映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】愛の嵐
2015年04月13日 (月) | 編集 |

愛の嵐(1973)イタリア、アメリカ
原題:The Night Porter
監督:リリアーナ・カヴァーニ

映画データ

あらすじ
'57年のウィーン。身元を隠し、ホテルの夜番のフロント係として働く元SSのマックスの目前に、かつて弄んだユダヤ少女ルチアが今や高名な指揮者の妻となって現われる・・

トレーラー


感想
裸にサスペンダーのランプリング画像に禁断の香りを感じ、気になりながら忘れ去っていた本作、先日『ザ・ステイトメント(原題)』の記事にいただいたおみゃあさんのコメントで思い出させてもらって初鑑賞とあいなりました。

ナチス崩壊後十余年のウィーン。
元SSマックス(ダーク・ボガード)はホテルの夜のフロント係(night porter)として働いている。
そこがナチス残党の息がかかっているらしいことは、ホテルに出入りする面々の様子からも窺えます。ある日、美しい人妻ルチア(シャーロット・ランプリング)が指揮者の夫を伴いホテルにやってくる。マックスに気づき固まるルチア。
10年以上の時を隔て、再び出会ってしまった彼らが辿る運命とは・・


フラッシュバックにより、やがて見えてくるルチアとマックスの関係。
ルチアはユダヤ人として収容所に送られた少女だったんですね。
運命の再会が呼び覚ましたのは恐怖ではなく甘い官能だった
2人は危険を覚悟で再び身体を重ねることになるんですねぇ。

とにかくランブリングが美しい
マックスに気に入られ、弄ばれるルチアが仮面のSSたちの集うサロンで
サスペンダー姿で踊る姿の怪しさたるや

やがて命を守るため隠遁生活を余儀なくされる2人
途中、ルチアの悪戯でマックスがガラスの破片で足を怪我するというシーンがあるんですが
これが後半効いて、割れたジャムの瓶に緊張させられることになりました。
実際マックスはルチアと身体を重ねながら、瓶に手を伸ばそうとするんですよね。
二人の隠遁生活が『愛のコリーダ』を思い起こさせたこともあって妄想が広がってしまった。
ノーカット版がアダルト扱いされているところをみると、おそらくはもっと淫らな行為も撮られていたんでしょう。それがあったほうが破滅が際立ち、映画としては成り立つ気がしますね。

未来のない愛の顛末は悲しいけれど
ラストシーンに不思議な清々しさと美しさがあるのは、それが2人にとっての開放だから

ロマンチシズムと退廃の絶妙な塩梅
これ好きです。





◆TBありがとうございます!

 愛の嵐 -CINEmaCITTA'-


映画「愛の嵐」 監督リリアーナ・カバーニ 1975年

ブロ友さんの記事で「愛の嵐」を拝読 公開より やや遅れて劇場鑑賞した記憶が・・・ありましたパンフレット 現在 S.ランプリングの作品をご覧になった方は「オバハン」しか イメージ出来ないかもしれませんが 当時のランプリングは モデル出身で「ヨーロッパの頽廃を体現する」といわれ 恋多き女としても名を馳せていました   プログラム執筆者は 黒田恭一(音楽評論家)や 今野雄二・田山力哉(映画評論家) ... 

2015/8/23(日) 午前 10:28 [ アンダンテ また旅日記♪ ]


【映画】『ザ・ステイトメント(原題)』マイケル・ケインは哀しき逃亡者
2015年03月27日 (金) | 編集 |

南米の強豪チームが活躍するサッカーのワールドカップの中継を、モサドがナチ残党の捜索に利用していると言うのが話題になったことがあります。
『ブラジルから来た少年』などでも描かれているように、ナチスドイツ崩落後、ナチス幹部の一部は南米に逃亡。そのため、アルゼンチン側にいながらドイツの勝利に歓喜する90歳超えの老人は、ナチス残党の可能性があるとしてスクリーンをチェックしているというんですな。
そういう人がスタジアムに出向くかというのははなはだ疑問で、信憑性には乏しいところですけど・・・

前置きが長くなりましたが、今日紹介するのは、ちょいと変則なナチ残党もの。
フランスのヴィシー政権下でナチスドイツに協力し戦犯となった元フランス人オフィサーの逃亡生活を描く作品。ブライアン・ムーアの原作小説『逃走』をノーマン・ジュイソンが映画化した社会派スリラーです。




ザ・ステイトメント(原題)(2003)カナダ、フランス、イギリス
原題:The Statement
IMDbデータ


冒頭、モノクロ画面で描かれるのは1944年フランスで起きたユダヤ人迫害のシーン。
その後映画は現代にシフトし、カフェで封筒を受け取る一人の老人を映し出します。老人は冒頭のシーンで指揮をとったフランス人警察ピエール・ブロッサード(マイケル・ケイン)。
7人のユダヤ人を殺した罪で死刑判決を受けるも逃走し、40年以上に渡って逃亡生活を送るブロッサードですが、ここに来て彼の周囲に不穏な空気が立ち込めます。
カフェを出たブロッサードは見知らぬ男に追われ、殺されそうになるところを咄嗟に射殺。
男の車からは「ブロッサードをユダヤ人殺害の罪で処刑する」との声明文(statement)が見つかります。ブロッサードの命を狙う組織とは?彼は逃亡生活を続けることができるのか? 


この映画、面白いのが、ブロッサードの暗殺を目論む組織自体をすぐに明かさず、ミステリー仕立てでその実態に迫っていくところ。それにブロッサードの逃亡を密かに助ける組織が複雑に絡み合う点が不思議な緊張感を生みます。

実はこれ2003年の作品ながら、日本では未公開でソフトにもなってないので、半分明かしますが、ブロッサードを匿い、経済的に支える組織のひとつがカトリック教会なんですね。その表向きの理由はブロッサードが信仰に篤いクリスチャンであることを挙げているのだけど、ブロッサードの台詞として無宗教の共産主義を非難していたりと、ナチスとヴァチカンの関係を垣間見せていて、奥が深い。ブロッサードは罪の意識に苛まれてはいるものの、懺悔し、神に赦されればいいと思っていて、それもある意味キリスト教批判に取れます。



マイケル・ケインは 心臓に問題を抱えながら逃亡を余儀なくされる哀れな老人ながら、危険が迫れば簡単に人を殺し、時にはキレて妻を脅してみたりと、身勝手で冷徹な面を併せ持つモンスターを好演しています。自分は教会の集会にもいけないと嘆くブロッサードに「あなたは隣に黒人が膝まづくのが許せないだけでしょ」と、妻の言葉でさりげなく彼のレイシストな一面を明かす脚本もよし。


共演者はティルダ・スウィントンシャーロット・ランプリングキアラン・ハインズアラン・ベイツなど実力者ぞろい。





両方の鼻から煙草の煙をプハーーッと吐き出す男前の裁判官ティルダと大佐(ジェレミー・ノーサム)が協力してブロッサードを追いつめるところは探偵ものの趣。しかしなんで裁判官と大佐が?と、フランスの司法とかの仕組みがよく解らない私には戸惑う点も多かったんですよね。最後もイマイチすっきりしなかったし。

マイケル・ケインは熱演ながら、ご自身が「過去の出演作で一番嫌い」と言うくらい彼らしくない役どころだったのは残念でした。余裕と気品とユーモアのないケイン様なんてクリープの入ってない・・古いからやめとこw
そもそも、監督はフランス人のナチ公になんで彼を使ったんでしょ って、そこか(笑)