映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『アメリカン・スナイパー』
2015年01月18日 (日) | 編集 |
americansniperposter.jpg
アメリカン・スナイパー (2014)アメリカ
原題:American Sniper
監督:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー/シエナ・ミラー/ジェイク・マクドーマン/ルーク・グライムス
日本公開: 2015/2/21
 
米ネイビーシールズのメンバーとしてイラク戦線で活躍した伝説のスナイパー、クリス・カイルの回顧録をブラッドリー・クーパー主演、クリント・イーストウッド監督で映画化した一本。

アカデミー賞の作品賞、主演男優賞など6部門にノミネート
土壇場になってイーストウッドが存在感をみせますね。

予告が面白そうだったので初日に観てきました。
米軍史上最高のスナイパー、クリス・カイルを一回り大きく身体を作り込んだブラッドリー・クーパーが演じます。カイル氏は255人に上るイラク軍やアルカイダを射殺し、その正確さからも伝説とされる方。
映画はカイルの射撃の凄さをひたすら見せます。見せます。見せるんですが・・
正直途中から帰りたくなりました。

銃撃シーンが長いんですよね。
勿論それが戦争のリアリティだと思うのだけど、カイルの腕を見せる部分は所詮個人プレイなので
戦場での仲間同士の繋がりとか、作戦とか、葛藤とかを期待していた私にはちょっとあてがはずれました。
正義のために命をかけた愛国心の塊のような男が、4回の出兵ごとに徐々に戦争に心を蝕まれていくのはやるせないですが、それもどうしても『ハートロッカー』の二番煎じに感じてしまうしね。

americansniper.jpg

終盤カイルの心のひずみが表面に現れ始めてようやく面白くなります。
彼は戦場で戦ったのと同じぐらい、家庭復帰することにもがくことになる
ま、でも気がつけば乗り越えていたというか(汗)
その過程をもう少し丁寧に描いて、家族の力にフォーカスしていたらもっと良かったと思うのだけど
妻を演じたシエナ・ミラーの活躍がもうひとつ見えてこないのは残念でした。

とは言え、最後には実話の重みをずっしり感じ余韻に浸ることにはなるので、鑑賞後感は悪くない。
ただ、イラクを舞台にしながら、ポリティカルな視点をまるで入れない戦争映画ってなんだろうと
ちょっと複雑な気持ちになりました。
関係ないけど赤ちゃんが人形だったのはちょっと白けたよ(笑)

baby.jpg



『ミッドナイト・ミート・トレイン』:ブラッドリー・クーパー
2014年01月30日 (木) | 編集 |



オスカーシリーズに戻りましょう。
今日は『アメリカン・ハッスル』で助演男優賞にノミネートされたブラッドリー・クーパーの2008年の未公開ホラー。クライヴ・バーカーの原作小説の映画化『ミッドナイト・ミート・トレイン』です。
ミッドナイト・ミート・トレイン(2008)アメリカ
原題:The Midnight Meat Train
監督:北村龍平
出演:ブラッドリー・クーパー/レスリー・ビブ/ヴィニー・ジョーンズ/ロジャー・バート/ブルック・シールズ
 
 
【ストーリー】
売れない写真家のレオンは、ある日チンピラに囲まれた女性を助けるが、翌日女性が行方不明になったことを新聞で知る。レオンは写真に収めたある男の関与を疑っていた。


北村龍平監督のハリウッドデビューとなるスラッシャー・ホラーです。




ブラッドリー・クーパー演じる主人公のレオンは、ブルック・シールズ演じるご意見番アーティストに助言され、生を感じられる写真に挑もうとしている矢先、失踪事件に間接的に関わるんですね。
偶然遭遇した「奇妙なオーラを発する大男」に暴力的な何かを感じ、失踪事件との関係を疑いつつ、被写体として男を追い回す。
もう、ブラッドリーが危なっかしくてね。愛する恋人(レスリー・ビブ)との将来や、写真家としての成功が目の前にチラつく上に、変な正義感があって、気づけばとんでもない事態に自分を追い込んでるわけ。

最初に書いたように、これかなりスラッシャーなホラーでして、
案の定男は走る列車の中で、乗客を血祭りに上げていく。血しぶきどころか首も目玉も飛ぶんですな。
しかし、勝手にシリアルキラーものと思ってたら、そんなありそうな話じゃ全然なくて、ちょっとびっくり。後味はマイケル・ウィナーの『センチネル』に似た感覚かな。




