映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】マイ・ブラザー 哀しみの銃弾
2016年05月08日 (日) | 編集 |
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マイ・ブラザー 哀しみの銃弾(2013)
フランス/アメリカ
原題:Blood Ties
監督:ギョーム・カネ
脚本:ギョーム・カネ/ジェームズ・グレイ
出演:クライヴ・オーウェン / ビリー・クラダップ/ マリオン・コティヤール/ ミラ・クニス/ ゾーイ・サルダナ  
 ジェームズ・カーン/  マティアス・スーナールツ / ノア・エメリッヒ /  リリ・テイラー /  ドメニク・ランバルドッツィ  

 【あらすじ
殺人事件で服役し、7年ぶりに出所したクリスを、弟のフランクが迎えに来る。警察官としてまじめに生きるフランクは兄の更生を支えようと支援するが、クリスは職場に前科がばれクビになったことで自暴自棄になり、再び犯罪に手を染めていく……。


【感想
『君が生きた証』のビリー・クラダップを「知らないおっさん」と言い放ちひんしゅくを買いまして
出演作観てるのも多いのに意識したことなかったことを反省。
みーすけさんのツイートに触発されて「クラちゃんを探せ」企画に突入します。

まずは、フランス人俳優ギョーム・カネの監督二作目にして、初ハリウッド作品。
カネ君自身が出演したフランス映画の脚本を自ら書き替え、舞台を70年代のブルックリンとしたクライム・サスペンス
『マイ・ブラザー 哀しみの銃弾』です。

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クラちゃんくたびれてます

クラちゃん演じるフランクはまじめで優秀な警察官だけど、兄クリス(クライヴ・オーウェンが犯罪者ということもあってか職場でも何か遠慮がち。
7年ぶりに出所してきた兄の更生を助ける一方で、彼は強制捜査に入った家でかつての恋人ヴァネッサ(ゾーイ・サルダナ)と再会し、一児の母となった彼女との恋を再燃させる。。
おそらくは二人が愛し合った頃は、黒人差別ももっと厳しい時代だったんでしょう。
フランクは自分が逮捕した男の妻子を略奪した形になるため男の恨みを買うこととなるんですが・・

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クラちゃんのもみあげがダメなのか思いのほか評判はよくないらしいのだけど
どうしてどうして、いいじゃないですか、これ。

まず監督がこの時代のニューヨーク映画が大好きというだけあって、70年代のブルックリン雰囲気が最高にいいね。
兄弟の英語はほぼネイティブだけど父親役のジェームズ・カーンの喋りから彼らが移民の出であるのは明白。
生き延びるため犯罪に手を染めていった移民たちの住む町で、自然にチンピラとなった兄とその仲間との絆などはベンアフの『ザ・タウン』にも共通するところ。
全うな道を歩もうと警察官になったフランクの思いはまたしてもクリスにより遮られる・・。

カネ君は登場人物像や背景を突き詰めることに執着するタイプのようで
フランクはどうしようもない犯罪者だけど、そこに至るにはそれなりの理由があったり
フランクとクリスの関係も確執とか兄弟愛という言葉で形容しきれない、幼い頃から積み重ねてきた年月や思いがあることをしっかり描いていて、さすがとしか言いようがない。

だからこそ正義とのはざまで悩みながらもフランクが繰り出す「3度のノック」はものすごく重くて
怒涛のラストシーンに繋がる15分にカタルシスを感じてしまうんですよね。
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ゾーイ・サルダナやミラ・クニス、フランクの元妻にカネ君のパートナーであるマリオン・コティヤールまでビッチに投入したりと、女性陣もたいがい豪華なのだけど、なんたってこれは男の映画。
あまり観てなくて言うのも変だけど、おそらくは北野作品に通じる男の世界の描き方が素晴らしいんだわ。

フランクに恨みを持つゾーイの夫役にマティアス・スーナールツでっせ。
最近はプーチン色が濃くなったマティアスだけど、やっぱりこの男やくざをやらせたらピカイチだから。
登場時間短くてもきっちりお仕事しますわ。さすがだ。

クラちゃんもよかったけどここは兄クリスを演じるクライヴ・オーウェンに一本。
どんだけ悪ガキやねんと言いたいチンピラ男なんだけど
最後の 久々に飼い主に再会したハスキー犬みたいな瞳を見たら仕方ないなと思ってしまう。

70年代を思わせる曲たちも立派にこの映画の主役でした。

こちら監督のギョーム・カネ君とお相手のマリオン
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【映画】内なる乙女が覚醒!『リリーのすべて』
2016年01月27日 (水) | 編集 |
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リリーのすべて(2015
)イギリス /ドイツ/アメリカ

原題:The Danish Girl
監督:トム・フーパー
原作:デヴィッド・バーショフ
脚本:ルシンダ・コクソン 
出演:エディ・レッドメイン /  アリシア・ヴィカンダー/ ベン・ウィショー/ アンバー・ハード  / マティアス・スーナールツ
日本公開:2016/3/18


【あらすじ

内なる乙女が覚醒した!


