映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ
2017年01月24日 (火) | 編集 |
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 マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ(2015 アメリカ
原題:Maggie's Plan
監督/脚本:レベッカ・ミラー
出演:グレタ・ガーウィグイーサン・ホークジュリアン・ムーア/ビル・ヘイダー/マーヤ・ルドルフ/トラヴィス・フィメル
【あらすじ】
ニューヨークの大学で働くマギーは、妻子持ちの文化人類学者ジョンと恋に落ちる。仕事ひとすじで家庭を顧みない妻ジョーゼットに愛想を尽かしたジョンは離婚を決意し、マギーと再婚。数年後、ジョンとマギーは子どもにも恵まれ幸せな毎日を送っているかに見えたが、小説家になるため仕事を辞めたジョンとの生活にマギーは不安を感じていた。

【感想】
 ニューヨークを舞台に3人の男女の奇妙な関係を描くハートフルコメディです。

グレタ・ガーウィグ演じるマギーは、数学に秀でた男性の精子の提供を受け、シングルマザーになることを計画中のニューヨーカー。偶然知り合った小説家志望で妻子持ちのジョン(イーサン・ホーク)と小説を通じて親しくなり、やがて求婚され結婚するマギー。数年後、マギーには可愛い女の子が生まれています。

ところがジョンと幸せな結婚生活を送っているはずのマギーの心境は複雑。
元妻との間にできた子供たちの世話もマギーに任せ小説に没頭するジョンとの暮らしに不安を感じ、マギーは、まだジョンに思いを残す元妻ジョゼットにジョンを返すことを計画するのです。

グレタ・ガーウィグは実はたまたま観た出演作2本があまりピンとこなくて、これまで興味を持てない女優の位置づけでしたが、本作を見てイメージが変わりました。今やメグ・ライアンに代わるニューヨークの似合うラブコメ女優とされるグレタ。
決して垢ぬけてはいないし、メグ・ライアンみたいにキュートというのでもないけれど、不器用でも前向きに、自分らしく生きるヒロインがハマります。
ストーリーだけ読んだらまるで共感できそうにないマギーというキャラも、グレタだと嫌味がなくて自然に受け入れられるんですよね。

マギーの両親のエピソードに触れているから、マギーがシングルマザーを目指していたことも、結婚生活で孤独を感じることには耐えられないことも理解できる。マギーの部屋のインテリアや友人との会話からも、マギーの飾りっ気のない正直さがうかがえる演出は、脚本も手掛ける女性監督レベッカ・ミラーのうまさでしょう。
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ジョンにイーサン・ホークをキャスティングしてるのも絶妙ですよね。
そもそも好きな小説を書くことが最優先で、それを支えてもらいたいだけのジョンこそがトラブルの元凶なわけだけど、そんな優柔不断な役も大人子供が板についたイーサンだと憎めない。得な男だよねぇ。

『アリスのままで』とはまた違った種類のハイソな知的さを漂わせつつも、可愛い大人の女の情念と懐の深さを演じてみせるジョゼットにジュリアン・ムーア。お団子ヘアにモフモフファッション、フレンチ訛りもかわゆす。
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ビル・ヘイダーは相変わらず信頼できるバイプレイヤーだし、ガイ役のトラヴィス・フィメルもいい。

ラストシーンから想像するに、おそらくマギーはジョンに気兼ねなくオリジナルのプランに戻るのでしょう。
パパ付きのプランBもいいのでは?など想像を膨らませてみるのも楽しい。

複雑で滑稽で、でもそれぞれの方法で幸せを探そうとするニューヨーカーの生きざまを小粋なラブコメにした本作
ウディ・アレンほどくどくなく、終始ニマニマになる面白さがありました。これ好き。
でも邦題の副題「幸せのあとしまつ」っていうのはなんか違う気がするなぁ。



ちなみに監督のお父さんは劇作家で『クルーシブル』などの脚本も手掛けるアーサー・ミラー。
夫はなんとダニエル・デイ=ルイスだそうです。





お気に入り度★★★★


今年からお気に入り度で好き加減を(★5つで満点)記録に残すことにしました。
世間の評価とはかけ離れるものもあるかと思いますが、ご了承ください。


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【映画】ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気
2016年12月06日 (火) | 編集 |
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 ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気(2015 アメリカ
原題:Freeheld
監督:ピーター・ソレット
脚本:ロン・ナイスワーナー
出演:ジュリアン・ムーアエレン・ペイジマイケル・シャノンスティーヴ・カレル