本作のブラッドリー・クーパーはほぼ出ずっぱりで、アクションからベッドシーンまで大活躍(笑)
そして、そのブラッドリーを食っちゃうのが謎の大男マホガニーを演じるヴィニー・ジョーンズ
スーツにネクタイ、刈り上げといういでたちで、鞄片手に昼間は肉屋で働き、夜は地下鉄で人気のない列車を待つ男。雑踏の中にいても異様さが際立つジョーンズの存在感が凄い。

すばやいアクションシーンがちょっと見にくかったけれど、主要な登場人物の動機がちゃんと描かれていて、この手の映画にしては良く出来た作品だと思います。
ポスター、今ならブラッドリーを使うだろうな。



ライアン・ゴズリング『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』
2013年04月17日 (水) | 編集 |



今日はエバート氏塗りつぶしの一本。
『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ新作です。
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (2012)アメリカ
原題:The Place Beyond the Pines
監督:デレク・シアンフランス
出演:ライアン・ゴズリング、 ブラッドリー・クーパー、 エヴァ・メンデス 、 レイ・リオッタ、ベン・メンデルソーン、 ローズ・バーン、 マハーシャラ・アリ
日本公開:5/25~
 
ゴズリング演じるルークは各地を転々としながら、祭りのショーで危険なバイクスタントを生業とする男。
ある時、ルークはかつての恋人ロミーナと再会。ロミーナ(エヴァ・メンデス)が自分の子供を産み育てていたことを知り、その地に留まり、子供を養うことを申し出る。
小さな修理工場で仕事を得るルークは、やがて銀行強盗に手を染めることに・・



銀行強盗の後、バイクを使って逃走するシーンの大半が長回しで撮られ迫力です。
しかしある失敗から、逃走中、新米警官のエイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追われることに。
映画は、ルークとエイヴリーの人生を絡ませながら、二世代に渡る「父と子」の関係を描くもの。



ルークの背景は語られず、孤独な天才ライダーという設定が『ドライヴ』に似てますね。
またしてもその腕前を犯罪に生かすことになるのだけど、今回は「我が子のため」であるところが
ようやく得た小さな幸せにすがるようで切ない。
後半はブラッドリー演じる警官エイヴリーの人生にシフト
彼も正義感に溢れ、野心家である一方、心の闇を抱え込むことになる男。
ルークの相棒を演じるベン・メンデルソーンしかり登場人物は善と悪の両方を持ち合わせている。
それが人間だという監督の主張ですね。
警官仲間のレイ・リオッタが醸しだす緊張感は半端なく、サスペンスを盛り上げてくれました。


正直、子供の世代が描かれる後半は助長に感じてしまったのだけど、
終わってみれば、哀しみのループを閉じるには必要だったんだなと思う。
一枚の写真が魔法のように長い間のわだかまりを溶かし
エンドロールになってジワジワと感動がこみ上げてくる作品でした。

ちなみにタイトルのThe Place Beyond the Pinesは舞台となるニューヨークのスケネクタデイが
モホーク語で「松平原の向こう」であることから。
今のところ(アカデミー関連作品を除いて)今年一番ですね。
ゴズリングとメンデルソーンのワンちゃんダンスシーンは、ひと時心が和み最高でした!(笑)




      

[READ MORE...]
ザ・ワーズ 盗まれた人生
2013年03月08日 (金) | 編集 |



ザ・ワーズ 盗まれた人生
(2012) アメリカ


【原題】The words
【監督】ブライアン・クラグマン / リー・スターンサル
【出演】ブラッドリー・クーパー / ジェレミー・アイアンズ / デニス・クエイド / オリヴィア・ワイルド / ゾーイ・サルダナ / ベン・バーンズ / マイケル・マッキーン / ルシンダ・デイヴィス / J・K・シモンズ

【ストーリー】 
偶然見つけた誰のものともわからぬ原稿を、自分の作品として出版してしまった作家志望のロリー。
本は思わぬヒットとなり金と名誉を手にしたロリーだが、その心は重い。
そんな彼の前に原稿を執筆した本人という老人が現れ。。


現在の作家(デニス・クエイド)の新作発表のリーディングという形で、盗作の作家ロリーと老人の物語が語られます。



若き作家ロリーに製作総指揮も務めるブラッドリー・クーパー
彼の前に現れる老人にジェレミー・アイアンズです。
二人が対峙するシーンはスリリングでもあり、その後の展開に興味が尽きません。
ただ、老人が過去を言葉で語る部分がやや単調なのが残念。
4つの世代を交錯させる作りでもあるのを複雑とし
シンプルならマスターピースと評する人が多いのもわからないではないんですよね。



