映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
デンゼル・ワシントン『フライト』
2013年02月08日 (金) | 編集 |




フライト
(2012)アメリカ
原題:Flight
監督:ロバート・ゼメキス
出演:デンゼル・ワシントン、 ドン・チードル、ケリー・ライリー、 ジョン・グッドマン、 ブルース・グリーンウッド
 メリッサ・レオ


旅客機で機長を務めるウィップ・ウィトカーは、高度3万フィートで起きた不慮のエンジントラブルからとっさの判断で不時着に成功し、多くの人命を救う。マスコミはその偉業を称え、一夜にして国民的英雄となったウィップだったが、血液中からアルコールが検出され……。

奇跡的な不時着を成功させ、大惨事となるはずだった飛行機事故から多くの人命を救うことになったパイロットのウィップ・ウィトカー(デンゼル・ワシントン)。
ところが血中からアルコールが検出されたことから、一転、疑惑の人となってしまいます。
彼はヒーロー?それとも犯罪者?

監督は『キャスト・アウェイ』以来実写を監督するのは12年ぶりというロバート・ゼメキス
やっぱりゼメキスにはアニメやCGファンタジーでなく、実写の世界に帰ってきて欲しいですよ。




トラブル発生から不時着までの数分間の緊張と迫力はさすがゼメキスと思うところ。
しかし、この映画はパニックアクションものではなくて
その後のウィトカーの葛藤が主軸なわけですね。

映画の前半、ウィトカーが喫煙のために病院の非常階段に行き
マリファナ中毒で収容されたヒロイン(ケリー・ライリー)と出会うシーンがあります。
そこにやってくる一人の癌患者の台詞が、この映画のテーマでもあったと思います。
「自分が癌になったことも、ウィトカーが事故を経てヒロインに出会ったことも
神の意思によるもの。全ては神にコントロールされている。」

と書くと宗教くさくてピンと来ないし、癌患者のたわごとと軽く見過ごせるシーンなんですが、
これが意外にもあとに大きな意味を持ってくるのです。

神に象徴されるのは結局は人としての尊厳。
そう気づくとき、映画はとても爽快で感動的なものになりました。

適度にユーモアを交えているのもゼメキスらしさでしょう。
コメディ部門を担当するのはジョン・グッドマン。デンゼルとのタッグが痛快です。
 ドン・チードルはウィトカーを無罪に導こうとする弁護士役。
登場人物中、ウィトカーのことを本当に考え、正しく導く者は誰なのかを見極めながら鑑賞するのもいいでしょう。

アカデミー賞脚本賞ノミネート
珍しく意思の弱いグレイゾーンの主人公を演じたデンゼル・ワシントンですが、最後にはきっちりカッコいいところを見せてくれます。アカデミー主演男優賞にノミネート

日本公開は3/1~

★★★★


ザ・ガード ~西部の相棒~
2012年09月14日 (金) | 編集 |
allcinemaで登録されているタイトルを採択しましたが
本作は日本で開催された映画祭では『アイルランドの事件簿』として上映されてたポリス・アクション・コメディです。
タイトル、出来れば統一してほしいなぁ。





ザ・ガード ~西部の相棒~
2011年(アイルランド)
原題:The Guard
監督:ジョン・マイケル・マクドナー
出演:ブレンダン・グリーソンドン・チードル、マーク・ストロング、リーアム・カニンガム



ジェリー・ボイル(ブレンダン・グリーソン)はアイルランドの静かな港町の警察官。
この町で大きな麻薬取引が行われるとの情報を得たFBIは
捜査官エヴェレット(ドン・チードル)をアイルランドに派遣
地元警察を集め、協力を依頼する

4人の白人容疑者の写真を公開しながら
「犯人はこの4人、非常に危険な人物なので気をつけるように・・」とエヴェレット
そこで挙手するボイル
「ドラッグ・ディーラーってみんな黒人なんじゃねぇの?」
「な、なんだって?」
「あとメキシコ人だろ?」
「・・・・・」
 
二人の出会いはそんな風で
グリーソン演じるボイルの人種差別丸出しの予測不能な言動に
FBIエリート捜査官エヴェレット(チードル)が振り回されるという構図が可笑しい。
 

監督はサム・ペキンパーの大ファンというだけあって
冒頭のでかくて赤いタイトル文字や音楽からしてセルジオ・レオーネ風ウェスタンの世界

邦題に「西部の相棒」とあるのも当然西部劇を意識してのことと思うんですが
個人的にはこの副題には違和感。

週末には売春婦をはべらせ、犯罪者からせしめたヤクをたしなみ、
拳銃を独自のルートで売りさばくボイル。
けれども彼は悪は嫌い、賄賂には応じない。
監督はボイルに明らかに西部劇のアンチヒーロー像を被せていると思われ
西部に生きるウェスタン野郎はボイルの方なんじゃないかな。
普段は何も起こらない静かな港町で大きな麻薬取引が行われることになり
ボイルの中で何かが目覚める瞬間、
映画は完全にウェスタンへと様相を変えるのですよ。



脚本&監督はグリーソンも出演した『ヒットマンズ・レクイエム』のマーティン・マクドナーの兄、ジョン・マイケル・マクドナー
アイルランド人気質をシニカルでブラックなユーモアに仕立てるコメディセンスには脱帽。
グリーソンが最高なのは勿論のこと、悪役代表マーク・ストロング等共演者も曲者ぞろい。
監督は脚本も手がけており、登場人物を名前で紹介する昔馴染みのエンドロールにも、キャラを大事にする姿勢が見て取れました。

シニカルでドライだった映画が一転し、終盤には清々しい感動さえ湧き上がってくる。
二人のバディものとしても大いに楽しめる一本です。


            *過去記事に加筆しています
★★★★