映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】奇跡の2000マイル
2015年04月27日 (月) | 編集 |


奇跡の2000マイル(2013)オーストラリア
原題:Tracks
監督:ジョン・カラン
日本公開:2015/7/18
作品情報

あらすじ
1977年、ロビン・デヴィッドソンは一匹の犬と4頭のラクダを連れ、アリススプリングスからインド洋に向かってオーストラリアの砂漠地帯を歩いて渡ることを決める

トレーラー

感想

オーストラリアの砂漠を7ヶ月かけて横断したロビン・デヴィッドソンさんの手記を基にジョン・カランが監督をしたロードムービーです。

徒歩で砂漠を、何ヶ月もかけて歩く。

無謀 自殺行為 クレイジー

周囲のそんな声にも耳をかさず、住み込みで働きながらラクダの調教を学び
ナショナルジオグラフィック協会とスポンサー契約を結び、ついに旅を決行するロビン。
ラクダ4匹と愛犬を引き連れての旅は、果たして成功するんでしょうか と言う話。



まずは、主演のミア・ワシコウスカに拍手を送りたい。
日焼けはする、服も髪もドロドロ。
ビジュアルにこだわる女優ならまず受けないでしょ。
しかも犬はいいとして、旅の道連れがラクダですよ(汗)
白い涎ダラダラで、フガフガグルグルうるさい盛りのついた雄のラクダを制御するのも凄いし、野性のラクダと対峙するロビンを演じるのは、よほどの根性がないと出来ないでしょう。脱帽ですよ。

ロビンさんのインタビューによると、過去にはジュディ・デイヴィスで映画化という話もあり、昼食を共にしたことがあるらしいんですが、その際ジュディはロビンさんの動作の一つ一つを真似しようとしたそうです。ミアは逆でむしろあまり見ないのに、3日目にはロビンさん(のキャラ)をものにしていたと驚いてました。天性の才能というものでしょうか。

ミアが演じるロビンという女性
映画の冒頭は、人と接触することを嫌うどこかとっつきにくい人なんですね。
実際、彼女が旅に出るのは人から離れたいという思いもあってのこと。
しかし孤独に身をおいて初めて彼女は人のぬくもりを知ることになる。

途中原住民の老人と旅を共にするんですが
現地語でモゴモゴ、でもお喋りのおじいちゃんに最初は戸惑っていたロビンが
最後には意味もわからないのにニコニコ顔になっててなんだか愛おしい。


旅の途中途中、ちょっとしたイベントがあるし風景も美しい
でも映画をまるで飽きずに観てしまうのは
やはりロビンのそんな変化に心を動かされるから。

旅のはじめと終わりとではまるで別人のロビンに、最後はこみ上げてくるものがありました。
ロビンを演じきったミアはあっぱれ。
いつのまにか、ラクダとも友情を育んでたりするのにもホッコリ
ラクダがまたいい演技するんだw

原作にはなかったロビンさんの背景を加え、キャラクターを掘り下げた作り手の力も大きいのでしょうね。

制作に『英国王のスピーチ』のスタッフ。
静かだけど美しく、いい映画でした。



トラックバックされた記事

「奇跡の2000マイル」は純粋な旅もの映画としてオススメ、ヒロインが◎。

今回は新作の「奇跡の2000マイル」を有楽町スバル座で観てきました。こんな映画、誰も観に来ないだろうと高をくくっていたのですが、意外とお客さんが、それも年配のお客さんが入っていたのでびっくり。ここは上映時にスクリーン前の幕が開く、今は珍しい映画館です。 1975年のオーストラリア中央部のアリス・スプリングスにロビン(ミア・ワシコウスカ)という女性が愛犬ディギティと共に降り立ちました。彼女はここから、インド洋まで2000マイルを徒歩で歩こうというのです。都会に住んでいた彼女がそういうことを思 

2015/7/21(火) 午後 7:07 [ 今昔映画館(静岡・神奈川・東京) ]