【あらすじ】
20年以上にわたり刑事として働くローレルは、ステイシーと出会い恋に落ちる。やがて一緒に暮らし始める二人だったがローレルが病に冒されていることが発覚。ローレルは自分の死後、ステイシーが遺族年金を受け取れるよう郡に申請するが・・


第80回アカデミー賞で短編ドキュメンタリー映画賞を受賞したドキュメンタリーを映画化した作品です。
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同姓婚カップル、ローレルとステイシーにジュリアン・ムーアエレン・ペイジ
愛し合う二人は出会いから間もなくパートナー登録し、晴れて公的なカップルになります。
しかし家も買い幸せな毎日を送る中、ローレルが癌に罹患。余命いくばくもないことを知り、ローレルは遺族年金をトレイシーが受け取ることを希望するのですが、郡は無碍もなく却下。
それでもローレルの思いは強く、同僚デーン(マイケル・シャノン)の助言もあって郡の委員会にかけあうことに。
委員会は同姓婚カップルの権利に対し、どんな判断を下すのかという話です。
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全米で同姓婚が認められることになったのは昨年のこと。それまでは認める、認めないは州によって違っていたんですね。舞台となるニュージャージー州が同姓婚を認めたのは2013年。ですから、当時のローレルとステイシーの関係はあくまでドメスティック・パートナー・システムで許可されたものにすぎず結婚とは違うもの。委員会がローレルの申し出を却下するのも、不思議ではないのです。
そんなこともあって個人的には同姓婚には異論はないものの、ローレルのケースで「平等」を求めるのには無理があると思ったんですが、支援グループが参加し自体が動き始めるのを興味津々で観ました。
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後半は法廷もののような展開になるんですが、活動家スティーヴンを演じるスティーヴ・カレルがゲイ・トークで笑わせてくれるし、朴訥としていながらも誠実にローレルを助ける刑事の相棒マイケル・シャノンとのやり取りも楽しい。友情だったり、同情だったり、あるいは信念や勇気だったりと、支援者の思惑もベクトルも違うのだけど、それがかえってリアルで、映画の楽しみどころにもなっていたのはサプライズ。

ローレルとステイシーの力は微力でも、同じ考えのものが集まれば声は大きくなる。
結局委員会は痛いところを握られるということもあり、ごり押し的ではあるものの最後は二人の愛と支援の力が大きなうねりを生み出す様には感動しました。

ジュリアン・ムーアは刑事でレズビアンで癌末期という難しい役でしたが、終盤は観ているこちらが苦しくなるほどの喘鳴を伴う息遣いを見せるなど細かい演技も秀逸。流石ですね。
製作にも携わるエレン・ペイジもナチュラルでよかった。プライベートでもゲイをオープンにするエレン、脚本のロン・ナイスワーナー(『フィラデルフィア』)ともに、思い入れの強さも感じるところでした。



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【映画】アリスのままで
2015年02月22日 (日) | 編集 |
明日(・・あ!もう今日か)はいよいよアカデミー賞発表ですね。
作品賞も前哨戦完全に割れてるし、どうなるか楽しみ。
ジュリアン・ムーアが主演女優賞有力とされる『アリスのままで』を観ました。





アリスのままで(2014)アメリカ
原題:Still Alice
allcinemaデータ

ジュリアンが演じるのは言語学者であり、大学教授の50歳のアリス。
エリート一家で公私共に充実した暮らしを送るアリスですが、公演中ある一つの言葉がすっとんでしまったことを契機に、彼女の中で異変が起こり始めます。不安に思ったアリスは病院を受診。アルツハイマーと診断されてしまうのです。

アルツハイマーを扱った他の映画を見ていたのと、ジュリアンが上手く演じるであろうことも容易に想像できたこともあり、正直あまり気乗りがしないままに劇場に足を運んだんですが、いい意味で想像を裏切られました。

