映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】生還率0.01%の脱出劇『コロニア』
2016年07月18日 (月) | 編集 |
colonia-toronto-film-festival1.jpg 

コロニア
(2015)ドイツ・ルクセンブルク・フランス
原題:Colonia
監督/脚本:フロリアン・ガレンベルガー
出演:エマ・ワトソンダニエル・ブリュールリュール/ミカエル・ニクビスト/リチェンダ・ケアリービッキー・クリープス
日本公開:2016/9/17

フライトでチリを訪れたドイツのキャビンアテンダントのレナ(エマ・ワトソン)は、恋人でジャーナリストのダニエル(ダニエル・ブリュール)とともに、チリの軍事クーデターに巻き込まれる。カメラを向けたダニエルが反体制勢力として捕られ、「コロニア・ディグニダ」という施設に連れていかれたことを知ったレナは恋人を助け出すため、単身コロニアに潜入する。

【感想
 
1973年に南米チリで勃発したクーデターのさなかに起きた事件をもとにした実録政治スリラー・・
というくくりですが、クーデター自体を描くものではないので、政治的な知識があまりなくても大丈夫。
映画は「コロニア・ディグニダ」に潜入したレナが体験する恐怖を描いていきます。


158014-500x375c.jpg 

慈善団体の体をなすこのコロニアが、ありきたりの宗教団体でないことを地元の人は知っている。
それでもレナはシスターを志願する名目で施設に入り、ダニエルを救うべく危険に身を投じるのです。

まずエマ・ワトソンダニエル・ブリュールの二人がいい。
映画の中、レナとダニエルには二つの再会シーンがあります。
一つはフライトでチリを訪れたレナがサプライズで街中のダニエルと再会するシーン
もう一つは、コロニア内での再会。

前者は遠距離恋愛カップルの久々の逢瀬をラブラブに
翌朝、裸にエプロン姿を見せるのはエマちゃんでなくブリュール君ですがw
後者では生きて逢えた喜びをかみしめながらも、誰にも気づかれないよう静かに手をつないで。
危険を冒して一層深まる愛をしっかり表現しています。

エマ・ワトソンはいつの間にこんな大人の女性になったんでしょう。
ブリュールとは12歳も歳が離れているのにそれを感じさせず
むしろ愛情の強さも、しっかり具合もダニエルより上というレナをきちんと演じてました。

971904d7252833565aab88fcfdb1538a.jpg 


大半はコロニア内のすっぴん質素な恰好ながら、それでも美しく
黄色いスッチーコスチューム姿も可憐です。
 colonia.png  
コロニアを支配するミカエル・ニクビスト(『ミレニアム』シリーズ)も怪演でね。
ナチ残党恐ろしや。
徐々に明かされるコロニアの実態にはゾッとするものがあるし
たった一人でここまでやるところに、世界にはまだ同じような団体が潜んでいるんじゃないかと
背筋が凍る思いでした。

潜入何日目かの日数と、ことが起きる場所を施設内の青写真でチャプターのように見せる演出も気が利いている。
絶望と希望を交錯させながら、ラストに向かってスリルを加速させるエンタメ性も言うことなし。
ジャーナリズムの持つ力の大きさを実感すると同時に、そこにある犠牲も思い知らされる
なかなかの秀作でした。

日本公開は9月17日

ブログパーツ


ラッシュ プライドと友情
2013年10月13日 (日) | 編集 |



「走りが印象的な映画」シリーズ
今日の走りは車 しかもF1!!
ロン・ハワードの新作『ラッシュ プライドと友情』です。
ラッシュ プライドと友情(2013)アメリカ
原題:Rush
監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース/ダニエル・ブリュール/アレクサンドル・マリア・ララ/オリヴィア・ワイルド
日本公開:2014/2
70年代のF1の世界でライバルとして競い合った二人のトップレーサーを描く伝記ドラマ。
快楽主義のプレイボーイ、イギリス人レーサー ジェームズ・ハントにクリス・ヘムズワース
ストイックな天才、オーストリアのニキ・ラウダにダニエル・ブリュールが扮します。

映画はそれぞれの人柄とレースのスタイルを見せ、ハントとラウダの闘いの軌跡を見せるというもの。
特記すべきは、死と隣り合わせの音速の世界を描く映像の素晴らしさですね。
まるで自分がハンドルを握っているかのような臨場感でアドレナリンが噴出する。
ただ、ゲーセンでカーレースのゲームを楽しむ感覚というか
運転しているハントやラウダの姿がついてこない印象で、彼らのテクニックをあまり感じられなかったのは残念。

