映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】あの頃ペニー・レインと
2016年05月14日 (土) | 編集 |
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あの頃ペニー・レインと(2000)
アメリカ
原題:Almost Famous
監督/脚本:キャメロン・クロウ
出演:パトリック・フュジットケイト・ハドソン / ビリー・クラダップフランシス・マクドーマンド  
 ジェイソン・リー  / アンナ・パキン/ フェアルーザ・バーク/ ノア・テイラー/  ゾーイ・デシャネル/ フィリップ・シーモア・ホフマン 


 【感想
クラちゃんを探せ! 2本目は
クラダップが新進のロックバンドのギタリストを演じた『あの頃ペニー・レインと』。

主役はパトリック・フュジット演じるウィリアム少年。
家出した姉がアルバムを残してくれたのをきっけにロックにはまることになったウィリアムは学校新聞や地方誌にロック記事を投稿する音楽好き少年に成長。伝説のロック・ライター(フィリップ・シーモア・ホフマン)に認められ、さらにはローリングストーン誌のめにとまり新進ロックバンド「スティルウォーター」のツアーに同行取材することに。
グルーピーの中でひときわ輝くペニー・レインにひそかな恋心を抱くウィリアムだったが・・

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自身も15歳でローリング・ストーン誌の記者をしていたというキャメロン・クロウ監督の体験をもとに、ウィリアムの奮闘を描く青春ロードムービーです。
クラちゃん演じるラッセルはスティルウォーターの人気ギタリスト
原題のAlmost Famousはブレイク寸前のこのバンドのことを言ってるんでしょうね。
映画用の架空のバンドとはいえスティルウォーターのパフォーマンスはなかなかのもので
クラちゃんも決まってる。
劇中挿入される曲もいいし、コンサート会場の裏側が見れるなどロック好きにはたまらないものがありますね。

ロックに疎い私は置いてけぼりを食らうんだろうなと長いことスルーしてましたが
曲名を知らなくても十分に楽しめるし、再見するごとに涙の量が増える、今では大好きな作品です。


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まず印象的なのが、ウィリアムが家出した姉からアルバムを貰い受けたアルバムを聴くシーン
姉が密かに集めたであろうそのコレクションの一枚には
"ろうそくを灯して「WHO」の「トミー」を聴きなさい”と書いたメモが挟まっている
ウィリアムが音楽に目覚める瞬間が感動的で
弟よ、自分自身で未来への扉を開くのだよ とする姉の思いにもほっこり。

姉のほかにも母親や地方紙の伝説のライターなど、ウィリアムの周りには彼を地味に支える大人がいる。
娘への過干渉の失敗を踏まえ、ウィリアムを心配しながらもツアーに参加するという最大限の冒険を容認する母。
ウィリアムズにジャーナリズム指南をしつつ、ロックへの愛と危惧を語る伝説のロック・ライター。
それぞれを演じるフランシス・マクド―マンドとフィリップ・シーモア・ホフマンが最高で
この映画が単なる15歳の大冒険になっていないのは、そうした大人たちの温かいまなざしがきちんと描かれてるから。

大人の階段を登るのに時には冒険も必要。
でも大人がちゃんと見守って、傷ついた心もフォローしてようやく子供は成長できるのかもしれないね。
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ウィリアムが淡い思いを寄せることになるペニー・レインを演じるケイト・ハドソンが飛び切りキュートでした。
クラちゃんはいかにもロックスターというより、まだ田舎のバンドの人という感じで
虚栄とリアルのはざまを行き来するラッセルを好演。
脆さの中にカリスマ性を感じる存在でしたね。若いよ。
01 Billy Crudup as Russell Hammond 


真実に向き合ってこそ得られるものが大きい
ペニー・レインにももうサングラスはいらない
ほろ苦いけれどさわやかで、ラスト10分には訳の分からん涙があふれた

とにかくこれ最高です。


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【映画】フィリップ・シーモア・ホフマン『ゴッド・タウン』
2015年01月02日 (金) | 編集 |
新春一発目はこれ!

