゴ・ウィーヴィング/テリーサ・パーマー

【あらすじ】
逃子供時代の体験から武器を持たないことを誓ったエドモンド・ドスは、入隊後も銃を手にすることを拒否する


【感想】
第二次世界大戦中の沖縄戦で、衛生兵として戦地に立ったエドモンド・ドスの活躍を描く実話ベースの戦争映画です。
監督は『アポカリプト』以来10年ぶりにメガホンをとったメル・ギブソン

アンドリュー・ガーフィールド演じるエドモンド・ドスは子供の時の体験から、命の大切さを学ぶと同時に、人を傷つけることをしないと心に決めます。大人になり、入隊することになっても彼は信念を曲げず、敵を殺すためでなく仲間の命を救うため前線に行くと宣言。当然ひと悶着あるんですが・・

これはね、ものすごい映画体験でした。
予告でも手りゅう弾で吹っ飛ぶさまは描かれてますが、それだけではない地獄絵がこれでもかと繰り広げられる。
その長さと恐ろしさに「もう勘弁して!」となるけど、メル・ギブソンが許してくれるはずもなく、まぎれもないホラーを目の当たりにすることになりました。日本兵も米兵も国を守るために戦って、戦場では身を守るために相手を殺すしかないんだよなぁ。
戦争ものとあって会場はお年寄りでいっぱい。中にはご夫婦連れもいて彼らの心臓が止まるんじゃないかと心配したがな。退室者がいなかったのが不思議。
勿論沖縄戦が舞台なので、日本人としては辛く複雑な思いにもかられるんですが、ドスがひたすら仲間を救おうとする姿が痛快で感動してしまうんです。
CrMviwZUAAA6DCj.jpg
戦闘シーンにおけるギブソンの演出はひたすらリアルで、見せたくないものをオブラートで包むことを一切しない。
一方でドスの活躍はファンタジーと言いたくなるほどだけど、実話というのだから凄い。
神風以上に神がかりなドスを描くことは、進行に篤いメル・ギブソンならでは。
勿論、戦場の熾烈さもギブソン仕様。

共演者の中では、ドスの父を演じたヒューゴ・ウィーヴィングとドスの上司に当たるハウエル軍曹を演じたヴォンス・ヴォーンが印象的。特にヴォーンは前半はコメディ担当(笑)兵士を叱りつけながらのセリフがユーモラスで会場は笑いに包まれる。それでも戦場で指揮を執る様子はかっこよくて、初めていい役者だと感じたもんね。
Cp6aXXuUEAAGRHB.jpg
主演のガーフィールド君はどんな状況でも飄々としてユーモアを湛えているのがいいし、その誠実さに仲間が信頼を寄せていくのも気持ちがいい。テリーサ・パーマーとのラブストリーでもあります。
Cv4D-3wWAAALBKk.jpg
ロープを縛る練習のシーンが見事な伏線となって後半に繋がるのも胸がすく。
メル・ギブソンは映画の面白味を知り尽くした人なんだと思う。

内容が内容だけに日本では物議をかもすかもしれないけど、IMDb8.7の好スコアは伊達じゃない。
間違いなく傑作です。公開して欲しいね。

ついでに本作も英国男優50人斬りに加えるとして、今回はアンドリュー君ふたたびと、隊のキャプテンとしてカッコよかったサム・ワーシントンの二人斬りだよ。

アンドリュー君とエマちゃんのカップルが一緒にオスカーノミネートされるといいな。

14533711_1622439601386877_2785500928151650304_n.jpg
 ブログパーツ










ガリポリに散った青春『誓い』
2013年10月15日 (火) | 編集 |



さて「走りが印象的な映画」シリーズ
今日はピーター・ウィアー監督による戦争青春ドラマ『誓い』です。
誓い(1981)オーストラリア
原題:Gallipoli
監督:ピーター・ウィアー
出演:メル・ギブソン/マーク・リー/ビル・カー/ロバート・グラブ
 第一次世界大戦の時代、オーストラリア奥地の村に暮らす18歳のアーチー(マーク・リー)は、
戦地で戦うことを夢見、おじとともにランニングの訓練に励んでいた。
しかし年が足りないことから入隊を却下されるアーチー。
そんな彼にアスレチックカーニバルで知り合ったフランク(メル・ギブソン)は、「歳をごまかし、ほかの場所で入隊テストを受けることは可能」と悪知恵を授ける。かくしてフランクとアーチーの長い旅が始まる。

