映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ハスラー2
2015年09月28日 (月) | 編集 |

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【作品情報】
ハスラー2(1986)アメリカ
原題:The Hustler
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:リチャード・プライス
出演:ポール・ニューマントム・クルーズ /  メアリー・エリザベス・マストラントニオ/ ヘレン・シェイヴァー / ジョン・タートゥーロ / ビル・コッブス/ ロバート・エイギンス/ アルヴィン・アナスタシア


【感想】
『ハスラー』の続編となるマーティン・スコセッシ監督の『ハスラー2』です。


あれから25年。
かつてハスラーとしてならしたエディ(ポール・ニューマン)も、今は現役を退き、酒の販売などで生計をたてつつ、時にはハスラーの胴元として賭けを楽しむ中年男となっている。
そんなエディの目に留まるのが、抜群の腕を持つヴィンセント(トム・クルーズ
ヴィンセントに自分の姿を重ねたエディは、彼を一流のハスラーに育てるべくマネージメントを買って出る。
ヴィンセントの恋人カーメンも同行し、トーナメントの行われるアトランタを目指すのだが・・・

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これね、『ハスラー』から間を置いて観たらば素直に楽しめたかもしれない。
変な髪形でお調子者なハスラーを演じるトム・クルーズの教育に四苦八苦しながら
やがて自分の情熱を蘇らせるニューマン。二人の攻防は見ごたえがあります。

でも『ハスラー』のエディに感情移入し、苦いラストの余韻を引きずったまま見ると、納得できないところが多すぎてね。

まず、ハスラーの裏世界から追放されたエディが、その後もハスラーの胴元(っていうの?)みたいなことして今もビリヤード場に出入りしてることに「あ、そうなん?」ってなるし
痛い過去を引きずるはずのエディが、ハスラーとしていかに賢く(汚く)金を稼ぐかをヴィンセントに教えることにも違和感を感じてしまった。

勿論好きでハスラーの世界を捨てたわけではない。
エディの中には沸々としたビリヤード愛があっただろうことは分かるんだけど、出来れば死んだサラや盟友ファッツのことなどに触れるなど、悔恨の念をもう少し表現して欲しかったとも思ってしまった。
まぁ、ビリヤード場を舞台にすることがこの映画の醍醐味であり、スコセッシは、エディの再起を新しいビリヤード映画として描きたかったのでしょうけどね。
全てはマネーゲームとしてのビリヤードの楽しみ方を理解してない私自身の問題かもです。

ヴィンセントを演じるトム・クルーズは青くダサいヴィンセントを好演してます。
ヴィンセントがお金に執着がないことを彼が一銭にもならないゲームの攻略に夢中になるところに垣間見せる演出もよし。そんなヴィンセントをハスラーとして教育する過程のニューマンとクルーズのデコボコ師弟劇は面白い。
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しかし、マネーゲームの駆け引きよりも力を出し切ることに真剣になるヴィンセントがやがてエディを変えることになり、ヴィンセントのゲームに25年の思いをめぐらせるニューマンの表情がいいんですよね。
歳をとってもその後の人生において今日が一番若いんだというのはいつも思うことで
後悔するより挑戦してみようとするエディの姿に多くの中年が勇気を貰ったことでしょう。

ただ個人的にはせっかくならヴィンセントはビリヤード馬鹿のままでいて欲しかった。
予測不能の展開も面白さだとは思うものの、見ていて何度も「そっち?」と期待を裏切られました。
こういう映画も珍しい(笑)
映像もスタイリッシュでよかったし、ニューマンがこれでオスカーをゲットしたのも嬉しい。
ただ、どうしてももう少し前作への愛が欲しかったな。

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ところで、ひとつ疑問に思うところがあるんですが・・

フォレスト・ウィテカー演じるアモスがエディに「お前はハスラーか?」と訊かれて
それには答えずゲームを終えて立ち去る前に「もっとやせたほうがいいかな?」とエディに訊くシーン
あれはミネソタ・ファッツを意識してるとする意見をいくつか目にしたのだけど、本当のところはどうなんだろう。
デブのファッツ=ハスラーで、ファッツを思い起こさせることで自分はハスラーだと暗に答えているという意見も分からなくはないけど
なんだか作りこみに感じるし、アモスがファッツとエディの攻防を知ってたかも疑問。