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ゴッド・タウン
(2014)アメリカ
原題:God's Pocket
監督:ジョン・スラッテリー
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン/クリスティナ・ヘンドリックス/リチャード・ジェンキンス/ジョン・タトゥーロ/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/エディ・マーサン

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ミッキー(フィリップ・シーモア・ホフマン)は爆乳妻ジーニー(クリスティナ・ヘンドリックス)に頭が上がらない。
あるとき妻の連れ子のレオン(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)が仕事先で「事故死」。
金銭トラブルを抱えたミッキーがレオンの葬儀代に頭を悩ませる一方で、爆乳妻は息子の死に疑いの目を向ける。地元新聞のアル中コラムニスト(リチャード・ジェンキンス)も詮索を始め、ゴッズポケットの町は俄かにざわめき始め・・


ホフさんが亡くなって、もう一年近くになるんですね。
本作は昨年5月に少数館で公開されらしいんですがこれが面白くてね。
ホフさん主演という以外に、さほど期待もせずに見た私には思わぬ拾い物でした!

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タイトルでもある「God's Pocket」はこの町の名前
ここ、ベンアフの『ザ・タウン』を髣髴とさせる軽犯罪者の暮らす町という感じでね。
レオンの死をきっかけに、この町にあれよあれよという間に死体が転がり始める。
その不条理感とブラック加減は初期のコーエン作品を髣髴とさせるものがあり
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な悪の連鎖が可笑しみと哀れを絶妙に醸し出すんですよね。

監督のジョン・スラッテリーはこれが長編初監督作品とのこと。
俳優出身ということもあってか、出演者が曲者揃い!
ホフさんは静かな役でもあり、やや精彩を欠いた気がするけれど
その分、ジェンキンスさんやタトゥーロが職人振りを発揮してくれるし
馬鹿息子レオンを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(『アンチヴァイラル』)の演技の幅にも感服。
あ、でも大半は死体でしたけど(笑)


ただ最初波に乗りにくいのが残念かな。
葬儀のシーンから始まり、3日前に戻って話の顛末を見せるという構成なんですが
冒頭からジェンキンスさんのナレーションで語られることの繋がりがわかり難く頭が混乱するんですよね。
まぁ、ジェンキンスさんには色々混乱させられましたけどw
監督遊んだね~。
あまり評価は高くないようだけど、映画通はこの可笑しさきっとわかるはず。
結構なブラックコメディでした(笑)

トレーラー貼っておきます。(ちょっと見せすぎw)





【映画】 『ラブ・ライザ/Love Liza(原題)』 ガソリン中毒のフィリップ・シーモア・ホフマン
2014年05月22日 (木) | 編集 |



ラブ・ライザ(原題)(2002)アメリカ
原題:Love Liza
監督:トッド・ルイーソ
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン/キャシー・ベイツ/ジャック・ケーラー
日本公開:未公開
 【ストーリー】
妻ライザの突然の自殺後、夫ウィルソンはガソリンを嗅ぐようになり・・


フィリップ・シーモア・ホフマン主演の日本未公開のドラマです。
ホフさんの訃報のあとこれ再見しなくちゃと思っていたのに、レンタルでvery long wait状態が続き
気がついたらDVDリリース前の作品を置くsaving listの方に移動されてまして
レンタルできないんだと残念に思っていたらテレビで放送してくれました。

ホフさん演じる主人公ウィルソンは、妻を自殺で亡くした男性。
彼は枕の下に封筒に入った妻の遺書を発見するけれど、それを開くことも出来ない。
ウィルソンは妻の自殺の理由が自分にあるのではないかと恐れてるんですね。




心の痛みを癒すためガソリンを嗅ぎ始めるウィルソン・・
彼は妻の死を受容できないままに、ガソリンに依存してしまうのでした。

一方ライザの母(キャシー・ベイツ)も娘の自殺の理由を知りたい。
ライザの死をめぐって、夫と母、二人がそれぞれに葛藤しぶつかり合いながら
受容に向かって動き出すのです。