前半はアリスの異変に回りも気づくんじゃないかと妙にドキドキ。
誰よりも「言語」に通じていたアリスの中から言葉がひとつふたつと抜け落ちていくのは本当に残酷です。でもアリスは苦悩するだけでなく、「抗い、闘う」ですね。
その力強さと、アルツハイマーに目いっぱい立ち向かう姿がまず新鮮。
やがて誰の目にも異常は見て取れるようになるんですが、
病気が進行していく様子を繊細に演じたジュリアン・ムーアは本当に上手い。

発症初期のアリスと病状が進んでからのアリスが同時に映し出されるある場面では、その対比にハッとさせられました。
聡明で美しく、誰からも愛され敬われる存在だったアリス。
病気が外観を変えてしまうけど、アリスの本質が変わるわけではない。
原題にはそんな意味が込められてるんでしょうね。
言葉や思い出、尊厳・・
アリスが失おうとしているものがいかに掛け替えのないものであるかを思い知らされたというのかな。失いたくないものだからこそ大事にしなくちゃいけないと教えてもらった気がします。



夫役にアレック・ボールドウィン。
二人の娘にケイト・ボスワースとクリスティン・スチュワート

アリスが公演でスピーチするシーンは最大の見所。
共同監督のお一人はALSで闘病中だと聞き
アリスの言葉にご自身の思いを重ねたのかなぁと思ったり。

アリスの記憶が失われる様子をボカした映像で見せているのが面白い。
音楽の美しさも印象に残りました。

日本公開は6月です。


シェルター
2013年11月26日 (火) | 編集 |



リメイク版『キャリー』を観て、あらためて神経症的な役柄のはまるジュリアン・ムーアを面白いと思い、彼女の他の作品も観たくなりました。
今日は、ポスターと6つの魂『6 Souls』とした原題が気になった『シェルター』を観ました。
スウェーデンの新鋭マンス・マーリンドビョルン・ステインが共同監督したスーパーナチュラル・スリラーです。
シェルター(2009)アメリカ
原題:Shelter(6 Souls)
監督:マンス・マーリンド/ビョルン・ステイン
出演:ジュリアン・ムーア/ジョナサン・リース=マイヤーズ/ジェフリー・デマン/フランセス・コンロイ/ネイト・コードリー
日本公開:2010/3・27

 ジュリアン・ムーア演じるカーラは犯罪者の精神を分析し犯罪捜査に協力する精神分析医。彼女は数年前に夫を強盗に殺されたという過去があり、精神異常を装う犯罪者を許しません。多重人格にも否定的なカーラですが、父に紹介された解離性同一性障害の患者デイヴィッド(ジョナサン・リース=マイヤーズ)を診察中、別人格が現れるのを目撃することとなり戸惑います。デイヴィッドに現れた人格の過去を調べるうち、それらはいづれも殺人事件の被害者であることが分かってくる、同時にカーラ自身も危険に巻き込まれることになる。。という話。

 多重人格者の深層心理に迫るスリラーかと思いきや、ちょっとばかり勝手が違い、世間ではあまり評判よくないようだけど、面白く見ちゃいました。



 多重人格に否定的なカーラは、患者の過去のトラウマを探ろうとします。最初はカーラとともに、懐疑的にその過程を見守り、どんなトリックだと興味を魅かれるんですけど、次第にそれは精神医学の域をはるかに超えたものであることに気づき、ゾっとするんですわ。

 例えば別人格の時には色盲検査など肉体的なデータが変わってしまう。勿論喋り方や雰囲気なども変わっていて、そのあたりスリリングな演出が秀逸で、ジョナサン・リース=マイヤーズもなかなかの熱演でした。

 この映画こちらでは『6 Souls』というタイトルが付けられてるんですが、日本のデータでは原題ともに『シェルター』なんですね。タイトルどおり映画では6つの魂が描かれるんですが、シェルターというのは、人間の邪悪な魂を隔離する、あるいは封じ込める存在として描かれていて、それが本作の超常現象に繋がるキーワードでした。

