映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ビフォア・ミッドナイト
2013年11月07日 (木) | 編集 |





賞関連、今日はゴッサム賞作品賞にノミネートの『ビフォア・ミッドナイト』
イーサン・ホークジュディ・デルピー主演、リチャード・リンクレイター監督による
『恋人までの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』に続く第三弾ですね。
ビフォア・ミッドナイト(2013)アメリカ
原題:Before Midnight
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー/シーマス・デイビー=フィッツパトリック
日本公開:2014/1・18
 
 旅の途中の列車での出会いから始まった、アメリカ人男性ジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人女性セリーヌ(ジュリー・デルピー)の恋物語。実はこれ、公開をものすごく楽しみにしてたのに、劇場逃しちゃってDVDでようやく観ました。観にいこうとするまさにそのとき、友人に誘われ、エンタメ大好きな彼女に合わせてほかの映画を観たところ、二日後には公開が終わっちゃったんですよねぇ。まさか一週間で終了するとは・・(泣)インディーズ作品の寂しいところです。

 さて、前作『ビフォア・サンセット』は、セリーヌとの出会いをしたためた本を出版したジェシーが、パリの書店でサイン会でセリーヌと9年ぶりに再会するという物語でした。このとき既に妻子のある身のジェシーでしたが、フライトまでの時間をセリーヌのアパートで過ごすうち、彼女への思いが再燃し心を揺らす。最後は「飛行機に遅れちゃうと思うなぁ」というセリーヌの悪戯な台詞で暗転。「そ、それからどうなったのーー??!!」だったわけですが


それから9年・・




 冒頭、大きくなった息子ハンクを空港で見送るジェシーの絵
どうやら、ハンクはジェシーらとギリシャで休暇を過ごした後、アメリカの母の元に帰国するようです。ドライな息子に対し、息子との別れを惜しむジェシーの表情は痛切。画面は変わり、ジェシーの運転する車の横にはセリーヌ。後部座席にはブロンドの可愛い双子の女の子!そう、ジェシーはセリーヌと結ばれていたのです。





 デルピーは少しぽっちゃりさんになったけれど、イーサンと息もぴったりで、共に過ごした歴史を感じさせてくれるふたりに頬が緩みます。けれど、ジェシーはどうしても息子ハンクのことが気がかりで、そのことは、セリーヌをじわじわと苦しめているようなのです。

 シリーズを通し、リンクレイター、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーが共同で脚本を書いています。この映画が面白いのは、1995年に第一弾となる『恋人たちの距離(ディスタンス)』が公開されてから、9年ごとに続編が作られ、主人公たちがリアルタイムで歳を重ね、映画が時を刻み続けている点。それゆえ9年後の二人の今に期待と不安が入り混じります。序盤、幸せそうな二人にホッとするのもつかの間、二人に流れる微妙な空気に気を揉むことになりました。

 ギリシャのゲストハウスに世代の違うカップル(お一方は既に妻が他界)を集わせ、「共に生きるとは」をさりげなく語らせ、徐々にジェシーとセリーヌの問題を浮き彫りにさせるつくりもうまい。彼らの問題がある意味普遍的なものであることから、二人がこの危機をどう乗り切るのかと興味が尽きず、二人の行く末を固唾を呑んで見守ることに。
 
 この映画、会話が主体で、3作通じて派手なところは一切なし。それでもシニカルさを交えながらも、湧き上がる恋する思いに興奮させてくれる展開は本作でも健在。今回は特にジェシーが作家であるという設定が生かされた言葉選びも絶妙で、ソルーションへと向かう最後の10分に静かな感動があります。「ここから来る!」と思った瞬間涙が溢れ、DVDを止めて心の準備をしちゃいましたもの。

 長い人生、思いどおりにならないことも不満に思うこともあるでしょう。でも心配事や問題点は、力を合わせて解決することも出来る。愛さえあれば。そんな作品です。ギリシャの風景も綺麗でした。
9年後のジェシーとセリーヌにまた会いたいな。

余談ですが・・
一本目の『恋人までの距離(ディスタンス)』は原題の『ビフォア・サンライズ』に改名しましょうよ。


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  1. 1. 「ビフォア・ミッドナイト」は主人公の元奥に幸多かれと祈る

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • January 20, 2014 07:12
    • 今回は新作の「ビフォア・ミッドナイト」をヒューマントラストシネマ有楽町1で観てきました。この映画のパンフレット、700円するのに、24ページ中6ページが広告なんです。広告出すなら値段下げろと思いますよ、マジで。広告を放り込む会社もイメージダウン、オムロン、鹿島







