映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ラビング 愛という名前のふたり
2016年12月05日 (月) | 編集 |
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ラビング 愛という名前のふたり(2016 アメリカ
原題:Loving
監督/脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:ルース・ネッガ/ジョエル・エドガートン/ウィル・ダルトン
日本公開:2017/3

【あらすじ】
白人と黒人のカップル、リチャードとミルドレッドは妊娠を機に結婚を決意するが・・


ジェフ・ニコルズの新作です。
黒人差別の残る50年代のアメリカ、ヴァージニア州で、州の禁じる「異種族結婚」に立ち向かった白人と黒人のカップルを描く実話です

妊娠を機に結婚した二人ですが、ある日、二人が眠るベッドルームに保安官や警察が押し掛け
州法を破ったかどで夫妻を逮捕し牢屋に入れてしまうんです。
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就寝中だったミルドレッドは着替えも許されないまま連行され、保釈時も寝間着のままだったのには気の毒すぎて言葉が出ません。そんな娘を目にしても何も言えない両親の悲しい顔も忘れられない。
黒人は黙って耐えるしかない。これが50年代のヴァージニア州の現実だったんですね。

二人はそれでも結婚を諦めません。
冒頭に書いたように「異種族結婚」に立ち向かったというのは、差別問題に取り組んだ活動家の話のように思われそうだけど、決してそんな風ではない。
彼らは静かに、一緒にいられる術を自然体で模索するんです。
タイトルのLovingは彼らの性でもあるんですが、もちろん愛し合う二人を表してもいるんでしょう。
そんな二人が法律までも塗り替えてしまうのには感動します。
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エドガートンは怒りや焦燥感を言葉にすることなしに、真摯に妻子を愛する誠実な演技
逆境に耐え、夫を全身全霊で信頼し寄り添うミルドレッドを演じたルース・エッガは特に素晴らしく
2人そろって前哨戦のいくつかで主演男優賞、女優賞にノミネートされてますね。

ちなみにこちらが本物のラヴィング夫妻
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ジェフ・ニコルズにしては緊張感でピリピリするところもなかったですが、彼らの姿勢はムーブメントの貴重な一歩。実話ならではの重みがありました。
ブロードキャスト映画批評家協会賞、サテライト賞で作品賞にノミネートされています。

ジェフ・ニコルズ作品なのにマイケル・シャノンは出てないの?と思ったらやっぱり出てきました(笑)



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【映画】ナタリー・ポートマン主演ウエスタン『ジェーン』
2016年08月30日 (火) | 編集 |
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ジェーン(2016
アメリカ
原題:Jane Got a Gun
監督:ギャヴィン・オコナー
脚本:ブライアン・ダフィールド他
出演:ナタリー・ポートマン  / ジョエル・エドガートン / ノア・エメリッヒ/ ユアン・マクレガー
日本公開:2016/10/22 

【あらすじ
南北戦争後のアメリカ西部、背中に銃弾を受け瀕死のハモンドが妻ジェーンのもとに帰ってくる。
「ビショップ一味が追ってくる」。ジェーンは家族を守るためかつての恋人ダンに助けを求めるが・・

【感想
『英国俳優50人斬り』、今日はナタリー・ポートマンが主演&製作を務めたことで話題の『ジェーン』
荒野で人生を切り拓くため、銃を手にするヒロインを描くウェスタンです。

そもそも『少年は残酷な弓を射る』の女性監督のリン・ラムジーがメガホンをとるはずが、撮影初日にドタキャンとなり、『ウォーリアー』のギャヴィン・オコナーに交代。
キャストもポートマンの恋人ダン役に抜擢されていたファスベンダーがスケジュールの都合で降板し、悪役をやるはずのジョエル・エドガートンがダンにスイッチ。ジュード・ロウ、ブラッドリー・クーパーを経て、最終的に悪役にユアン・マクレガーを迎え入れてようやく完成をみたようです。

そんなゴタゴタも影響してか世間の評価は賛否両論のようだけど、個人的には気に入ってます。

夫と娘をギャングから守るため、ある男の元を訪ねるジェーン。
何故か男はつれない素振りでジェーンを追い返すのだけど、帰路、悪党に襲われそうになったジェーンを助け、結局は用心棒を引き受ける。フラッシュバックから、男がジェーンと結婚を約束していた元恋人のダンだと知ることになります。
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別の男と結婚した元恋人に複雑な思いを抱きながらも、ジェーンを守らずにいられないダン。
ダンに心を残しながら自らの人生を受け止め前を向こうとするジェーンと、揺れる二人の心の描写が丁寧で三角関係含むロマンス部分がマル。

難を言えば、フラッシュバックを多用しすぎかな。
だんだんに真実に迫るのはいいのだけど、リズムが悪いのと、時系列がやや混乱する。
あれほど重傷を負ったハモンドがギャング一味をどう巻いたのかとか、ストーリーに突っ込みどころもあります。オコナー監督の依頼で脚本の書き直しを手掛けたエドガートンが「存在自体が奇蹟」というくらいだから、よほど時間が足りなかったんでしょう。
それでもオコナー監督作品らしく、登場人物のキャラがたった演出は見事。


