映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】最後の追跡
2016年12月08日 (木) | 編集 |
 hellorposer.jpg
 最後の追跡(2016 アメリカ
原題:Hell or High Water
監督:デヴィッド・マッケンジー
脚本:テイラー・シェリダン
出演:ジェフ・ブリッジスクリス・パインベン・フォスター

【あらすじ】
テキサスの田舎町の銀行で覆面の二人組による銀行強盗が発生し、老齢の州警察の長マーカスが相棒のアルバートとともに犯人を追う


数ある前哨戦の中で、個人的に一番信頼を置いているのはワシントンDC映画批評家協会賞の選出です。
彼らが今年の作品賞に選んだのは『ラ・ラ・ランド』。オスカーもぜひとって欲しいと思うところですが、今日は作品賞候補となった5本のうちの一本『最後の追跡』です。

気になりながら劇場公開を逃したのが非常に悔やまれる。
今のところ今年のマイトップ5に入る好きな作品でした。

HellOrHighWater.jpg
テキサスの田舎の小さな銀行の強盗シーンで幕を上げる本作。
犯人はベン・フォスタークリス・パインが演じる兄弟。
素人による犯行の危うさに緊張感を漂わせつつも、そのやり取りにテキサス人の気質を盛り込んだ演出がのどかでいい。自宅の農場に戻ると二人は車をショベルカーで埋める。墓場に葬るかのように。
おそらくは飢え死にさせてしまった牛たちもこうして埋めたのでしょう。

原題のHell or High Waterというのは直訳すれば地獄でも洪水でも。
つまりは何があろうと、どんなことをしてでもある目的を遂げねばならないという切羽詰まった状況をいうらしい。

クリス・パイン演じる弟は貧しさの連鎖から子供たちを救うため、10年間ムショ暮らしをした兄(ベン・フォスター)は孤独に母親を看取った弟に借りを返すために、なにがなんでも農場を守り抜きたかった。
hellorhighwater218-feature.jpg
しかしながら兄の破天荒さからほころびが生じ、ジェフ・ブリッジス演じる退職間際のマーカスと先住民の血を引く相棒の州警察コンビが兄弟に迫ってきます。
本作は言ってみれば兄弟と警察、二組のバディ映画でもあるんですが、それぞれ確執の上になりたった信頼関係と絆の描き方と、役者の演技が素晴らしくワシントンDC映画批評家協会賞でアンサンブル演技賞に輝くのも納得。

兄弟は自分の富を肥やすためにやってるのではなく、彼らに捨て身の刹那感が漂う部分が、わびしくて渋い主題歌と荒涼とした田舎町の風景も相まって胸に迫ります。
アメリカの底辺には、こうした貧困にあえぐ人たちがいるという現実
悪魔に魂を売ってでも明日に希望を見出したいとの思いは、トランプを大統領に選んだアメリカ人の「なにがなんでも」という希望に重なる気がしたな。

ベン・フォスタージェフ・ブリッジスがダブルで助演男優賞候補に。
監督のデヴィッド・マッケンジーも監督賞にノミネートされていてワシントンDC映画批評家協会賞では5つのノミネート(一つは賞獲得)されています。

追跡劇の緊張感もただならぬものがあって、アクション映画としてもドラマとしても秀逸。
見ごたえガッツリの新時代の西部劇でしたね。

日本ではNetflixで配信してるらしいので、利用されてる方はぜひ。
というか、これを未公開にするとは。


ブログパーツ







【映画】サンダーボルト
2015年11月27日 (金) | 編集 |
Thunder-1_convert_20151127183048.jpg

サンダーボルト(1974)アメリカ
原題:Thunderbolt and Lightfoot
監督/脚本:マイケル・チミノ  
出演:クリント・イーストウッドジェフ・ブリッジス /ジョン・ケネディ/ジェフリー・ルイス

【あらすじ】
銀行破りで奪った50万ドルをめぐり、かつての相棒から追われる身となったサンダーボルト。旅の道づれライトフットを巻き込み再び銀行破りを決行するが……。

【感想】
場所を移してシニア選手権続けます。
今日はクリント・イーストウッド!!