ニューヨーク、恋人たちの2日間
2013年08月06日 (火) | 編集 |



ニューヨーク、恋人たちの2日間 (2012)フランス/ドイツ/ベルギー
原題:2 Days in New York 
監督:ジュリー・デルピー
出演:ジュリー・デルピー/クリス・ロック/アルベール・デルピー/アレクシア・ランドー/アレックス・ナオン
日本公開:7/27~公開中
ジュリー・デルピーが監督&主演を勤めた『パリ、恋人たちの2日間』(未見です)の続編だそうです。
前作のパリの恋人と別れたマリオン(デルピー)は、子供を引き取りニューヨークで新しい恋人ミンガス(クリス・ロック)と穏やかながら幸せに暮らしている。
ところが、パリからマリオンのパパと妹のローズがやってくる、ローズ(アレクシア・ランドー)は恋人連れで、しかもそいつがマリオンの元彼というからややこしい。
映画は、マリオン一家に翻弄され、ミンガスとの関係も怪しくなるという、2日間の騒動を
赤裸々な笑いを交え描く、ちょっと変わったラブコメです。




ニューヨークが舞台ということで、てっきりアメリカ映画かと思ったら違うのね。

この作品、デルピー好きな私は好意的に受け止め楽しめたのだけど、一般受けはどうだろ。
特にアメリカ人にはどうかなぁ。
まずマリオン家の面々がひんしゅくなんだわ。
ミンガスや妹に対して、『ボラット』のサシャ並みの「黒人ネタ」をぶっつけ
そんな家族に苛立つマリオンもシモネタ満載に応戦する。
シニカルと言えば聞こえはいいけど、赤裸々で下品とも言えるネタ振りには好みが別れるかも。

でも結果的にミンガスが一番まともな人間に見えるのだから
逆に黒人をリスペクトした形ではあるのね。
クリス・ロックが温厚で優しいミンガスを演じていて好印象でした。

雨降って地固まる的なラストは、無理やりな力技ながら、幸せならいいじゃないって思える。
相応に歳をとったデルピーの、焦燥感やらつきぬけ感には共感できる部分もあり
フランスとアメリカのカルチャーギャップも楽しめた。
ちょっとバタバタ過ぎるけど、笑いどころもあって悪くなかったです。



ちなみに、『ビフォア・サンセット』にご近所さんとして夫婦で出演していたデルピーの実父が、今度はお父さんを演じてます。映画の中でマリオンのお母さんは最近天に召されたという設定だったけど、実際にデルピーのお母さんは今年(2013)2月にお亡くなりになってるんですね。
そう思うと、お父さん役アルベール・デルピー氏の演技に哀愁を感じちゃったな。




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  1. 1. 「ニューヨーク 恋人たちの2日間」はベタなコメディから後半ちょっとだけ背伸び。

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • August 08, 2013 22:59
    • 今回はヒューマントラストシネマ有楽町1で「ニューヨーク 恋人たちの2日間」を観てきました。こっちが大きな劇場で、「ペーパーボーイ 真夏の」が62席のちっちゃい方という割り振りはちょっと不思議でした。 マリオン(ジュリー・デルピー)は、ニューヨークで働くフラ








ビフォア・サンセット
2013年06月25日 (火) | 編集 |



ビフォア・サンセット(2004)アメリカ
原題:Before Sunset
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク/ジュリー・デルピー/ヴァーノン・ドブチェフ
ご存知、イーサン・ホークジュリー・デルピー主演の『恋人までの距離(ディスタンス)』の続編。
前作は、列車で出会い意気投合した2人が途中下車したウィーンの街をひたすら歩き、翌朝駅で別れるというワンナイトスタンド描いたものでしたが、別れ際、2人は互いの連絡先を告げないまま、半年後の再会を約束するんですね。
さて、それから9年後に製作された本作は、時間の経過そのままに、「あれから9年」の2人を描いています。
気になるのは、約束は果たせたのか・・ということですが、これももう9年前の名作で、そこをスルーしては何も語れないので言っちゃうと、2人は再会できなかったんですね。

しかし、イーサン演じるジェシーは2人の出会いをしたためた本を出版し、作家としてパリを訪れる。
パリに住むセリーヌ(ジュリー・デルピー)がジェシーのサイン会の会場を訪れ、2人は9年ぶりの再会を果たすわけです。
映画は、ジェシーのフライトまでの時間を過ごす、2人の再会を描くもの。

