映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ポンヌフの恋人
2013年03月05日 (火) | 編集 |



ホーリー・モーターズ』を観て、レオス・カラックス作品を観てみようと思いました。
ポンヌフの恋人(1991)フランス
原題:Les amants du Pont-Neuf
監督:レオス・カラックス
出演:ドニ・ラヴァン、 ジュリエット・ビノシュ、 クラウス=ミヒャエル・グリューバー、 ダニエル・ビュアン、 マリオン・スタレンス、 エディット・スコブ
パリで最も古い橋とされるポンヌフ橋を本物そっくりに再現したらしく
物凄くお金のかかった映画らしいですね。

『ホーリー・モーターズ』で11人の人間を演じて見せたドニ・ラヴァンが演じるのは
ポンヌフ橋に暮らす大道芸人の浮浪者アレックス。
ある日、彼の寝床とする場所にやってきたミシェル(ジュリエット・ビノシュ)と出会います。
ミシェルは絵の才能を持ちながら、失恋と不治の眼病に絶望し、放浪を始めた女性。
浮浪者仲間のハンスに追い出されそうになるミシェルを構ううち恋に落ちるアレックスですが・・




道路で朦朧としてはシェルターに運ばれる、アレックスはそんなことを何度も繰り返しているようなのですが、身体も丈夫そうな彼が何故ホームレスなのか。
その背景は語られませんが、薬に頼らなければ眠れないところから、過去のある男であることは窺えます。
そんなアレックスがミシェルに思いを寄せるのに時間はかかりません。
初めて守るべきものが出来たのかもしれない。
けれどアレックスにとって、ミシェルが世間を捨てたものであることが肝心なようで
彼女が社会に戻ることを望んではいないのです。
ピュアゆえに社会の底辺でしか生きられない男の悲哀が漂いまくるのですよねぇ。

溢れ出る映像美から、監督の才能は十分に感じ取れます。
アレックスの夜の大道芸シーンは、ドニ・ラヴァンのパフォーマンスの凄さもあって見所のひとつですね。
二人を小人のように見せる実験的なシーンも面白い。
しかし、物語の〆方があまりしっくり来ない。
悲劇的な終わり方の方がアレックスの刹那な生き方に合ってると思うのは残酷かな。
よりピュアな物語に昇華できるすんでのところで、無謀な方向転換をしたという印象なのがちと残念です。

ちなみに・・・
『ホーリー・モーターズ』でも気になったのだけど、
本作でも夕焼けの浜辺をビノシュと駆け抜けるドニさんのシルエットには面食らうよね(笑)

あと『ホーリー・モーターズ』でモーションキャプチャーのスターを演じるシーンの
アクションは凄すぎてきっと吹き替えなんだろうと決め付けてたけど、
本作での宙返りとか見ると、『ホーリー~』でも本人がやってるのかなと思ってみたり。
なんにしてもドニ・ラヴァンの身体能力の高さには驚きます。


★★★★


クローネンバーグ『コズモポリス』
2013年01月04日 (金) | 編集 |

 
 
コズモポリス 2012年(フランス/カナダ/ポルトガル/イタリア)
原題:Cosmopolis
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ロバート・パティンソンジュリエット・ビノシュ、 ポール・ジアマッティ、 サマンサ・モートン 、 ジェイ・バルシェル 、サラ・ガドン、 ケヴィン・デュランド、マチュー・アマルリック
 
 
マンハッタン。 28歳の億万長者エリック・パッカーは散髪に行くことをボディガードに告げる。
おりしもその日は大統領のパレードの日。
エリックを乗せたリムジンは途中客人を招き入れながらゆっくりと街を行く。
 

ドン・デリーロの同名小説を原作とするデヴィッド・クローネンバーグの新作です。
エリック・パッカーを演じるのは『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソン

映画はエリックが長いリムジンに乗り、床屋に向かうとする一日を描くものですが
エリックというのは28歳にして投資会社の経営に成功し、ウォール街と世界の金融を動かす力のある男。
けれどもどこか実体がなく、その日失おうとしている100億単位の金も彼の存在自体も架空のものであるかのようなのが、
彼の空虚な表情から窺えます。

奇しくも街は大統領のパレードがあり、反政治者の暴動により大混乱
しかしエリックの乗るリムジンからは外界の音は完全にシャットアウトされ、
それはまるで都会に浮かぶタイムカプセルのように彼の孤独を浮かび上がらせるのです。
 
 

エリックは床屋に向かう道すがら、最近結婚した妻(サラ・ガドン)と朝食とランチを共にし
ジュリエット・ビノシュ演じる娼婦など数人の愛人たちと車内でセックスし、コンサルタントと金融について語り、
理論家(サマンサ・モートン)の話を聞きます。

その会話の殆どが原作どうりらしいのだけど、哲学的とも言える金融の話は私の頭を素通りし、話にはついていけません。
それでもエリックの虚無感と、実態を感じたいと切望する気持ちは痛いほど伝わるんですね。
 
22歳のコンサルタントはエリックの若かリし姿を想像させるし
サマンサ・モートンに至ってはエリックの行き着く先のようなカリスマ的な実態のなさを漂わせる。

エリックはハイテクな車内で毎日健康診断を受けるんですがw サマンサ・モートンと会話中にも、
医師により直腸診を受けてるんですよね~w
それに何の反応を示さないモートンにも笑えます。
 
さて、エリックがなぜ床屋に向かうのかは述べずにおきますが
エリックを演じたロバート・パティンソンの演技には脱帽しました。

ボディ・ガードの顔を見ることもしないシニカルな無表情さから床屋に対する少年のような穏やかさ。
ラストに向けての狂気。。
彼は色んな表現が出来る男だったんだねぇ。
 
終盤、長回しを多用し、エリックの最後の瞬間までの緊張を描き挙げる手法も渋い。
浮遊感と緊張感と刹那感の入り混じった作風は悪くないです。

日本公開は4/13~
 

★★★★