 最初に書いたようにこれ世間の評判がよくない。特にアメリカでの評判が悪い。
「信仰心を無くしたものは悪魔に魅入られる」という描き方は、「だから神を信じなさい」という逆説的な教えもあるのかもしれないけれど、神様ってあまりに薄情じゃないかということで、信仰の篤い人にはウケが悪いでしょうね。
そもそも、自分に不幸が振りかかった途端に神に見放されたとして信仰心を無くすってのはどうなんだろうとは常々思うところですが、宗教とはなんぞやも分からない子供を対象にしたのはまずいだろうとも思います。

ま、それでも個人的には、スーパーナチュラルなオカルトホラーに転じたことに驚きつつも、面白く観ました。
ジョナサンが別人格に変わる瞬間など、Jホラーの影響ありと思える映像は不気味です。
でも電話で呼び出されると出てくるってのはどうなのかな(笑)
そんなところも「くだらない」と揶揄されるところかな。

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  1. 1. ◆シェルター。

    • [「らりるれろ」通信 Remark On The MGS]
    • December 17, 2013 06:39
    •           シェルター(2009)。 監督  モンス・モーリンド        ビョルン・スタイン 出演  ジュリアン・ムーア           カーラ      ジョナサン・リス・マイヤーズ     デヴィッド      ジェフリー・




ジョセフ・ゴードン=レヴィット初監督作品『ドン・ジョン』
2013年11月05日 (火) | 編集 |



今日はジョセフ・ゴードン=レヴィット君の初監督作品『ドン・ジョン(原題)』
スカーレット・ヨハンソンがゴッサム賞の女優賞にノミネートされています。
ドン・ファン(2013)アメリカ
原題:Don Jon
監督:ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット/スカーレット・ヨハンソン/ジュリアン・ムーア/
日本公開:2014/3・15

ナンパにかけては失敗知らずのジョン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット )を友人たちはドンファンにかけてドン・ジョンと呼んでいる。しかしながらポルノ以上に満足を得ることが出来ないジョンは、今日も一人パソコンの前でお気に入りのサイトを開くのだった。そんなジョンに新たな出会いが。彼に春がやってくるのか?・・

ジョセフ君が脚本と監督を努める本作で、彼はなんと、ポルノ好きのセックス中毒青年を演じています。
友人、家族、車、筋トレ、アパート、教会、ナンパ、エロサイト !!
ジョンの熱中するものをテンポよい繰り返しで紹介する冒頭から掴みはOK

毎日エロサイトを覗いて一人Hしてしまうジョン。
このシーンもテンポよく繰り返し見せることで、いやらしさを感じさせない演出
同じくセックス中毒を描く『シェイム』は鬱々としたドラマだったけれど、本作は全般にライトで
ブラックな笑いを投入しつつも、ジョンの成長を見守る温かい視線を感じるのです。




感心したのは役者の使い方ですね。
ジョン自身ちょっと変な喋り方なんだけど、これがパパ似w
いい女に目がなくてヤンチャな面影を残すパパ、ジョンシニアが
ジョンの将来の姿だろうなぁと思わせる、監督ジョセフ君の細かいこだわりがたまらない。
台詞なしかと思ってた妹に、実にジョンを理解した発言させたり
ジョンの友人二人との関係など、登場人物のキャラを凄く丁寧に描いているのが印象的です。




共演はほかにスカーレット・ヨハンソンジュリアン・ムーア
スカヨハを意外な使い方をしてるのも楽しい。
奇をてらったテーマを選んだかなと思いきや、現代的な交流関係にありがちな問題に迫り
最後には映画のメッセージに温かい気持ちになりました。

劇場を出る際に観客の女性と目が合って、思わず「面白かったね~」
「初監督作品とは思えない、びっくりだよねぇ」などと言葉を交わしましたよ。
とってもチャーミングな一本で満足度高しです。 ジョセフ君グッジョブ!


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  1. 1. DVD:ドン・ジョン 現代性あるテーマをあえて書き監督し、そして自分で主演したレヴィットの株、急上昇!

    • [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
    • October 12, 2014 09:34
    • 俳優と思っていたジョセフ・ゴードン=レヴィット(写真:左)が、初監督。 演出は中々のレベル。 オープニングのシンプルなタイトルの見せ方といい、物語の進め方といい、堂に入っている。 そして驚きは、本人が書いた脚本! どんなネタかと思ってみれば... リア...