個人的には単純に「お前はハスラーか?」のイエスの答えの代わりに
「もっとやせたほうがいいか?」と訊いて「イエス」の答えを誘導したと考えるほうが自然じゃなかろうか。


【映画】ハスラー
2015年09月26日 (土) | 編集 |
newman

9/26は2008年に83歳で亡くなったポール・ニューマン7回目の命日です。
今日、明日はニューマンの代表作でもある『ハスラー』『ハスラー2』を観て
ニューマンを偲びたいと思います。まずは61年の『ハスラー』から。

hustler poster

【作品情報】
ハスラー(1961)アメリカ
原題:The Hustler
監督:ロバート・ロッセン
脚本:ロバート・ロッセン /シドニー・キャロル
出演:ポール・ニューマン/ ジャッキー・グリーソン/ パイパー・ローリー/ ジョージ・C・スコット/ マーレイ・ハミルトン/ マイロン・マコーミック/ マイケル・コンスタンティン

【感想】
本作でニューマンが演じるのは名うてのハスラー、エディ・フェルソン。
ハスラーというのはビリヤードのプロの賭け師みたいなもので
コンベンションで地方を回り賞金を稼ぎ、時には素人相手に賭けをふっかける。
華やかなプロプレイヤーというより、むしろ裏世界に暗躍する勝負師といったところ。

hustler

自信家のエディが15年負け知らずの”ミネソタ・ファッツ”に挑む冒頭から
35時間にも及ぶゲームの世界が展開。
名前のとおり「デブ」なのにキレのある所作でゲームを進めるジャッキー・グリーソンがなかなかカッコいい。
さて、われ等がニューマンはというと、キューを構える姿は美しいし、ビリヤードを知らない私が見てもなんだか上手そうよ。でも調子こいて酒を煽り、気づけばスッカラカン。
腕はあるのに自分をコントロールできない駄目ハスラーぶりが情けないんだわ。

勿論最初から頂点に立ったのでは映画にならないわけで
それから再びファッツに対戦する日が来るわけですが・・・

こういう話で期待するのはエディの成長と再生 でしょ。
でも本作はスポ根的なさわやかなサクセスストーリーになってないところが味噌。
なぜなら映画は裏社会のどす黒さを描く諦念のドラマだから。

エディは自分のふがいなさから恋人サラ(パイパー・ローリー)を失い
サラのために再生をかけゲームに挑むことになります。
序盤と打って変わって真剣なエディのゲーム運びと会場の緊張を映すカットが秀逸。

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しかしゲームに勝ってもハスラーの世界では葬られることになるであろうエディの抵抗が虚しいんですよね。
計算しつくされた間の空気と、バート役のジョージ・C・スコットの憎らしさが最高。
『華やかな情事』で見たばかりなのに別人とも思える強欲さがゆるぎない悪役っぷり。
エディが立ち去った後、何事もなかったかのように動き出す人々の姿に
闇の世界にもルールが存在することを思い知らされます。

最後にファットと力を称えあうシーンに、そこには確かに男の世界があることが
せめてもの救いでした。

虚しいからこそクールとも言える、最高に面白い映画でしたね。
サラの物語も深いものがあって触れると長くなりそうなので、いつかまた。

【映画】傷だらけの栄光
2015年02月21日 (土) | 編集 |


傷だらけの栄光(1956)アメリカ
原題:Somebody up There Likes Me
allcinemaデータ

 
みーすけさんと一緒にプチ・ニューマン・ブームでして(笑)
今日も若き日のニューマン目当てに、彼が初めて主演を任された本作を観てみました。

貧しい生活からのし上がり、ミドル級のタイトルを獲るまでに至った実在の ボクサー、ロッキー・グラジアノの半生を描く伝記映画。
監督はロバート・ワイズ。アカデミー賞では撮影賞と美術賞を受賞しています。


ロッキーと聞くと、どうしてもスタローンの『ロッキー』を思い出します。
イタリア系移民の青年、無名の素人が頂点を目指すという点など、類似点はあるものの、スタローンがこのロッキー・グラジアノをモデルにしたのかはわかりません。