前作も良かったけど、これも凄く好きだったなぁ。

今回は、ジェシーがすでに結婚してることもあり、互いは微妙な距離をとらざるを得ない。
でも、それぞれの存在かが今も大きな影響を及ぼしていることが分って来ると、
もしも再会の約束が果たせていたら、もっと幸せな2人でいたんだろうなと思ってしまい、とても切ない気持ちになった。相変わらず2人の会話だけで成立つ映画なのに、互いの気持ちを探るスリルもあり、まるで退屈しないし、これほど短い時間を描く会話劇でありながら、ユーモアとほろ苦さと、人を愛しいと思う感情を詰め込む描き方は秀逸ですねぇ。


さて、ここからはちょいと結末に触れますので、未見の方はスルーしてください









別れを惜しみ、ついにセリーヌのアパートに上がりこんでしまったジェシー。
出会いをギターを爪弾き歌うジュリー・デルピーのワルツがまたいいんだ。
「飛行機でちゃうよ」「そうだね」そんなやり取りのあと暗転。

しょえーー、それから2人はどうなったのーー?と誰もが思ったことでしょう。


そして!!
このたび続編『Before Midnaight』がついに公開になりましたね~。
監督、主演も勿論同じ。
結婚生活に迷いがあったジェシーと、人を愛することができずにいたセリーヌゆえに
あれからさらに9年経った2人がどうなったの、気になって仕方ないですよねぇ。

ところが、、
近くでの公開が1週間で終わってしまい見逃しちゃったんですよ(泣)
遠出するかな・・

ということで、劇場で観れるかは定かじゃないですが、続編も超楽しみです。





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  1. 1. 「ビフォア・サンセット」で「ビフォア・ミッドナイト」の予習してみました。

    • [今昔映画館(静岡・神奈川・東京)]
    • January 17, 2014 22:45
    • 公開中の「ビフォア・ミッドナイト」を観たいと思っているのですが、「恋人までの距離」「ビフォア・サンセット」の続編ということで、多少の予習は必要かなと思っていたのですが、「ビフォア・サンセット」がBSで放映されていたので録画して、予習しようということになり




処女の生き血を求めた『血の伯爵夫人』
2012年07月03日 (火) | 編集 |
さて、今月はフランス映画を観ていきます。
ますは、2009年のフランス映画祭で『伯爵夫人』として上映された本作を。
『恋人までのディスタンス』のジュリー・デルピーが監督・脚本・製作・音楽・主演を務め
吸血鬼伝説のモデルにもなった伯爵夫人を描く伝記作品です。



血の伯爵夫人

2009年(ドイツ/フランス)
ハンガリーの有力貴族の娘として生まれたエリザベートは15歳でナーダジュディ伯爵と結婚し、3人の子をもうける。無双の強さを見せる優秀な武人である夫と、賢く巧みに荘園を管理・経営するエリザベートは、国中で最も恐れられ、かつ尊敬される夫婦となる。その後、夫が急死すると、エリザベートは21歳の青年イシュトヴァンと愛し合うようになるが、彼の父親であるトゥルゾ伯爵によって二人の仲は引き裂かれてしまう。(wikiより)

ジュリー・デルピーの監督作品を観るのは、これが初めてなんですが
連続殺人犯として生きた実在の伯爵夫人の伝記を、悲しいゴシック・ホラーとして
手堅く描いていて感心しました。

16世紀のハンガリーの貴族であったエリザ・ベートが血の伯爵夫人という異名を持つのは
彼女が何百人という若者を殺害し、生き血を絞っては血の風呂に身体を浸したり
侍女の膣や指を切断したり、肉を食べたりと残虐行為を繰り返した人だからだそうで
伝説的なシリアル・キラー夫人だったんですね(汗)

私の中でホンワカおっとり系の美女だったデルピーが
いつの間にか熟女となり、しかも知的で高圧的な夫人を
見事に演じていて、ちょっとビックリ。




噂される残虐行為をそのまま描写するとグロ恐ろしいホラーになるところですが
デルピーの描き方は、愛する青年イシュトヴァン(ダニエル・ブリュール)との仲を
引き裂かれ、若さと美貌に執着するようになった夫人の悲しみが前面に出ているのが
同じ人物をモデルに描いた他のホラー作品と違うところでしょうか。
イシュトヴァンの夫人への愛も本物だったという描き方が
物悲しいロマンスとして余韻を残します。

驚きの実話をベースに、老いや喪失の哀しみという普遍的なテーマで描くところに
女性監督作品ならではの味わいがありました。

と言っても、うぎゃっと思うような痛そうなシーンもちゃんとあって
そもそもこういう題材を選ぶところが嬉しいじゃないですかw
面白かったですよ。
デルピー作品、これからも注目します。

★★★★