本作が初めての主演作だったホフさんは、泣いたり笑ったり怒ったり
実にさまざまな顔を見せてくれています。
ふとっちょなのに今にも壊れそうだったり、脆い男を演じさせたらピカ一だった。
鼻血を出して朦朧とする姿を見るのは辛かったけれど
どのシーンにもホフさんがいて、演技を堪能できたのは嬉しかった。

監督は『ハイフィデリティ』で禿のレコード店店員を演じていたトッド・ルイーソ 
シリアスな問題を扱ってはいるけれど、ラジコン仲間デニー(ジャック・ケーラー)とのバディシップや、キャシー・ベイツとのやり取りはどこかユーモアもあって暖かい。
可笑しみを同居させつつ、哀しみと愛の本質を描いているのは好みでした。
脚本はホフさんの実兄であるガードン・ホフマンによるもの。
サンダンスで脚本賞を受賞しています。


ラストシーンは素直に取ればウィルソンの再生
でももしかして違った解釈ができるんじゃなかろうか と考えてしまった。
いくつかのシーンを思い返し、意味付けを再考してしまう面白さもありましたよ。

元気に走るホフさんが微笑ましい動画貼っておきますね。
キャシー・ベイツvsホフマンの名シーンでもあります。



25年目の弦楽四重奏
2013年04月18日 (木) | 編集 |



エバート氏のリストから、今日は『25年目の弦楽四重奏』を。
25年目の弦楽四重奏(2012)アメリカ
原題:A Late Quartet
監督:ヤーロン・ジルバーマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、 キャサリン・キーナー 、 クリストファー・ウォーケン、 マーク・イヴァニール、 イモージェン・プーツ
日本公開:7/6
バイオリンのダニエル、ロバート、ビオラのジュリエット、チェロのピーターは、結成25周年を迎えるフーガ弦楽四重奏団のメンバー。ところがある日、ピーターがパーキンソン病の告知を受け、今季をもって引退すると宣言。動揺を隠せない残りの3人はそれまで抑えてきた感情をあらわにし、メンバー間に不協和音が響きはじめる。(Movie Walkerより)

結成25年を迎えるベテラン音楽家たちが、突然訪れた四重奏団解散の危機に直面する姿を描くヒューマンドラマです。

 メンバーの長ピーターにクリストファー・ウォーケン、第一バイオリンのダニエルにマーク・ウヴァニール、第二バイオリンのロバートにフィリップ・シーモア・ホフマン、ロバートの妻でビオラのジュリエットにキャサリン・キーナー。ピーターが初期のパーキンソン病と診断され引退を宣言。新しいメンバーを迎えることになり、ロバートが、この機に第一バイオリンとパートを交代しながらやるのがいいのではないかと言い出す。長年第二バイオリンに甘んじてきた彼は、自分の実力を正しく評価されていないことに不満を持っていたのでした。
 
 一度頭をもたげたエゴはそれまで内でくすぶっていた負の感情を刺激し、他のメンバーにも波及する。途中何度か「wow」という言葉が発せられるように寝耳に水の衝撃は、やがて夫婦関係や友情、はたまた親子関係にまで波紋を投げかけることになります。25年という月日は単に演奏のキャリアというだけでなく、メンバーが過ごしてきた人生の大半なのです。カルテット(quartet)にはおそらく、四半世紀という意味も込めたのでしょうから、「25年目の~」とした邦題は彼らの人生の重みを反映し的を得てますね。

 明確な解決を示さずにドラマを着地させるところに、賛否があるかもしれません。けれど、バラバラに缶に入れられたお菓子も、缶をコンコンとテーブルに打ちつけることで、きちんと整列し平らになるように、一度衝撃を受けて解決することもある。溜まった鬱憤を吐き出すことで逆に相手を思いやる余裕が生まれることもあるから、人間って不思議ですよね。


 
 巧みな演奏を違和感なく表現した役者陣の演技もよかった。特に近年変人役が多かったウォーケンさんの、温かく威厳に溢れる演技が印象的です。仮面様顔ぼうでもあり、本物のパーキンソン病患者に見えますしね。エンドロールに続く演奏もずっと聴いていたほどに美しく、音楽の素晴らしさも教えてくれる作品です。
ベートーベンのカルテット14番のトリビアも素晴らしい伏線でした。