さて、50人斬りの3人目はビショップを演じるユアン・マクレガー!!
そもそもユアンの悪役というのも珍しいんですが、びっくりなのは、言われなければ彼とわからない風貌になっていること。
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「誰これ?」

ギャングとはいっても売春宿などを有する賑やかな街を建設するビショップは、土地の発展に貢献する地主の顔も持っている。ただし、自分のものを横取りされるのは大嫌いとあって、彼を怒らせたらただでは済まない。
マクレガーは執拗なまでに残忍なビショップを、優し気な声とのミスマッチで演じていて、私は不気味に感じて面白かったんですが、弱いと感じるかで評価が分かれるのかも。


西部を生きることは難しい。それでも先駆者たちは夢や希望を持ち続け、道を切り拓いてきたんでしょう。
広大な荒野を映す引きの映像も美しかった。


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【映画】『ミッドナイト・スペシャル(原題)』はSFスリラーとして観ると失敗する
2016年04月20日 (水) | 編集 |

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ミッドナイト・スペシャル
(2016)アメリカ

原題:Midnight Special
監督/脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:マイケル・シャノンキルステン・ダンストジョエル・エドガートンジェイデン・リーバハーアダム・ドライヴァー
 
 【あらすじ
追っ手から息子を守るため、父は深夜車を走らせる


【感想
『MUD マッド』のジェフ・ニコルズ監督の新作はちょっと変わったSFです。

奇妙なサングラスをかけた子供(ジェイデン・リーバハー)と何やら緊張した面持ちの男が二人(マイケル・シャノンジョエル・エドガートン)。片方の顔が指名手配のニュースで映し出され、3人はモーテルを出て夜明けのハイウエイに車を走らせる。
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何もわからぬまま、3人の逃避行を見守ることになる本作
正直、冒頭の10分を見損ねたのではないかと頭の中「@&?+%」状態となりますが
次第に彼らが政府とカルト集団の双方から追われていることが分かってきます。

ようやく身を寄せた家でガタガタピシピシ・・
ここでも大地震発生か??!!
と思いきや、それが子供の超がつく能力の一端であることを知るんですわ。
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ジェフ・ニコルズ監督作品は好きでデビュー作から観てますが、監督の作品のほとんどが家族への責任や絆といった結婚生活で感じたことが題材になっているんですね。
本作も幼い息子が熱性けいれんを起こし、夫婦で怖い思いをした経験から生まれた作品だそうです。

けいれんを起こした人を間近に見た経験のあるかたはお分かりでしょうが
およそ人間とは思えないような動きや表情を目前にするのは怖いものがあります。
ましてや幼いわが子となれば、子供を失うのではないかとの不安にもかられるでしょう。

本作では監督のミューズ マイケル・シャノンが、息子の能力に畏怖しながらも、息子を愛しひたすら守ろうとする父を演じ、監督の思いを代弁しています。
SFという監督にしては珍しいジャンルながら根本に家族愛があるところは従来通り。
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クライマックスに向けスケールも大きくなるし、結末に衝撃もあるものの
正直面白かったかといわれると微妙(汗)
リニューアルした劇場の革張りの座席が滑って姿勢が落ち着かず集中できなかったのもあるけど
スローな逃走劇に少々飽きたし疲れてしまった。

唯一よかったのは、『スターウォーズ/フォースの覚醒』でレンを演じたアダム・ドライヴァー
政府側のアナリストを演じるドライヴァーのどこかほのぼのした学者肌なキャラが退屈な作品(言っちゃったw)にユーモアと癒しを与えてくれました。

共演はほかにサム・シェパードとマイケル・シャノン
田舎のおばさんの風貌にはちょっとビックリなキルステン・ダンストが意外な母性を見せくれます。

はたして子供は何者かで家族は息子を守ることができるのか・・
SFスリラーを期待せずに観るのが正解かと。


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【映画】ザ・ギフト
2015年11月20日 (金) | 編集 |
ザ・ギフト(2015)アメリカ
原題:The Gift
日本公開:
【あらすじ】
転勤で故郷に戻ってきたサイモンは、高校時代の同級生とバッタリ


『ウォーリアー』でトムハのお兄ちゃんを演じたジョエル・エドガートンの監督デビュー作。20年ぶりに会った同級生に起きる不穏な出来事を描くスリラーです。

2015年のもっとも優れた作品の一つと評されてまして、エドガートンはいきなり監督として注目を浴びました。

買い物中の夫婦サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)に偶然あったゴード(ジョエル・エドガートン)は、翌日には2人の家の玄関前にワインを置き、その後もたびたび家を訪れるようになります。仲の良い夫婦の生活はいきなり脅かされることになって、カート・ラッセル主演の『不法侵入』を思い出したりしたのだけど、本作は単純なストーカースリラーじゃなかった。