原題のガリポリというのは現トルコの港町の地名、第一次世界大戦時、英国に率いられたオーストラリア、ニュージーランドの連合軍が、オスマン帝国軍を相手に激戦を繰り広げた場所です。


連合軍を支えたのが、アーチーらのような志願兵だったんですね。
前半はアーチーとフランクのバディものロードムービーの趣。
徒競走で出会った、足に自信のある二人は、ことあるごとに走ります。
貨物列車を追いかけ、砂漠でらくだを追いかけ、エジプトでの再会を喜びピラミッドを目指し競争したり。
冒頭のオーストラリアの広大な原野を舞台に馬と素足のレースに始まり、数々の走りの舞台になる自然の美しさも印象的。このあたり、監督の最新作『ウェイバック -6500Km-』に通じるものがあります。




『マッド・マックス』の頃の若きメル・ギブソンが演じるフランクは、おちゃめなキャラで彼の周囲は明るい笑いに溢れている。ひたむきな愛国心を抱く純粋な青年アーチーとは間逆な性格ながら、互いにないものを持つ相手を尊敬し、バディ関係を築いていくさまがすがすがしい。
しかし、爽やかな青春物語な展開に、これが戦争映画であることを忘れかけた頃、
遠くで大砲の音が聞こえ始めハッとする。銃砲音と振動は徐々に強さを増し、
気づけば大迫力の最前線に放り込まれているんですよ。その演出のうまいこと。



「走り」に始まり、「走り」で終わる本作
フランクが戦地を死に物狂いで走る姿に胸が締め付けられます。
戦争の悲劇を青春の光と対比させた秀作でした。



『サイン』はこんな映画だったんだ
2013年04月16日 (火) | 編集 |



旧ブログ記事を少しずつ引っ越す作業をしてますが、まぁ箸にも棒にもかからぬ記事ばかり。
ブログ始めてからでもこれで、ましてやそれ以前のものは、忘れてるだけでなく、どんな映画かもきちんと理解できてないものが多いんですよね(汗)
そんなわけで、昔に観た映画を見直そうと思う今日この頃。
まずはM・ナイト・シャマランの『サイン』から観てみました。

サイン(2002)アメリカ
原題:Signs
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソン、 ホアキン・フェニックス、 ロリー・カルキン、 アビゲイル・ブレスリン、 M・ナイト・シャマラン、 チェリー・ジョーンズ サイン [Blu-ray]

AMCという映画チャンネルは、CMが入るため普段Tivoが勝手録画してても
全く観ずに消去してたんですが、丁度観たいと思ってた『サイン』は観てみたんですね。
そしたらなんと、製作秘話、撮影秘話初め、トリビアが放送中テロップで表示されるという企画もので、映画の理解に凄く役立ちました。

以下、内容に触れていきますので全く未見の方はご注意ください。




[READ MORE...]
【映画】 『キック・オーバー』:おかえり!メル・ギブソン
2012年09月18日 (火) | 編集 |
10月に日本公開が決まっているメル・ギブソン新作は
マフィアから大金を盗み、メキシコのとんでも刑務所に入所した男の
サバイバルと奮起を描く痛快アクション映画です。





キック・オーバー
2012年(アメリカ)
原題:Get the Gringo
監督:エイドリアン・グランバーグ
出演:メル・ギブソンダニエル・ヒメネス・カチョケビン・ヘルナンデスドロレス・エレディア、ピーター・ストーメア



マフィアから大金を強奪した犯罪者、通称“ドライバー”。アメリカからメキシコへと国境を越えて逃亡したまでは良かったが、欲深い警官に逮捕され、常識もモラルも通用しない史上最悪の刑務所“エル・プエブリート”に投獄される。金さえあれば酒も麻薬も女も手に入るが、動きを一歩間違えば命を落としかねない、銃撃戦に暗殺なんでもアリの油断のならない世界で、彼は生き残れるのか?