『ザ・マスター』の謎を考える
2013年03月25日 (月) | 編集 |





ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』が日本公開になりました。

第二次世界大戦の帰還兵フレディと新興宗教コーズの創始者ドッド(マスター)との
出会いと交流を描く作品。
コーズのモデルとなるのが、トム・クルーズも信仰する実在の新興宗教、サイエントロジーということでも話題になりました。


初見の感想は別ブログで書きましたが
今回は、頭から離れないいくつかの疑問点を取り上げながら
そこから導いた自分なりの妄想解釈をまとめてみました。

以下、完全にネタバレにつき、未見の方はご遠慮ください。

      ***********


1950年、コーズの創始者ドッドは、トラウマを抱えたフレディと出会い、独自のセッションでフレディの心の闇を取り除くことに務めます。
そのままに受け取れば、フレディと新興宗教家マスターとの交流
監督の言葉を借りれば2人の愛にも似た物語
戦後の激動の時代にあって、フレディの存在はトラウマに苦しむ多くの帰還兵を象徴するものであり、そんな時期に台頭する新興宗教の実態も興味深く観ることができます。

ただ、気になる点がいくつか。

まず時間の経過が謎なんです。
フレディがドッドと知り合うのも、ドッドがフレディを題材にした2冊目の本を刊行するのも1950年。妊婦であるドッドの妻ペギーのお腹が大きくなる様子はそれ相当なのですが
フレディが服務中に想いを寄せていた16歳のドリスは23歳になり、いつのまにか結婚して2人の子供がいるという。実際にフレディがコーズにいたのはどのくらいだったのか。時間が合わない気がして仕方ない。

また、劇中登場人物の女性だけが全裸になって映し出されるという場面もあり
コーズでの出来事が現実なのかどうなのか解らなくなるんですね。
そして、もしもコーズが非現実だとすると「マスター」は何を意味するのか

終盤、映画館にいるフレディにイギリスにいるドッドが電話をかけてくるシーンがあります。
フレディがそこにいることなど、彼以外に知るはずもないことで、これも非現実的。
映画館で上映されていたのは『キャスパー』で、それも時代が混乱するんですが、キャスパー=幽霊と考えると、マスターも幽霊のように姿のない存在。すなわち、フレディの中に潜む彼自身のスピリットではないかと思えてくる。映画の中の「キャプテンは船から降りないよ」という台詞も、2人の出会いが船であったことを思うと意味深・・って考えすぎかなw

浜辺のマスターベーションシーンに始まり、退役時のロールシャッハテストで全てのものが女性性器(と男性性器)に見えていたりと、フレディの性への渇望は明らか
ドッドが妊婦である妻に、手でイかされるシーンを描くのも、妻の全支配下にあるという以外の意味を感じるところで、ここでもマスター=フレディの構図が見えてくる
フレディは「マスター」に癒しを求め、もがき苦しみ、やがて失望し彼の元を去るけれど、それは彼の精神の葛藤を表しているに過ぎないのかも と思うのです。

しかしフレディとドッドは最後に再会し、ドッドはフレディに心の開放を言い渡します。
ドッドと再会する場所に居る人々が後ろ向きだったり顔がボケてるのも印象的
ずっと妊娠していたペギーのお腹もすっきり。
ラストシーン、砂で作った女性像と浜辺に寝そべるフレディを
最初から何も変わっていない と取るかは観るものに委ねられるところ
彼はようやく心の苦しみから解放され新たな一歩を踏み出す・・ととりたいけれど
ベッドをともにする女性にドッド式の質問を繰り出すフレディを見ると
ハッピーエンドと言っていいかは疑問。
結局はドッド同様に闇を抱え続けるのかもしれない。

とまぁ、長々と勝手な妄想感想を書き連ねました。お付き合いいただきありがとうございました。
ポール・トーマス・アンダーソンの映画は台詞の一つ一つ、画面、音楽に至るまで
緻密に練られてる気がして好きです。


 

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