教会で説教する牧師(イーストウッド)の前に大男が現れ、ライフルをぶっ放す。
教会を走り出た牧師は、車を盗んで逃走中の若者に拾われ難を逃れる。実は牧師はその手口からサンダーボルトと呼ばれた元銀行破りのジョン。彼は盗んだ金を巡るトラブルから元相棒のレッド(ジョージ・ケネディ)から命を狙われていた。
やがて彼らは再び銀行強盗を敢行することを決め、ライトフットも相棒として協力することになるが・・

イーストウッドは監督になってから好きになった俳優さんだけど、若い頃の作品を見直すと昔は昔でカッコいい。
セクシーな牧師姿での登場も、この頃ではサービスショットだよね。

監督はこれが監督デビューのマイケル・チミノ
銀行強盗にキャノン砲を使うという、『ダーティハリー』のパワーアップが売りかもしれないけれど
ロード・ムービー風に描くジョンとライトフットの交流に、この映画のよさがあります。


70年代、ジョンやレッドのように戦争を戦ったことのある中年に対し、若者は目標も持てず宙ぶらりんな存在でライトフットもそういった青年。しかし彼はヒッピーのように周りとつるむことはなく孤独な瞳をしている。
そんな彼が偶然ジョンを助けたことに自分の存在意義を感じたのか、ジョンを気に入り友だちになりたいと思う。歳が離れたライトフットをキッドと呼び、子ども扱いだったジョンもいつしか彼に信頼を置き、やがて2人は相棒となっていくんですね。

しかし中盤レッドにお腹を蹴られるシーンで、レッドの言う台詞は終盤への悲しき伏線。
ラスト、消えゆく意識の中にあって、達成感に満面の笑みを見せるブリッジスが切ないですが、ジョンという友を得てライトフットの瞳が輝いていたことが忘れられない。
彼を軸に見ればちょっと遅めのアメリカンニューシネマですね。

原題は「サンダーボルトとライトフット」なのに、邦題がサンダーボルトだけになってるのは淋しいよ。

【映画】恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
2015年05月24日 (日) | 編集 |



恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ(1989)アメリカ
原題:The Fabulous Baker Boys
監督:スティーヴ・クローヴス

作品情報
あらすじ
風采の上がらないジャズ・ピアニスト・コンビが、起死回生に美人シンガー、スージーを迎え、やがて人気を博していくが・・・
トレーラー
恋のゆくえ ファビュラス・ベイカーボーイズ [DVD]


感想
80年代特集、最後の作品は1989年制作の『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』。
ジェフ&ボーのブリッジズ兄弟とミシェル・ファイファーを主演に、それぞれの葛藤やホロ苦い恋の行方を描くドラマです。

まず特筆すべきは吹き替え無しにシンガーを演じたミシェル・ファイファーでしょうか。
兄弟に発掘されたスージー(ミシェル)は、ステージに立つとどんどん輝いていく。



赤いドレスに身を包みピアノ上で歌うミシェルの魅力的なこと。
背景の詳細は明かされないものの、身を売ることで暮らしを繋いできたスージーは、誰よりも現実的で上昇志向のある女性。
そんなスージーには、夢を置き去りに、そこに留まる兄弟は負け犬同然に映ったのかもしれません。3人の関係はやがて壊れ、それぞれに苦い現実をたたきつけることになります。
兄弟に運をもたらしたかに見えたスージーがデュオの存続に危機をもたらすのは皮肉に思えます。でも彼女は兄弟の人生に新たな道を開かせるという役割を担っているという見せ方が上手い。

監督は『ハリポタ』シリーズの脚本を手がけたスティーヴ・クローヴス
29歳でこの脚本を書いたというのだから凄いですね。
兄弟のステージがいかにマンネリかを見せ、弟ジャックの苦悩を浮き彫りにする構成と演出は秀逸。だからこそ、抜け殻みたいになっていたジャックが変ろうとする姿に胸が高鳴ります。

兄を悪者に描いてないところもこの映画の優しいところで
家族のために安定を求める兄の姿に、きっと男性の多くは共感することでしょう。
ボーがまた憎めないキャラなんですよね。
禿隠しのスプレーシーンの止めのポーズと表情が楽しくて、何回観ても笑う(笑)



そして、やっぱり兄弟は兄弟
一緒にピアノを奏でれば直ぐに心が通じ合う感じも心地よい。

ジャックのアパートに遊びにくる子供のエピソードしかり
現実から目を背けず、しっかり前を向いて希望を持ち続ければ
何かが変わるんだと思える作品でした。
「これから始まる」大人の恋の行方にもホッと一息。

ジャジーな音楽もかっこいい、大好きすぎる粋な大人映画でした。