ニューマン演じるロッキーはボクサー上がりのアル中の父親に粗野に扱われながら、貧しい暮らしの中生きるために仲間とこそ泥を働く不良青年。そんな彼が服役中面会に来た母の言葉に開眼し、全うな道を目指すために偶然選んだのがボクシングだったんですね。

そもそもはジェームズ・ディーンが演じるはずのところ、急逝によりニューマンに白羽の矢が立ったとのこと。ワルだけど心根は優しく、どこかあっけらかんとしたキャラはディーンよりニューマンが合ってる気がします。
不良を演じていても陰にこもり過ぎず、コミカルな演出にもニューマンのキュートな部分が生かされてました。

ボクシングのことはよくわからないけど、最初は腕っ節の強さだけが目立つ荒削りのボクシングから、時間の経過と共に「らしく」なっていったし、映画出演2本目の駆け出しながらニューマンは違和感無くボクシングシーンもこなしています。
モノクロの街並み、ボクシングシーンのアングルなど、撮影賞受賞の映像もいい。

原題の意味合いとしては、どこかで誰かがちゃんと見て、愛してくれているといった感じかな。
ロッキーが更生するきかっけになった母の一言、ロッキーを支えた妻と家庭など、半生をスピーディに展開させながらもドラマ部分もきちんとおさえ、スポーツ映画とドラマをバランスよく配しているのは名匠と言われたワイズの手腕でしょうね。

誰もが貧しい時代。どうしようもない不良だったロッキーが英雄となって、貧民街に暮らす人々に希望を与えるさまが爽やかで、ペリー・コモの歌う主題歌もよかった。


ちなみに街のワル役で、本作が映画デビューのスティーヴ・マックィーンがチラリと登場します。





【映画】パリの旅愁
2015年01月30日 (金) | 編集 |



パリの旅愁(1961)アメリカ
原題:Paris Blues
allcinemaデータ

パリに暮らすアメリカ人ラム(ポール・ニューマン)とエディ(シドニー・ポワチエ)は、「クラブ33」で演奏するジャズメン。クラブはいつも満員の盛況。しかし音楽の世界を探求するため曲を書き始めたラムは、曲の評価が気になり苛立ちを感じている。

そんな折、世界的なトランペット奏者(ルイ・アームストロング)を迎えるため駅に出向いたラムは、2人の若いツーリストと出会いクラブに誘う。


ハロルド・フレンダーのベストセラー小説「パリ・ブルース」を『暴力波止場』のマーティン・リットが映画化。パリに暮らすアメリカ人ジャズメンとツーリストとの恋をジャズの演奏たっぷりに描く一本です。
 



若いポワチエさんとニューマンが同じバンドで演奏するジャズメンを演じてまして
それだけでも嬉しいんですが、大御所ルイ・アームストロングまで出てきて、気合のジャズセッションをしてくれるという、ジャズファンにはたまらないだろう映画です。
ですが、これ音楽映画というよりも、男女2組のパリ恋物語になってるんですね。
                                 



ニューマンは実生活でも妻のジョアン・ウッドワードに、ポワチエさんはダイアン・キャロルに惹かれていく。
パリの街でデートを重ねる様子は、『ローマの休日』的でもあり、なんとも微笑ましいんですよね。


しかし、エディがパリに暮らすのは人種差別の残るアメリカを嫌ってのこと
ラムにはラムの音楽へのこだわりや、仲間への責任があり
2組はそれぞれに問題にぶつかることになります。

12日間。終わってみればエディとラムそれぞれの決断には納得。
二人の進む道は決して安易ではないでしょう。
それぞれの瞳に不安をよぎらせながらも、新たな人生の幕開けへの決意も感じさせる。
最後に響くトランペットの音もカッコよく、終わってみれば男の映画!

99分とコンパクトながらインパクトは十分。これ好きだわ。

日本ではDVDになってないようなのでyoutubeに全編アップしてみました。(英語字幕)

18:20から「ムード・インディゴ」の演奏
1時間o3分過ぎたあたりからの今くるよさん・・もとい、アームストロングの突撃セッションは最大の見所です。