映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
記憶の層を辿って『トランス』の謎を解き明かせ
2013年09月09日 (月) | 編集 |



『オブリビオン』のトム・クルーズは消された記憶の中、
かすかに残る思い出のかけらを慈しむように生きていました。
今日は「記憶」「忘却」をキーワードに『トランス』に繋げます。

トランス(2013)アメリカ/イギリス
原題:Trance
監督:ダニー・ボイル
出演:ジェームズ・マカヴォイ/ロザリオ・ドーソン/ヴァンサン・カッセル
日本公開:2013年10/11
 ジェームズ・マカヴォイ演じるサイモンはオークション会場で働く青年。
ある日、ゴヤの絵画が出品されたオークション会場に、強盗団が押し入った。
手順に則り絵画を安全な場所に移動しようとしたサイモンだったが、
すんでのところで強盗団のフランク(ヴァンサン・カッセル)に奪われ、
反撃しようとしたところ、頭を殴られ重症を負う。
一方、絵画を持ち帰ったはずのフランクだったが、鞄から出てきたのは額縁のみ。
退院したサイモンを問い詰めるフランク。しかしサイモンは記憶を失っていた
40億円の絵画はどこに? という話。




冒頭からそこまでを一気に見せるやり方が、スタイリッシュなダニー・ボイルらしくてお見事。
ところが、この映画は失われた記憶を手繰り寄せる手段として、催眠療法(トランス)が用いられるんですが、その過程がちょっと複雑でね。
『インセプション』よろしく、サイモンの夢の中に入って記憶を操作するという治療過程に、サイモンの過去のフラッシュバックが挟み込まれるものだから、観ているほうは少し混乱するんですよ。
しかもところどころに「あれ?」なシーンがいっぱい出てくる。
「命を優先させ危険を冒さない」というポリシーに忠実なはずのサイモンが、なぜフランクに反撃したのかとか、途中サイモンを撥ねてしまった女性にサイモンがエリザベスの姿を重ねることなどなど、終盤になって謎が解き明かされるとき、全ては巧妙に仕込まれた伏線だったことに気づくのですけどね。
その中盤の「???」をどうやり過ごすかが映画を楽しむ鍵でしょう。
サイモンは記憶を取り戻すのか、その記憶の奥に隠されていたものは何なのか。

終盤は怒涛の展開に驚くスリリングな仕上がり。
『28日後・・』のダニー・ボイルだから、グロい映像も少し。
ヴァンサンのシーンはちょっとびっくりした後笑っちゃいました。




催眠療法を担当するエリザベスを演じるロザリオ・ドーソンが、マカヴォイやカッセルを食う存在感を見せ、終わってみると、記憶をめぐる複雑なシークエンスに感心します。
というか、催眠療法ってそんなことまで出来るのか!?ってことに一番感心したわけで
ドーソンもこうなったら魔女の域やね(笑)

てことで、次は力技で「魔女」に繋げます 



  


サンシャイン2057
2012年12月23日 (日) | 編集 |


 





サンシャイン2057(2007)アメリカ
監督:ダニー・ボイル
出演:キリアン・マーフィ/真田広之/ミシェル・ヨー/クリス・エヴァンス/ローズ・バーントロイ・ギャリティ



【ストーリー】
50年後の未来。地球上の全ての生命の源である太陽の活動が終焉を迎えようとしていた。人類に残された最後の望みは、太陽を再生させるための核爆弾を積んだ宇宙船“イカロス2号”。そこには船長のカネダをはじめ、男女8人のエキスパートが乗り込み、命がけのミッションに挑もうとしていた。やがて一行は、7年前に同じミッションに向かったまま消息を絶ったイカロス1号の救難信号を受信するが…。
■感想
 50年後の太陽にかつての輝きは無く、人類存続の最後の望みは太陽内部に核爆発を起こさせ、エネルギーを再生させること。宇宙船イカロス2号がその任務にあたります。
乗務員は我らが真田さん(カネダ)を筆頭にキリアン・マーフィ(キャパ)ローズ・バーン(キャシー)ら男女8人。
 はたしてミッションは成功するのか。
何かのトラブルごとに船外に修理に出向いたものが一人、二人と宇宙のもくずと化す。多くのスペースものの王道的な展開ですよね。
ところが本作では少々おもむきが違ってました。
トラブルから酸素の不足を招いてしまったクルーたち。
地球に生還するために、船内には何人分の酸素が残っているのか。。ってことになってしまい、一気にサバイバルの様相を呈すわけですね。
キビシイっ!
そして計算通りにことが運んだかと思ったところに、もうひとり、どなたか酸素を要する存在が!
は~??? 誰やねん!!
ま、そんなお話でっす。

ところでね、こういう大それたプロジェクトって普通国からのミッションだったりしますよね。
で、通常NASAの管制塔みたいのと通信する。
クルーの死を悲しんだり、成功を喜んだり、管制塔の一喜一憂に観客も一緒に感動するものなのですが、本作ではそういうものが、いっさい出てきません!マジ?

そのためドラマを煽ることもなく泣きどころは皆無に等しい。
ただ感じるのは、やがてくる未来の地球への漠然とした不安。
太陽の光がこんなにも貴重で懐かしいものになってしまうんでしょうね。

20年前に描かれた近未来と近年描かれる近未来のギャップの大きさはどうでしょう。
『スターウォーズ』の世界よりも、本作のような退廃的な地球のほうがリアルだと感じる今日この頃です。