【感想
『英国王のスピーチ』のトム・フーパーがメガホンを取り、エディ・レッドメインが世界ではじめて性別適合手術を受けたリリー・エルベを演じた伝記ドラマです。

デンマークに暮らすアイナー・ベルナー(レッドメイン)は、ある日妻(アリシア・ヴィカンダー)に絵のモデルを頼まれます。
ストッキングを履き、柔らかいドレスに触れた瞬間、アイナーの中で何かがはじけ
頬を染め、ぎゅっとドレスを抱き寄せてしまう。

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部屋に入ってきた友人(アンバー・ハード )がそんなアイナーを
「あなたのことを今からリリーと呼ぶわ」と茶化すんですが
それからというもの、アイナーの中でリリーの存在が日増しに大きくなっていくのです。

アイナー/リリーを演じるのは昨年『博士と彼女のセオリー』でホーキング博士を演じ
見事オスカーをゲットしたエディ・レッドメイン
本作でも主演男優賞にノミネートされています。

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今回は性適合障害のある青年を演じ女装を披露してるわけで、彼のチャレンジがまずは見もの。
もとより色白で優しげ、線が細いエディ君なので女装もそれなりに似合う。
女性が目覚める瞬間の戸惑いや葛藤はよく演じているし、だんだん綺麗になっていく感じはいい。
ただ、乙女を演じてるというか・・、内から湧き上がる女らしさはないのね。

だから本人の願望とは裏腹に、正直少し気持ち悪いところもあって、
世間の認識もないことからモンスター的な悲哀を生んでもいます。
このタイミングで出すのはどうかと思うけど、こちら本物のリリーさん。

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この映画で驚くのは、むしろ妻の献身ですね。
乙女になっていく夫に困惑しながらも、彼の渇望を理解しサポートしていくなんて私には到底出来ない。
思うにこの夫婦はそもそも妻がリードしていくタイプの逆転夫婦でもあった気がしますね。
妻の性的な傾向などは分かりませんけど
妻の愛は次第に家族や同胞へのそれに変わっていたように思います。

それにしてもアリシアちゃんはほんと可愛いわ。
そりゃ、エディ君がアリシアちゃんのキャミを身に付けたい気持ちもわかるってくらい。
何を着ても似合うし、何も着てなくても可愛い(笑)

確かな演技で妻の愛と献身、そして葛藤を表現して、こちらもオスカーノミネート。

共演者は他に マティアス・スーナールツベン・ウィショー
ウィショー君が本領発揮の役で登場したのにはひとりニマニマしちゃいましたわ。

でね、初めて女装して公の場に現れたリリーがウィショー君に見初められときめくんですが
リリーは女性として好意を持たれてると思ったらそうじゃなく傷つく・・ってあたり
個人的に分類的なところよく分かってないよなぁなどと思う。深いっすなぁ。

映像は美しく、複雑な心理で織り成される悲しい物語は嫌いじゃなかったし、役者陣も頑張っていたと思う。
だけど会場では時々失笑が起きたりするのは、なんとなく仕方ない気もしました。
マイノリティを受け入れるのが難しいのは、ある意味人の真理だから。
あと、どうしても自分の思いを貫き通すリリーが身勝手に見えてしまうんですね。
正直で誠実だから・・と思える描写がもう少しあると、より理解されやすかったんじゃないかな。


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【映画】『クライム・ヒート』トムハとわんこに萌え死に!
2014年09月14日 (日) | 編集 |
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シッチェス映画祭特集お休みして、今日は楽しみにしていたトム・ハーディ新作の紹介を。
クライム・ヒート(2014)アメリカ
原題:The Drop
監督:ミヒャエル・R・ロスカム
出演:トム・ハーディ/ジェームズ・ガンドルフィーニ/ノオミ・ラパス/マティアス・スーナールツ
日本公開:
ブルックリンでギャング上がりのマーヴ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)が経営する小さなバーは
マフィアの裏金が一時的に集められる集金所“ザ・ドロップ”として機能しており
マーヴのいとこのボブ(トム・ハーディ)がバーテンダーをしながら仕事を手助けしていた。
あるとき覆面の強盗に店の金を盗まれたことから、マーヴとボブはトラブルに巻き込まれていく・・