とは言え、過去の思いが描かれることは必要で、
それぞれの役者の素晴らしさもあり、私はこの深いドラマを堪能しました。
ロリーの妻にゾーイ・サルダナ、ロリーと老人それぞれの哀しいラブストーリーでもあります。
老人の若い頃を演じたベン・バーンと妻の駅のシーンが凄く好き。




書くことに将来の希望を託す者、悲しみを紛らす手段とする者、全てを清算しようとする者
明かされるそれぞれの思いに、言葉の持つ様々な役割を考えさせられます。

最後のシーンをどう解釈するかは観るものに託される形でしょうか。
私は「希望」と受け取りたいですね。
しっとりした好きな作品でした。

3/9からの公開です





 
      

世界にひとつのプレイブック
2012年12月02日 (日) | 編集 |
オスカー前哨戦の中でも、もっとも重要視されるトロント国際映画祭で
観客賞を受賞
したデヴィッド・O・ラッセル監督最新作です。




世界にひとつのプレイブック
2012年(アメリカ)
原題:
Silver Linings Playbook
監督:デヴィッド・O・ラッセル
出演:
ブラッドリー・クーパージェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、クリス・タッカー、ジャッキー・ウィーヴァー



パット(ブラッドリー・クーパー)は8ヵ月リハビリ施設で過ごしたあと両親の住む自宅に戻った。
妻には去られ、家も仕事も失くしたパットだったが、妻ニッキへの未練は断ち切れない。
彼友人のつてでニッキと交友関係のあるティファニー(ジェニファー・ローレンス)とに知り合い、ニッキに思いをしたためた手紙を渡して欲しいと依頼するが、ティファニーはパットにダンスのパートナーとしてコンテストに出場してくれたら、という交換条件を出してきた。

原題のSilver Liningsというのは “every cloud has a silver lining.” というフレーズからきていて、
転じて、絶体絶命の状況から希望の光が見えること という意味があるらしい。

ということで、本作は絶体絶命の状況にある面々が登場し
それぞれが自分を見つめ、希望の光を見出していくお話です。




ブラッドリー・クーパー演じるパットは双極性障害を持ち、ある事件から精神病院送りとなり
教師の職も家も失い、妻にも去られた男。
映画は8ヶ月の療養を終えたパットが両親の住む家に戻り、社会復帰の準備をするところから始まります。
そんなときに出会うティファニーもまた、夫を失い、人生の軌道から外れてしまった女性。
会社中の男と寝るというセックス中毒を経て、今は人に攻撃的にあたることでストレスを回避している状況。
精神に破綻をきたしたところから回復過程にあるもの同士の出会いは
意外なケミストリー効果をもたらし、互いの心を癒していくんですね。

ストレートに言葉をぶつけ合い、一見シニカルなコメディに感じるのだけど
不思議と温かくて心を動かされます。
普通なら妻を恨んでもおかしくない状況なのに、パットはずっと妻ニッキを愛し
妻の求める自分になれば、ニッキを取り戻すことができると希望を持っている。
子犬のような瞳を持つブラッドリーだからこそ可能になる話で
彼の純真な存在感が、映画にある意味ファンタジー的な清々しさを加味してるんですよね。
勿論パットのニッキへの思いは、ティファニーとの恋の行方を予測不能にする効果もありました。




ジェニファー演じるティファニーはたまねぎのようにいくつもの皮をまとった女性。
その皮の一枚一枚を丁寧に演じたジェニファーはオスカーノミネートまず間違いなしでしょ。
最後につるりと素直なティファニーが現れる瞬間は感動です。
パットの父親役ロバート・デニーロは、不完全な家族を持つ悲哀をコミカルかつ温かく演じて最高。
『アニマルキングダム』以来大注目のジャッキー・ウィーヴァーもでしゃばりすぎず、
不安定な一家を地道に支える母親を好演。
デヴィッド・O・ラッセルは作品ごとにテイストの違う映画を作る人だけど
今回は脚本も担当し、その才能をさら発揮してますね。
ダンスコンテストシーンでは『ザ・ファイター』に続いてスポ根ものの味わい。
等身大であることって気持ちいいと思える素晴らしい作品でした。
今年一番かも。

★★★★☆