まずキャストがいいでしょ。
ジェイソン・ベイトマンは『JUNO』でそうだったように、大人になりきれない大人が似合っていて、自分の許容範囲を超えてからの壊れっぷりがいい。

レベッカ・ホールも上手い女優さん。
流産の痛手から立ち直れてないロビンが、夫への不信感からさらに不安定になっていくことがスリルを助長させます。
知的でオープンハート、正義感も感じさせる彼女のキャラが映画の質を高めるんですよね。

エドガートンはあえてニュートラルに演じてますが、それも狙いでしょう。
印象に残ったのは「いいことも悪いこともあるが、悪いことも神に与えられたギフトだと思うようにしてるよ」と言うゴードに、サイモンが「あー、そりゃいいね」と軽く相槌を打つシーン。サイモンを無言で見つめるゴードの表情と間が絶妙で、2人の間に何があったのかと想像を駆り立てられるし、その瞬間から映画のトーンが変わるところも上手い。

観る人で結末の捉え方は間逆になるかもしれませんね。
私としてはエドガートンの人としての優しさを感じました。

タイトルでもあるギフトの演出も冴え、低予算でも面白い映画が作れると感じる一本です。



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【映画】ブラック・スキャンダル
2015年10月05日 (月) | 編集 |

ブラック・スキャンダル(2015)アメリカ
原題:Black Mass
監督:スコット・クーパー
出演:ジョニー・デップ / ジョエル・エドガートン / ベネディクト・カンバーバッチ / ケヴィン・ベーコン/ ジェシー・プレモンス / ピーター・サースガード/ 
 ダコタ・ジョンソン
日本公開:2016/1/30

1970年代のサウス・ボストン。FBI捜査官ジョン・コナリー(ジョエル・エドガートン)は、幼馴染のアイルランド系マフィアのボス、ジェイムズ・"ホワイティ"・バルジャー(ジョニー・デップ)に、FBIと協力して共通の敵であるイタリア系マフィアを排除しようと持ちかけ・・


英国男優総選挙 特集
第一回目はやはりこれまでの覇者 ベネディクト・カンバーバッチ作品を。

と言ってもご存知のように、本作の主役はジョニー・デップ
ジョニーは実在のマフィアのボスにして凶悪犯のジェイムズ・"ホワイティ"・バルャーを演じてまして、カンバーバッチはその弟ビリーを演じてます。
意外な取り合わせですよね。

しかも驚くのは弟はマサチューセッツ上院議員なんですね。
そんなことが可能なのかと思うのだけど、それはホワイティの悪行が世間に知られてなかったから。
マフィアのボスが内通者としてFBIの一捜査官と繋がっていたという怖い話です。

トレーラーにもある
ホワイティがステーキのレシピを訊くシーンは
ホワイティの陰湿にして懐疑的な性格を知ることになる秀逸なシーン。

根負けしてレシピを明かすモリスに
「秘伝じゃなかったのか。
家族の秘密を漏らすお前は、俺も簡単に裏切るんだろうな」
と釘をさすジョニーが怖すぎ。

ジョニーはハゲ頭をオールバックにした衝撃的なルックスで
冷徹なホワイティを、ここ数年で一番の演技で魅せてくれます。


ョニーの冷血さが炸裂しジョニーがレイ・リオッタに見えてくるあたりから
ブルーグレイのカラコンを入れた目に何の感情も宿さないジョニーが恐ろしく
限りなく暴力的でグロい展開に緊張感もマックス。

ただ、面白かったかと聞かれると正直微妙。
捜査官の尋問とフラッシュバックの暴力シーンが繰り返される前半は
なんとなく置いてけぼりをくらい
後ろのおじさんはいびきをかいて寝てました。私も寝たし。

冷血でありながら年老いた母や弟は大事に思っているところとか
意外性のあるキャラなのに、その人間性の掘り下げが浅く
映画として感情に訴えるものがないのは残念。

と言っても世間の評価は高め(IMDb7.6)なので
緊張感のあるクライム映画としては成功してるということでしょうか。

 熱血漢だけど、ホワイティの犯罪をカバーし続ける倫理性を失くしたFBI捜査官にジョエル・エドガートンなど、演技者はみな好演。

カンバーバッチは精悍で実直 いかにもという風貌で議員を演じてます。
兄ちゃんマフィア、弟 議員先生ですよ。実話だから凄い。
でもそれ以上の感想を何も持たせない役だったことも確かで・・。
そもそもはガイ・ピアースが演じるはずだったらしくガイ君の方がうまそう。
あ、特集初回から覇者を褒めてなくて申し訳ない。
あくまでそういう映画だったということです。

ジョニーはオスカーノミネートかという意見もありますが
私にはコスプレのコメディに見えるところもあったな。
トムハとエドガートンで観たかった。

監督は、『クレイジー・ハート』『ファーナス/訣別の朝』のスコット・クーパー
日本公開は来年1月です。