デニス・ルヘインによる短編小説「Animal Rescue」の映画化
ルへインが脚本も手がけ、『闇を生きる男』のミヒャエル・R・ロスカムがメガホンをとったクライムサスペンスです。

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ふふ、ハーディ好きにたまらない一本でした!
ハーディ演じるボブは黙々と仕事をし、寡黙で朴訥とした男。
バーテンダーなのでかっこよくカクテルを作ったりするのかと思いきや、
そんな小じゃれた店でもなく、せいぜいウォッカを注ぐ程度。
それよりも店に持ち込まれる闇の金を受け取り処理する姿の方が華麗ですねw
本作が遺作になってしまったガンドルフィーニとのやり取りにユーモアがあって
ゲラゲラではないけれど、ニマニマと笑ってしまった。


孤独に生きるボブが出会うのが仔犬のピットブル。
怪我をしてトラッシュ缶に捨てられたこの子を拾い、その際に出会ったナディア(ノオミ・ラパス)と
仔犬を介しての交流が始まります。
ネットでも話題ですが、そもそも犬好きのハーディが「はじめてのワンコ」状態で
ロッコと名づけた仔犬に不慣れながら愛情を持って接する様子がマジたまらん。
ロッコがお洒落な犬じゃなく、素朴でキュートなピットブルなところがまたよくて
ボブとロッコ セットで萌え死にそうになりましたから。

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そんなキュートな面を見せてくれる一方で、映画は次第に危険度を加速させていく。
これ以上は書けませんが、トムハの素朴さと肝の据わった内面の怖さとのギャップが素晴らしく
映画の質を思いっきり高めてます。
トムハの魅力を最大限引き出した監督に感謝。

裏社会に生きることの無常さに複雑なものが残るのものの
最後に少しだけ安らぎを感じさせてくれるのは、原作者のこれまでの映画化作品『ミスティック・リバー』や『ゴーン・ベイビー・ゴーン』に通じるものがありますね。
本作が遺作になってしまったガンドルフィーニは顔色が優れず、息遣いの荒さにも
体調の悪さを感じ見ていて辛かった。
最後まで万全に演じられていたらきっともっと見せ場も用意されていたのではないかな。
でもしがないヤクザもんで締めるのもギャンドルちゃんらしいのかもしれない。
エンドロールの追悼の文字にまたもウルル。お疲れ様でした。

色々語りたいけど語れずもどかしいですが
あとになってあれもこれも伏線だったなと思える脚本、演出もうまく、今のところIMDbでも8.0の高評価。
日本上陸はいつかな。



君と歩く世界
2013年03月20日 (水) | 編集 |



オスカーノミネートは逃したものの、アカデミー前哨戦を賑わしたマリオン・コティヤール主演のヒューマン・ドラマ。監督は『預言者』のジャック・オーディアールです。
君と歩く世界 (2012)フランス/ベルギー
原題:Rust and Bone
監督:ジャック・オーディアール
出演:マリオン・コティヤール/ マティアス・スーナールツ
 マリオンが演じるのは南フランスの観光施設でシャチの調教をするステファニー。
ある事故で膝から下の両足を失うことになり、生きる望みをなくした彼女が電話したのは、ダンスホールで知り合ったアリ。
粗野だがステファニーに同情するでなく、自然体で接してくれるアリにより
ステファニーは徐々に力を取り戻されていく・・

こう書くと邦題のイメージどうり、一昔前のクサいヒューマンドラマに思われそうだけど、ちょっと違う。
というのも、ステファニーを手助けするアリの方が問題を抱える男だったから。



文無し状態で5歳の息子サムとともに姉の家に身を寄せる男アリを演じるのは、『闇を生きる男』のマティアス・スーナールツ。人生の目標も持たず賭けボクシングで日銭を稼ぐ、根無し人間のアリは、あることからようやく自分の生き方を見直すことになります。
終わってみれば、これはアリとステファニーの再生物語。
原題のRust and Boneは直訳すれば錆びと骨
錆び付いた男アリと、足を失い新たに得た骨(義足)で、より力強く生きるステファニー二人を意味するのかなと思います。
マリオンは事故後の絶望に満ちた状態から、徐々に力を取り戻すステファニーを好演。
義肢の彼女をアリはロボコップと呼んでたけどwその逞しさは時にシーガニー・ウィーヴァーに見えるほどで革ジャン姿がカッコよかった。



彼女が再びシャチとコミュニケートする様子に感動します。
足のない姿、義足姿はショッキングですが、映像技術にも驚きますね。
映像といえば、水面に輝く陽光など、光の映像の美しさが印象的でした。

日本公開は4/6~