【映画】『嗤う分身』 最後に嗤うのはイケてる自分かそれとも・・
2014年08月28日 (木) | 編集 |



ドストエフスキー原作『分身』の映画化。
もう一人の自分の出現 によって全てを狂わされていく男の顛末を描く心理スリラーです。
サブマリン』のイギリスの新鋭リチャード・アイオアディがメガホンをとりました。
嗤う分身(2013)イギリス
原題:The Double
監督:リチャード・アイオアディ
出演:ジェシー・アイゼンバーグミア・ワシコウスカ/ウォーレス・ショーン/ヤスミン・ペイジ
日本公開:2014/11/8
 
ある日、空いてる電車で「その席は自分の席だ」と席を奪われた主人公サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)。電車から降りる際にドアに鞄を挟まれ、身分証明書をなくした彼は、職場に入るのでさえ困難を要した。7年も働き、顔見知りのはずのセキュリティ・ガードはサイモンを知らないと言うのだ。
その日から彼の周囲で不可思議なことが起こり始める・・・

 サエない僕の目の前に、 イケてる“僕”が現れた。
恋も仕事も存在さえも、“僕”が僕のすべてを奪っていく――。





『他人の顔』や『複製された男』などアイデンティティものが続きますが、マイブームにつきお許しください。

主人公のサイモンは優しいのだけど引っ込み思案で、自分の言いたいことも口にできない冴えない男で
職場からは認められず、ダイナーのウエイトレスにも軽くあしらわれる始末。
施設に入所中のゾンビみたいな母親から、どこにいても電話がかかったりしてね。
この施設がこれまた不思議空間なんですが。彼を取り巻く空間はストレスがいっぱいです。
そんなサイモンの前に現れるジェームズは姿かたちはそっくりなのに性格は間逆。
スマートかつ狡猾に立ち振る舞い、女性にもモテるカリスマティックなジェームズは、やがてサイモンの暮らしを侵食していくんですね。
ジェームズは何者か・・ というのは観て感じていただくとして
ジェシー・アイゼンバーグは、服装も髪型も同じサイモンとジェームズを、容易に判別できるほどに演じ分けていてお見事。




うじうじ男のとことん暗い不条理モノかと思いきや、ブラックユーモアを感じるところもあり。
向かいのアパートに住むハンナ(ミア・ワコースカ)に惹かれていくサイモンの
孤独な者同士が共鳴しあうラブストーリーとしてもちょっと素敵。
ラストはトリッキーですが、伏線を効かせ最後に嗤うのは誰かを見せてくれます。

設定のファンタジー性はそれとして受け止め、クレバーなストーリーを楽しむべし。
世の中には自分そっくりのダブルがいて、人生は椅子取りゲームなのかもしれません。
『イレイザーヘッド』のようなリンチの世界にも似たデストピアな空間に
「ブルーシャトー」や「上を向いて歩こう」などの日本歌謡が妙にはまる。
時代も国籍も不明なレトロな世界観がちょっと癖になりますよ。これ好きだわ。

第26回(2013年)東京国際映画祭コンペティション参加作品

     

ジェーン・エア
2012年03月25日 (日) | 編集 |


ジェーン・エア
2011年(イギリス・アメリカ)
原題 Jane Eyre
監督:ケイリー・ジョージ・フクナガ
出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、サリー・ホーキンス、ホリデイ・グレインジャー、タムジン・マーチャント、イモージェン・プーツ、ジュディ・デンチ

【ストーリー】
悲惨な子ども時代を過ごした孤児のジェーン・エアは、教師の資格を取り、ソーンフィールドという屋敷で住み込みの家庭教師の職を得る。晴れて新しい生活を手したジェーンは、屋敷の主人ロチェスターと恋に落ちていくが、ロチェスターにはある秘密があった……。(映画.comより)


去年の4月11日に旧ブログで記事にしたものの移動ですが、
TVで放送され再見したので、手を加えています。

闇の列車、光の旅』で移民の厳しい現実を描いたケイリー・ジョージ・フクナガ
ブロンテ姉妹の文学作品に挑戦するというので話題になりました。
日本でもついに公開が決定。ファスベンダーのブレイクを受けてというところでしょうか。

1847年に出版されたブロンテの原作は、主人公のジェーンが孤児という身分を越え、
男女平等という反骨精神を貫きとおしたことでも、ビクトリア文学としては活気的で、しかも作者が女性であった(当初男性名で出版)ことも大変話題になったようです。
 