見所は壮絶なクラシュから生還し、ラウダが僅か6週間でレースに復帰するシークエンス。
正直、ここだけを見せたいがために映画を作ったんじゃないかとも思う。
ストイックだけど社交性に欠けるラウダだけでは物足りないので
ここは快楽主義でスター性のあるハントで華を添えよう 的な。

ま、こんな意地悪を言うのは、期待したほど感動しなかったからなんですね。
間逆な性格ながら互いにリスペクトしてるのは分かるし、
互いの存在がモチベーションをあげさせたのも分かる。けれど、二人の関係は至極あっさりで
副題の「プライドと友情」も「ないほうがいいんじゃないの?」と思うほど。
レースに勝ったあとのハントには「あ、そう」ってなもんでちょっと引いたしね(笑)

実話だから仕方ないかもだけど、ドラマ部分でもう少し感情を揺さぶる演出が欲しかった。
とはいえ、レースの行方がどうなるのかは面白く見れたし、最後が日本なのも嬉しいところでした。




ヘムズワースは陽気なプレイボーイをらしく演じてたけど、彼にはもっと誠実な役が似合うと思う。
でもご本人には似てますね。(↑)
ダニエル・ブリュールは怪演でしょう。
妻を演じたアレクサンドル・マリア・ララとの出会いのシーンは唯一ユーモアもあって好きでした。




あまり好意的な感想になってないですが、IMDbで8.3など概ね高評価ですね。
前述したようにレースシーンの映像は最高なので、両レーサーをご存知の方や
車好きにはたまらない映画だろうとは思います。




処女の生き血を求めた『血の伯爵夫人』
2012年07月03日 (火) | 編集 |
さて、今月はフランス映画を観ていきます。
ますは、2009年のフランス映画祭で『伯爵夫人』として上映された本作を。
『恋人までのディスタンス』のジュリー・デルピーが監督・脚本・製作・音楽・主演を務め
吸血鬼伝説のモデルにもなった伯爵夫人を描く伝記作品です。



血の伯爵夫人

2009年(ドイツ/フランス)
ハンガリーの有力貴族の娘として生まれたエリザベートは15歳でナーダジュディ伯爵と結婚し、3人の子をもうける。無双の強さを見せる優秀な武人である夫と、賢く巧みに荘園を管理・経営するエリザベートは、国中で最も恐れられ、かつ尊敬される夫婦となる。その後、夫が急死すると、エリザベートは21歳の青年イシュトヴァンと愛し合うようになるが、彼の父親であるトゥルゾ伯爵によって二人の仲は引き裂かれてしまう。(wikiより)

ジュリー・デルピーの監督作品を観るのは、これが初めてなんですが
連続殺人犯として生きた実在の伯爵夫人の伝記を、悲しいゴシック・ホラーとして
手堅く描いていて感心しました。

16世紀のハンガリーの貴族であったエリザ・ベートが血の伯爵夫人という異名を持つのは
彼女が何百人という若者を殺害し、生き血を絞っては血の風呂に身体を浸したり
侍女の膣や指を切断したり、肉を食べたりと残虐行為を繰り返した人だからだそうで
伝説的なシリアル・キラー夫人だったんですね(汗)

私の中でホンワカおっとり系の美女だったデルピーが
いつの間にか熟女となり、しかも知的で高圧的な夫人を
見事に演じていて、ちょっとビックリ。




噂される残虐行為をそのまま描写するとグロ恐ろしいホラーになるところですが
デルピーの描き方は、愛する青年イシュトヴァン(ダニエル・ブリュール)との仲を
引き裂かれ、若さと美貌に執着するようになった夫人の悲しみが前面に出ているのが
同じ人物をモデルに描いた他のホラー作品と違うところでしょうか。
イシュトヴァンの夫人への愛も本物だったという描き方が
物悲しいロマンスとして余韻を残します。

驚きの実話をベースに、老いや喪失の哀しみという普遍的なテーマで描くところに
女性監督作品ならではの味わいがありました。

と言っても、うぎゃっと思うような痛そうなシーンもちゃんとあって
そもそもこういう題材を選ぶところが嬉しいじゃないですかw
面白かったですよ。
デルピー作品、これからも注目します。

★★★★