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昭和を感じる刑事ドラマ『凍える牙』
2012年09月04日 (火) | 編集 |
今月のキーワードは

月と言えば狼でしょ ってことで、今週末日本公開の『凍った牙』を。
乃南アサが直木賞を受賞した同名小説を、韓国で映画化したサスペンスミステリーです。





凍える牙
2012年(韓国)
原題:Howling
監督:ユ・ハ 原作:乃南アサ
出演:ソン・ガンホイ・ナヨン
 


人体が発火して炎上する事件が発生し、遺体には獣にかまれた傷が残っていた。殺人課のベテラン刑事サンギルと新米女性刑事のウニョンが捜査にあたるが、同様の事件が続発。手がかりを追っていくうちに、事件の裏に隠された社会の闇と悲哀が浮き彫りになっていく。

車に乗り込んだ男がいきなり発火し、炎に包まれる
冒頭からいきなりショッキングなシーンで始まり、掴みは最高。

焼きただれた死体の身元を調べる任に当たるのがソン・ガンホ演じる刑事サンギル。
パートナーにあてがわれるのが新任の女性刑事ウニョン(イ・ナヨン)。
自殺かと思われた事件は、麻薬と性犯罪の絡む連続殺人事件へと繋がっていき
死体に残る野獣の牙から犯人像が浮かび上がるという展開。




複雑な事件を解きほぐすというミステリーであると同時に
本作はウニョンとサンギルの物語でもある。
今回ガンホさんは、同僚の出世をねたみ、家族の問題も抱えた中年刑事で
ウニョンに対してもあからさまに嫌な顔を見せる冴えない男だけれど
女性蔑視、パワハラ渦巻く警察の世界で、孤高に頑張るウニョンと行動を共にするうちに
事件に立ち向かう真摯な心を取り戻していく。
二人のパートナーシップが心地よい。

でも本作の中核は、殺人の凶器として育てたれた狼犬の存在で
犯人と狼犬のドラマが悲しいほどに深くて素晴らしいんですよ。
ウニョンと狼犬、追うものと追われるものの立場でありながら
互いの孤独が共鳴してか、両者に不思議な絆が生まれ
それが事件を解決していくという展開にも心打たれずにおれない。

泥臭いほどのドラマはいつの間にか描かれなくなり
スタイリッシュが時代の風潮になっていったけれど
今回、韓国ドラマでありながら昭和を感じさる本作に心を動かされました。
監督は『マルチュク青春通り』のユ・ハ
秀作です。


★★★★