映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】贖罪の5つのステップ『最高の人生』
2016年06月16日 (木) | 編集 |
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最高の人生(2003)アメリカ

原題:Levity
監督:エド・ソロモン
脚本:エド・ソロモン
出演:ビリー・ボブ・ソーントンモーガン・フリーマン / ホリー・ハンター/ キルステン・ダンスト  / フィル・セベラーノ/ トッティ・ゴールドスミス
コンビニ強盗で殺人を犯し終身刑に処せられたマニュエルは、23年目のある日、出所を許される。


【感想
ちょっと変わった映画を観ました。
主人公は強盗殺人を犯し終身刑を食らった男マニュエル(ビリー・ボブ・ソーントン
彼は罪の重さを認識し、牢屋の壁に自分が殺した青年の新聞記事の写真まで貼って
一生涯刑務所で暮らすことを受け入れています。
ところがある日減刑を言い渡され、刑期23年で出所することになり、マニュエルは戸惑います。
彼は自分の罪を償う過程を奪われたと感じているのです。
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まず、ソーントンの佇まいがいい。
地下鉄に降り立っても、人々の流れにはついていけず、ぽっかりと取り残される
質素なホテルに宿をとるも、することもなく、ただベッドに座っているのみ。
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夜も明けやらぬうちにホテルを出たマニュエルはあるアパートの前に立ち
一人の女性(ホリー・ハンター)が出てくるのを見届けその場を去る。

彼は11世紀に書かれたある本に書かれていた「贖罪のために5つのステップ」を振り返ります。
若干言葉の使い方が違ってるかもだけ

1、罪を認識すること
2、罪を後悔すること
3、隣人に対し罪を償う
例えば隣人のニワトリを盗んだのなら替りのニワトリを差し出す
4、神に対し罪を償う
5、同じ場所同じ状況に自分を置き、今度は違った行動をとる
といった内容。

ただ、4に行くためには3までをクリアすることが不可欠で
死んだ青年を生き返らせることはできないことから、マニュエルは自分が神に許されることはないと
諦めているんですね。
03 Holly Hunter as Adele Easley 

それでもできる限りのことをしようとマニュエルは行動する
ホリー・ハンターは実はマニュエルが殺してしまった青年の姉で
マニュエルは彼女の後を追い、身分を隠したまま、彼女の役に立つことから始めようとする
といった風に、結局彼は5つのステップをたどることになるんですね。

もしも彼が終身刑を全うするだけなら
彼はこの5つのステップを踏むことはできなかったはずで
彼は生涯、心の安寧を得ることはできなかったんだろうなと思う。
それなりに重い話なのに「軽さ」という意味を持つ原題はなんだろうと思ってましたが
多分心を軽くする、重い十字架を下すといった意味があるのかなと思います。

死んだ青年が現れたり、しまいには彼が神の役割を担ったりと
少しファンタジーで宗教的な部分もあるものの
マニュエルの罪悪感を、日々の暮らしの中の自分の小さな罪に置き換えて考えることは可能で、
犯罪者だけの話ではない、贖罪と再生の物語として大変興味深いものがありました。

人間罪の意識を抱えたまま生きるのは辛いですから。
罪を認め、謝ってできる限りの償いをすることで心の重責も軽くなるんですね。
ビリー・ボブは飄々とした役作りで、作品の重さをやわらげています。

Levity (2013) 21 

共演者はほかに神父役にモーガン・フリーマン
堕落した金持ち少女役にキルステン・ダンスト

フリーマンはいつもよりだみ声で喋り、神父ながらある意味グレイなところのある男。
しかし彼は限りなく神に近づこうとする存在として描かれてました。


機会があればぜひ観てほしい作品です。









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【映画】バーバー
2011年11月21日 (月) | 編集 |
 
コーエン兄弟の『バーバー』観ました~。
バーバー(2001) アメリカ
監督:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
出演:ビリー・ボブ・ソーントン/フランシス・マクドーマンド/ジェームズ・ガンドルフィーニ
アダム・アレクシ=モール/マイケル・バダルコ/キャサリン・ボロウィッツ/リチャード・ジェンキンス
       スカーレット・ヨハンソン
 
主人公のエド(ビリー・ボブ・ソーントン)は妻の兄の営む床屋に働く無口な男。
ひょんなことから妻(フランシス・マクドーマンド)の浮気を疑い始めた頃
ドライクリーニングのベンチャー企業を始めようとしている客の話に心を動かされる。
共同経営者となるための資金を調達すべく、
エドは妻の浮気相手をゆすることを思いつくが・・・


冴えない床屋があることをきっかけに人生の歯車を狂わせていくという
コーエン兄弟お得意の悲喜劇です。
モノクロの映像がクールで美しく、陰影がときにサスペンス性を高めることにも成功してますね。
 

ビリー・ボブ・ソーントン演じる床屋のエドは
妻の浮気を察知しても、義兄のおしゃべりにうんざりしてても、顔色を変えるでもなく
静かに煙草をふかしてやり過ごす男。
その姿勢は彼の周りで次々に事件が起こり始めても変わりなく
淡々と運命を受け入れていく姿はこっけいでいて哀しくもあります。
 
原題は『THE MAN WHO WASN'T THERE』
時代背景となる1949年は、戦後の賑わいが増す一方で
米ソが核兵器開発競争に突入し、ハリウッドでは赤狩りが行われた時代。
そんな中でのエドの存在はまさに初めから存在しなかったほど という描き方でしょうか。
登場する刑事たちが妙に人情的だったところにちょっと笑ったのだけど
それはエドとの対比だったのかしら。
 
劇中、エドが子供の髪に視線を落とし
「髪の毛はどうして伸びるんだろう。身体の一部にも係らず、埃と一緒に捨てられてしまう」
と嘆くシーンが印象的。
落ちていく人生に身を任せるような、ある意味達観した主人公だけど
(立派な父親がついてるのにw)若いスカヨハの将来を気にして
立派なピアノ教師のところまで連れて行く
そんな一面も持ち合わせていることに微笑ましさを感じました。
まぁ、それもあんなことに繋がる という皮肉もいとおかし ですね(笑)
 
渋くてオフビートなビリボブがぴったりはまっていて、好きな作品でした。