残念ながら原作も知らないし、過去に作られた映画も、舞台も見てないのだけど
フクナガ監督の本作は、大人になったジェーンのロマンスをメインを置く描き方。

孤児院を卒業したジェーン(ミア・ワシコウスカ)は、その後裕福なロチェスター家の長女のガヴァネス(子供の勉強と身の回りの世話をする役割)として働きます。
そこで、当主のロチェスター(マイケル・ファスベンダー)とロマンスが生まれるわけですがこれが甘いものではない。
しかもここで起こることが少々ミステリアスで、何気にホラータッチなんですね~。
ちなみにオフィシャルサイトの予告は見せすぎ(汗)

不運な少女時代を過ごし、人の愛情をあまり受けずに育ったジェーンは
恋に深く傷ついても、感情を殺し自分に立ち向かう女性。
だからこそ、なんとか幸せを掴んで欲しいと思わずにいられない。

前半時間軸が交錯することもあり、物語を知らない私にはちとわかりにくく
退屈に感じてしまうところもあったけど
二人のロマンスが展開し始めてからは、切なく旋律と美しい映像の助けもあり
胸キュンで惹きこまれました。

ロチェスター家に働く女中頭を演じるジュディ・デンチ
普段はジェーンのよき理解者なのだけど、
ジェーンとロチェスターの関係を知った後には、少し複雑な反応を見せるんですね。
貧しく生まれたものは、生涯日の目を見ることなく高望みなどもってのほか
それが当時の女性の当たり前の姿だったのでしょう。
ジェーンとの対比という点でも重要な役柄と言えるでしょうね。
永遠の僕たち
2012年02月02日 (木) | 編集 |

 
ガス・ヴァン・サント監督によるピュアな青春ラブストーリーです。
 
永遠の僕たち(2011) アメリカ
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ヘンリー・ホッパーミア・ワシコウスカ/加瀬亮/シュイラー・フィスク/ジェーン・アダムス
 
ずっと楽しみにしていた本作、結局近くでかからず、DVDで鑑賞しました。
 
今回ガス・ヴァン・サントが描くのは、若いアナベルとイーノックの奇妙な恋の物語。
見知らぬ人のお葬式に参列するのが趣味というイーノック(ヘンリー・ホッパー)は
両親を交通事故で亡くし、自身も3分間の臨死体験をした死に取り付かれた青年。
臨死体験以来の唯一の友達が、加瀬亮演じるゼロ戦特攻隊員のヒロシ・・
へ?でしょうけど、ヒロシは幽霊なのだ(笑)
 
一方、アナベル(ミア・ワシコウスカ)は癌で余命3ヶ月。
死を受容する過程で、人は怒りも経験するけれど
アナベルは、すでに自分の死を受け入れる境地にいる女の子。
ただその前の段階が描かれていないため、観る人によっては非現実的に感じるかもしれないね。
車の中で、病気はもう治らないことを話すアナベルを、姉が怒り、制すシーンがある。
妹の死を受容できていないのは姉のほうで、アナベルはそんな家族に口をつぐむしかない。
そんなときに出会ったイーノックは、「死」という観念の曖昧さからか
アナベルが余命3ヶ月と聞いてもさほど動揺するでなく、現実として受け止める。
そうして二人は、普通に恋に落ちていく・・。


ヴァン・サント監督と言えば、美少年を使った青春ものを撮るというイメージがあるけれど
本作でイーノックを演じるヘンリー・ホッパーも、
父デニス・ホッパーの若い頃によく似ていて、繊細で美しい。
『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワコウスカとのコンビは、
映画に二人の存在そのままの透明感を与えることに成功しています。

死を受容したアナベル。それでも不安に心が揺れることはあるけど、
彼女が求めていたのは、余命をしっかり生きることだったんでしょう。

多くの人が死にゆくアナベルを遠ざける中、
イーノックとの出会いはアナベルの最後の命を輝かせ
イーノックも、最後までアナベルを愛し、送ることで自らのトラウマを克服する。

イーノックが最後に涙をこぼすシーンで、
ヘンリー君はきっと、闘病中の父ホッパーを思っていたことでしょうね。
 
死にいく者、残される者それぞれの悲しみと再生を描いたピュアな作品でした。
ヒロシのサブストーリーには、戦死者へのリスペクトと哀悼を感じますね。

ん、これはやっぱり好き。