映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】悪党に粛清を
2015年12月07日 (月) | 編集 |
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悪党に粛清を(2015)デンマーク/イギリス/南アフリア
原題:The Salvation
監督:クリスチャン・レヴリング
脚本:アナス・トマス・イェンセン/クリスチャン・レヴリング  
出演:マッツ・ミケルセン/ エヴァ・グリーン/ジェフリー・ディーン・モーガン/ エリック・カントナ/ ミカエル・パーシュブラント/ ダグラス・ヘンシュオール/ マイケル・レイモンド=ジェームズ

【あらすじ】
1870年代アメリカ。デンマークから新天地を求めてアメリカへとやって来た元兵士のジョン。7年が経ち、事業もようやく軌道に乗ってきたところで、祖国から妻子を呼び寄せる。駅で感動の再会を果たした3人は、さっそく駅馬車で家へと向かう。ところが運悪く、駅馬車に刑務所帰りのならず者2人が乗り合わせてきた……。

【感想】
クリスマスのシーズンになりました。
クリスマスに観たい映画は・・という特集もいいけれど
今年はあえて趣向を変えて、移民を扱った作品を取り上げます。
今ヨーロッパで問題になっている中東からの移民ではなく
その昔ヨーロッパから新天地を求めてアメリカに渡った移民について。
今アメリカで賑やかにクリスマスが祝われるのも、移民が運んできた文化だと思うので。

前置きが長くなりましたが、今日はマッツ・ミケルセン主演のデンマーク発西部劇です。

マッツ演じる主人公のジョンは兄ピーターと共にアメリカに移民してきた男。
2人の寡黙なたたずまいが、移民の男たちの覚悟の程を覗かせます。
ようやく仕事も軌道に乗り、デンマークから妻と10歳の息子を呼び寄せることになったジョン。

しかし家族の再会という幸せは、駅馬車に乗り合わせたならず者によってあえなく壊される。
銃で脅され、馬車から突き落とされたジョンがみつけるのは、レイプされ殺された妻と息子の亡骸。

怒りに任せジョンはならず者2人を撃ち殺すんですが、
そのうち一人が村を牛耳るデラルー大佐の弟だったことから、彼は窮地に追い込まれるんですね。

妻子を失った悲しみも癒えないジョンが兄ともども捕らえられ痛みつけられる姿に
不条理な結末しか思い描けずどよよん・・・
ところが、映画は思わぬ反撃をみせてくれます。

マッツさん渋いわぁ。

この映画の面白いのは、デンマーク人が描く西部劇という点。
村人を震え上がらせる権力者デラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)が暴漢になってしまったのは
インディアンを大虐殺した心の闇からくるというところなど
アメリカ産の昔の西部劇では触れてこなかった部分でしょう。

ジョンの死闘も単なる命逃れの抗いとせず
英雄伝説に仕上げているところが心憎い。

勇気ある若者や美しいエヴァ・グリーンの存在も必須。
石油王誕生を示唆するラストシーンには胸のすく思いでした。


ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮
2013年04月14日 (日) | 編集 |





北欧映画特集
今日は、18世紀後半のデンマークの王宮を舞台にした愛と陰謀の実話です。

ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮(2012)デンマーク

英題:A ROYAL AFFAIR
監督:ニコライ・アーセル
出演:マッツ・ミケルセンアリシア・ヴィキャンデル、 ミケル・ボー・フォルスゴー、トリーヌ・ディルホム、デヴィッド・デンシック、トーマス・ガブリエルソン、 サイロン・メルヴィル


18世紀後半、精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世の侍医となった野心家のドイツ人ストルーエンセ。王の唯一の理解者であり、親友となる一方で彼は、孤独な王妃カロリーネの心も虜にし、禁断の恋に落ちる……。(公式サイトより)

本作のマッツ・ミケルセンは『プッシャー』のチンピラとは打って変わって
精神を病んだデンマーク王の侍医となるドイツ人医者ストルーエンセ。
啓蒙思想を持つ彼は、王の信頼を受け、実質王政を支配するまでになるんだけど
その影で、美しい王妃と恋仲になっちゃうんですね。

映画は2人の禁断の恋の行方を描くと同時に、政治の反対勢力や、王位を狙うものたちの陰謀が描かれます。

王の粗行に呆れ、孤独に生きる王妃が、マッツさんと恋に落ちるのも極自然。
しかも2人は民衆の暮らし向きを良くするための、いわば世直し共同体ともいえる関係
しかし、改革を急ぎすぎるものは叩かれるのが世の常で、2人を待ち受ける運命は切ない。

