映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】シークレット・オブ・モンスター
2017年01月19日 (木) | 編集 |
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シークレット・オブ・モンスター(
2015 イギリス・ハンガリー・フランス
原題:The Childhood of a Leader
監督:ブラディ・コーベット
脚本:ブラディ・コーベット/モナ・ファストボルド
出演:ベレニス・ベジョ/トム・スウィート/ロバート・パティンソン/リーアム・カニンガム/ステイシー・マーティン  
あらすじ】
1918年、ベルサイユ条約締結のため、米政府高官が妻と息子とともにフランスに送り込まれた。少女のように美しい息子プレスコットは終始不満を抱え、不可思議な行動が目立つようになり・・

【感想】
 英エンパイア誌選出2016年のトップ25から、今日は21位にランクインのシークレット・オブ・モンスター。
US版『ファニーゲーム』でマイケル・ピットとともに悪質な若者を演じた俳優ブラディ・コーベットの初監督作品にして、ヴェネチア映画祭でジョナサン・デミ監督に絶賛されたということで食指が動きました。


原題『The Childhood of a Leader』は原作のタイトルである「一指導者の幼年時代」。
ベルサイユ条約締結のため、アメリカからやってきた政府高官一家の息子プレスコットの幼少時代を描き、彼がいかにモンスターになっていくかを見せていきます。

まず印象的なのがショッキングなまでに鳴り響き不安を煽ってくるオープニングの音楽。
いったいどんなモンスターのお話なのかと思わず構えました。

間もなくプレスコット(トム・スウィート)が教会に石を投げるという事件が発生。
以後、彼の両親やメイド、フランス語の家庭教師などとの日常が描かれ、プレスコットの中で静かに、しかし確実に澱が沈んでいくのを目撃することになります。母親を演じるベレニス・ベジョのうまさもあって、なるほど、これは心もゆがむわなと。
子役のトム君も、普通の子供の表情を見せたかと思うと、いきなり心を閉ざしてみたり、可愛いだけではない確かな存在感を放っているのが凄い。彼の美しさも、重厚感のある映像も映画の雰囲気にマッチしています。
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ただ、ラストが唐突で、え?え?
プレスコット君の話じゃなかったの?と一瞬唖然
でもその顔にほくろを見つけた瞬間、あーそういうことかと納得したんですよね。

同じように狐につままれた感じで見終えた人も多いのではないかなぁ。

あのラスト、時間の経過をわかりやすく提示してくれたら親切だと思うんですが
まぁしかし、説明が少ないからこそ謎が解けた瞬間の満足感もあるという作品でしょうね。
プレスコットが女の子と間違えられても髪を切るのを嫌がったのにも理由があったのだと
後から気づくことも多かった。
パティンソンがそんなちょい役ではないわなと早々に気づくべきでした。


なかなかにインパクトのある秀作でしたね。
不穏な空気が癖になりそうなのでw、監督の次の作品も楽しみにしたいと思います。


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ある過去の行方
2014年04月14日 (月) | 編集 |



今日は今週末日本公開の作品から
『別離』のアスガー・ファルハディが脚本、監督を務めたフランス映画。
『アーティスト』のベレニス・ベジョが主演し、カンヌで女優賞を受賞しています。
ある過去の行方(2013)フランス/イタリア
原題:Le Passe/The Past
監督:アスガー・ファルハディ
出演:ベレニス・ベジョ/アリ・モサファ/タハール・ラヒム/ポリーヌ・ビュルレ
日本公開:2014/4/19
夫と別れて4年がたつシングルマザーのマリーは、子持ちの男性サミールとの再婚を予定し、新たな生活を始めていた。しかし、正式な離婚手続きをしていないため、イランにいる夫のアーマドをパリに呼び寄せる。マリーはアーマドに前の夫との子供リュシーとの関係が上手くいっていないことを告白し、アーマドはリュシーの話を聴くが、リュシーの口から思わぬ事実を知らされ・・


 『別離』で宗教や異文化を交えた複雑な人間模様を展開してみせたアスガー・ファルハディ監督。
本作でも正式に離婚の手続きを踏もうとする夫婦の過去を紐解くことで、彼らの愛憎がもたらす因縁をミステリアスに炙り出すことに成功しています。

 ヒロイン、マリーを演じるのは『アーティスト』とはまるで違った雰囲気のベレニス・ベジョ
4年前に彼女の元を去ったイラン人の夫アーマド(アリ・モサファ)を「離婚の手続き」のため呼び出し、
子持ちの恋人サミール(タハール・ラヒム)と同棲中の家に寝泊りさせる。
その「無頓着」とも思える行動の裏には、マリーのアーマドへの未練や執着があることに気づくことになる。
家が「ペンキ塗りなおし中」なのは、その思いへの裏返し、アマードへのあてつけにも見えてくる。
さらに、サミールには自殺未遂で昏睡状態の妻がいることも判ってくると
自体は妻の自殺の原因をめぐるミステリーへと展開するんですが、
それがまた、サミールの周辺の愛憎をえぐる多重構造になっていくのが深いんですよ。



 穏やかで誰にも優しいアーマドは好印象で、彼には何の罪もないように見えるけれど
結局はどうしてもパリで暮らすことが出来なかった移民である彼の本質が全ての悪を生んだのかもしれない。
そのことは「壊れたスーツケース」からのぞいていたお土産を、子供たちが盗むというエピソードで、さり気に示唆されてるようにも思いましたね。
スーツケースが壊れたことはアマードのせいではない
けれどもそのことが思わぬ「罪」を生むこともあるということ。
子役も上手かった



 最後は監督らしく、全てを語りません。
それでも、過去の全てが明らかになった今、ようやく新しい未来が始まるのだと
そんな風に思いました。
アスガー・ファルハディ監督やっぱりうまいわ。