ウェルカム・バック メル!
メル・ギブソンは、欝に悩む中年よりも、こんなシニカルで悪ぶれたダーク・ヒーローな役が絶対に似合うよね。『アポカリプト』『復讐捜査線』で助監督を務めたというエイドリアン・グランバーグ監督は、メルのことをよくわかってるわ。


メル演じる通称ドライバー(今年の流行?)の放り込まれるメキシコの監獄というのが、近未来の無法地帯のような、とんでもないコミュニティでまずビックリ。ここで繰り広げられるお話が普通の脱獄ものであるはずはなく、メルは刑務所の実情を把握しながら、内外の様々な敵と戦うことになります。そんな中、メルの強力な助っ人となるのが、刑務所で母親と暮らす少年10歳にしてニコチン中毒の彼は、煙草と引き換えにメルに務所内の重要な情報を提供する。次第に二人の間にダチのような、親子のような絆が生まれ、少年に煙草を止めさせようとしたり、ドライで非情に見えたメルが人情味ある意外な側面をみせはじめるのも嬉しいところ。




少年を演じたケビン・ヘルナンデス君はドラマ出身の子役らしく、メル相手に堂々の演技。煙草を吸う姿がこれほど板に付いた10歳(実際には13歳)ってそうそういないでしょ(笑)
マフィアのボスにピーター・ストーメア。これまた怪演なり。

少年の秘密に関するエピソードはやや極端だけど、張り巡らせた伏線をきっちり回収するところは痛快で、ユーモアのセンスもなかなかのもの。ユーモアと言えばメルのイーストウッドの真似には大うけでした。
銃撃戦やカーチェイスなど映像的な見せ場も心得てて、これで初監督作品とは驚きです。
ちなみに原題のGringoというのは、英語を話す外人という意味らしく、メルが務所でそう呼ばれてました。



★★★★


それでも、愛してる
2012年06月20日 (水) | 編集 |
ジョディ・フォスターの16年ぶりの監督作品となる本作は
メル・ギブソンを主役に迎え、うつ病になった男とその家族を描くヒューマンドラマ。
今週公開と言うことでDVDで再見しました。


それでも、愛してる
2011年(アメリカ)
原題:The Beaver
監督:ジョディ・フォスター
出演:メル・ギブソンジョディ・フォスター
アントン・イェルチンジェニファー・ローレンス
ライリー・トーマス・スチュワート
【ストーリー】
ウォルター・ブラックは、父親から玩具会社を継ぎ、
豪華な家を持ち、結婚20年目を迎えようとしていた。
しかし、妻と子供と暮らす幸福な日々から一転、
突然、うつ病にかかってしまう。
さらにウォルターの病は自身だけでなく子どもたちにも
影響を与えはじめ……。(ぴあ映画生活より)


妻(ジョディ・フォスター)から別居を余儀なくされ、
まさに自殺を図ろうとするとき、ウォルター(ギブソン)を阻んだのは
リカーストアのゴミ箱から拾ってきたビーヴァーのパペット人形。
それ以後、ウォルターはビーヴァーを手に
腹話術のように自分の言葉をマペットに語らせ
周囲にも治療の一環と納得させることで
アグレッシブな自分を取り戻すのです。
でもそんなこと本当に可能なの?ってことですよね。

頑強な役柄で親しまれてきたメル・ギブソンが
一転うつ病に沈む男を演じて話題になりました。




メルがビーヴァーを操る器用さが楽しく、
ビーヴァーとウォルターの2ショットにも笑えるんですが
段々にビーヴァーがウォルターを乗っ取っていくような展開に
観てるものも恐ろしさと不安を感じ始めるんですね。
「うつ病」という題材を使っている点で、
このファンタジーな表現には賛否両論あるところかもしれません。
ビーヴァーはウォルターの病的な精神の現れだと理解はできるのだけど
その行動自体無理なんじゃないの?などと、
私自身素直に観れないところがありました。

でも、この映画は医学的なこだわりを捨て、
前向きになれない人への応援歌として観るのが正解でしょう。

何かに隠れたり、ごまかしたりするのでなく、
自分に正面から向かい合いなさい。
家族も「前のような完璧」を求めるのでなく、ありのままを受け入れ愛しなさい
そこから新たな家族の歴史を作っていけばいいんだよ、
そんなメッセージを感じる映画です。

息子にアントン・イェルチン、そのガールフレンドにジェニファー・ローレンス
ティーンエイジャー2人の再生を描くサブストーリーが
フレッシュな味付けとなっています。


日本公開は6/23~
★★★☆