切ないといえば、王もまた気の毒なんですよね。
過度な養育から精神を病み、周りからは疎んじられ
唯一の友と思えた男から妻を寝取られ、それでも彼を信じていた。
勿論性的な関係ではないけれど、王は王妃よりもむしろストルーエンセを愛していたんじゃないかな。ミケル・ボー・フォルスゴーはベルリン男優賞受賞。繊細な演技で上手かった。




王妃を演じたアリシア・ヴィキャンデルは『アンナ・カレーニナ』のキティ役で見たばかりだったけど、本作の彼女のノーブルで美しいこと。
王にビンタを食らわす強さもあり、いつまで見てても全然飽きないのは演技力によるところも大きいはず。期待の女優さんですね。

ドロドロの三角関係を描いたドラマというだけでなく、男の野望や宮廷の権力争い、信頼関係や駆け引きなど怒涛のドラマが繰り広げられる壮大な史劇。これは面白かった!


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プッシャー
2013年04月08日 (月) | 編集 |


あまり意味はないんですが、今月は北欧の映画をいくつか観ていこうと思います。
まずは、『ドライヴ』のヒットのためか、ハリウッド版リメイクが作られたことを祝ってか
デンマークの俊英ニコラス・ウィンディング・レフン監督のデビュー作が日本公開になるとのことで、観てみることにしました。



 

プッシャー(1997)アメリカ
原題:Pusher
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:キム・ボドゥニア、マッツ・ミケルセン、ローラ・ドライスベイク、ラウラ・ドラスベァク

 
デンマーク、コペンハーゲンで麻薬ディーラーとして生きる男の転落の人生を描く作品です。

麻薬ディーラーの主人公のフランクを演じるのはキム・ボドゥニア相棒のトニー(マッツ・ミケルセン)と与太話をしながら、ディーラー稼業に精を出すフランクをレフン監督はドキュメンタリーとも思える客観的とも思える淡々とした映像で映し出します。
ところが、根の優しさが災いしてジャンキー相手に取立てにてこずり、ボスに返金できなくなるあたりからヤバい空気が漂いはじめる。
窮地に立たされたフランクが堕ちるところまで堕ちるのを、息を呑んで見守ることになりました。

マッツ・ミケルセンは一瞬所ジョージかと思ったけどw
後姿はこんな、いかれたチンピラでした。


一見地味ではあるものの、ヤクザもんの転落の方程式を展開しながら、
緊張感と刹那感が加速する作り。
そこここに潜むバイオレンスも直接的に見せないのが余計に怖さを煽ったりしてね。裏社会のボスが、料理好きだったりして、一見優しそうなところが逆に怖かったりかすかに漂うユーモアとヴァイオレンスのバランスも面白い。
レフン監督は、これがデビュー作というのはやっぱり凄いわ。







フレッシュ・デリ<未>
2012年03月21日 (水) | 編集 |


フレッシュ・デリ
2003年(デンマーク)
原題:The Green Butchers
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:ニコライ・リー・コス/ マッツ・ミケルセン/ ボディル・ヨルゲンセン 
    リーネ・クルーセ/ オーレ・テストラップ
【ストーリー】
肉屋を開業したばかりのスヴェンとビャンだったが、店は閑古鳥。
ところが間違って人を冷凍庫に閉じ込め死なせてしまったスヴェンが、人肉のマリネを店に出したところ評判になり・・・。


今月のキーワード
緑から、今日は翔さんのところで紹介されていて気になったこの作品を
これ、てっきりおバカテイストのホラーだと思ったら、ちょっと違いました。
というのも、監督は『ある愛の風景』『アフター・ウェディング』『未来を生きる君たちへ』などスザンネ・ピア監督作品で、原案と脚本を手がけてる人だったのね。

だから肉屋で人肉を売ったら大評判になったという、ありがちなブラック・コメディなのに,、主演二人の内面的なトラウマやバックグラウンドが丁寧に描かれてて
ドラマとして十分深刻なものになってるんですよ。びっくり。
とはいっても、ブラックな笑いもしっかり仕込んでいる。

個人的に一番笑ったのは、スヴェンとビャンの元の雇い主である肉屋のオヤジの台詞。
鹿のソーセージ作りを得意とするそやつは、
鹿を殺しミンチにして、腸詰めにすることに快感を覚えてるんですよ。
自分(鹿)自身が自分の尻の穴に詰められる。こんな屈辱はないだろうってw
考えたことなかったけど、そう言われれば確かにそうだわね(笑)



主演の片方、スヴェンを演じるのが、スザンネ監督作品でもおなじみのマッツ・ミケルセン
神経質で皮肉屋な汗っかきだから、人に嫌われて生きてきた男
本来なら人を殺め、かつ人を騙して肉を売っていることの葛藤があるはずだけど、自分の売る肉を人に喜んでもらえたという事実が彼の行動を後押しするという描き方が面白い。
デコちんな髪型でブラックな可笑しさ満載なのに、演技は必要以上に上手くてウケるw 
画像クリックすると大きくなるので確認してね。

ビャンを演じるニコライ・リー・コスは双子の兄と二役で、
こちらも悲しい過去を背負った心優しき男を好演。
時々繰り出すスネへの素早い蹴りが最高です(笑)

意外と深刻に話を進めた割には、最後はユルい成長物語に落ち着くのだけど
面白かったからよしということで。

ところで、開店した店のカウンターも、開店祝いのバルーンも緑、後にユニフォームも緑にしてやたら緑にこだわっていたんだけど、デンマークでは緑に特別の意味があるのかな。
ご存知の方教えてください。





アフター・ウェディング
2007年09月27日 (木) | 編集 |


2006年(デンマーク/スウェーデン)
監督・脚本:スザンネ・ビア
出演:マッツ・ミケルセン/ロルフ・ラッスゴル/サイズ・バベット・クヌーゼン
【ストーリー】
インドで孤児の援助活動に従事するデンマーク人・ヤコブは、あるデンマークの実業家から巨額の寄付金の申し出を受ける。条件はたった一つ、直接会って話をすること。久しぶりにデンマークへ戻ったヤコブは、実業家のヨルゲン(ロルフ・ラッセゴード)との交渉を成立させるが、週末に行われる彼の娘の結婚式に出席するように強引に誘われる。断れずに出席し、思いがけない人と再会して困惑するヤコブ。そして明らかになる衝撃の事実。やがてヤコブは全てを仕組んだヨルゲンの秘密と、彼の本当の望みを知ることになる…。
■感想
インドで孤児院を経営するヤコブ(マッツ・ミケルセン)。厳しい運営状況にあるヤコブに寄付金の申し出が。。
その条件として実業家ヨンゲル(ロルフ・ラッセゴード)から言い渡されるのが、娘の結婚式に出席することというので、断れないまま出席するヤコブはそこで思わぬ人に出会います。

ヤコブが出会ったのはかつての恋人。
今も美しいこの元カノ、ヘレネは実業家ヨンゲルの妻、そして結婚式を挙げた娘の母となっているのでした。
そして驚いたことに、その結婚式の場で、娘は父ヨンゲルは実の父親ではないこと、長年育ててくれたことに大きな感謝を示すスピーチをするのです。

何故ヨンゲルは多額の寄付を妻のもと恋人に申し出たのか。そしてなぜ、結婚式で家族に引き合わせようとしたのか。。
物語が進むにつれ、思いがけないヨンゲルの思惑を知ることになるのですが・・・、

最初はいけ好かないヤツだなぁなんて思ってしまうヨンゲルですが、彼の深い思いに、後半は泣けてしまいます。

ヤコブは突然訪れた運命の出会いに、何を考え、どのような人生を選択するのか。


映画紹介の新聞記事から、やさしく温かいドラマと直感して観始めたのですが、これが意外に重かったです。

描かれているのは家族への愛、そして責任。
誰も皆乗り越えるべきものがある。
静かに、静かに人間ドラマが進行し、それぞれの愛の形が胸にしみ込みます。

元カノ、ヘレナとその娘がそっくりで最初混乱してしまいましたが
娘を見る男たちが、へレナの若かりし頃に思いを馳せる様子をみれば、似た女優を使う意味もあるなぁというところかな。

主役のマッツ・ミケルセンはちょっとヴィゴに似てました。

インドの孤児も可愛らしく、その強さにもちょっと感動。ラストを後味の良いものにしてくれました。


おっと、公開前なので多くを語るのは止めておきましょう。

アカデミー外国語映画賞にノミネートされた作品です。


日本公開は10月からのようです。

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