映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】アイルランド移民の心を描く『ブルックリン』
2016年03月18日 (金) | 編集 |
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ブルックリン
(2015)アイルランド/イギリス/カナダ
監督:ジョン・クローリー
脚本:ニック・ホービィ
出演:シアーシャ・ローナン /  ドーナル・グリーソン/ エモリー・コーエン / ジム・ブロードベント/ ジュリー・ウォルターズ 
日本公開:2016/7
 【あらすじ
姉の勧めでアイルランドからニューヨークへ移住してきたエイリシュ。ホームシックに陥ったがイタリア系移民のトミーとの恋をきっかけに変わっていく。そんなある日、突然の悲報が届き・・。


【感想
アフター・オスカー特集
緑色のコスチュームを着ることで有名なアイルランドのお祭りであるセント・パトリック・デイの昨日
アイルランドからの移民のお話である『ブルックリン』を観ました。

作品賞とシアーシャ・ローナンが主演女優賞にノミネートされた本作
この時代の移民の話が大好きな私にはたまらない映画でしたね。
作品賞の8本では『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『レヴェナント』と並んで3トップ。
しっくり度からいくとベストかもしれない。


50年代、シアーシャ演じるエイリシュは姉の勧めでアイルランドからブルックリンにやってきます。
ブルックリンには80年代に多くのアイルランド人が飢餓を逃れるため移住しており、アイルランド系のコミュニティが出来上がっています。
90年代に入っても仕事の機会に恵まれないアイルランド人女性は、夢を求めてアメリカに移民したんですね。イタリアなど他のヨーロッパからの移民に比べて英語を話せたのは有利だったんでしょう。
デパートの売り子として仕事を始めたエイリシュも、最初は接客にも環境にも馴染めずホームシックにもかかります。

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そんなエイリシュが変わるきっかけになるのがイタリアからの移民であるトミーとの出会い。
映画はエイリシュの変化とともに、エイリシュが共同生活を送るボーディングハウスや
精神面をサポートする教会など、移民を支えるコミュニティの実体を見せてくれるのが興味深い。

エイリシュが教会の勧めでボランティアに参加するアイルランドからの移民を招いてのクリスマス会の会場で
エイリシュより一世代前の移民たちが、アイルランド民謡と思われる美しい曲を聴き涙を浮かべるシーンが好き。
素朴な歌声も本当に美しくてね。多くの移民たちは二度と故郷の土を踏むことなく、異国の地で懸命に生きている。
彼らの郷愁が胸に迫る名シーンでした。

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共演にドーナル・グリーソン
私の知る限り彼は今年のオスカーにノミネートされた作品の4つに出てます。
いつの間にかカッコよくなって、父超えの名優になりそう。
それだけに最後のエイリシュの選択は意外でもあったんだけど、本作が移民の物語と思えば納得。

監督は『ダブリン上等!』『Boy A』のアイルランド出身ジョン・クローリー。
シアーシャ自身もアイルランド出身ということで、この役にかける思いは大きかったでしょうね。

故郷を離れたもの同士の繋がりや生きる覚悟など、移民者の心と歴史を知ることが出来る名作。
今年イチオシだな。


【映画】 天使の処刑人 バイオレット&デイジー
2014年05月28日 (水) | 編集 |



天使の処刑人 バイオレット&デイジー(2011)アメリカ
原題:Violet & Daisy
監督:ジェフリー・フレッチャー
出演:シアーシャ・ローナン、 アレクシス・ブレデル、 ジェームズ・ガンドルフィーニ、 ダニー・トレホ、 マリアンヌ・ジャン=バプティスト、 タチアナ・マズラニー、 コディ・ホーン 
 
【ストーリー】
ニューヨークに暮らす仲良しティーンエイジャーバイオレット(アレクシス・ブレデル)とデイジー(シアーシャ・ローナン)の仕事はなんと殺し屋。
普段は簡単な殺ししか請け負わない2人だったがお気に入りポップスターデザインのお洋服欲しさに報酬の高い仕事を引き受けることに・・。



ジェームズ・ガンドルフィーニ
映画2本目は、シアーシャ・ローナン、アレクシス・ブレデル と競演したクライム・アクション・コメディです。
本作でギャンドルちゃんが演じるのは、ギャル2人の殺しのターゲットとなるマイケル。

 映画はマイケルが「殺されることをむしろ歓迎していた」ことから、仕事の出鼻をくじかれた殺し屋2人が、予想外の敵とも戦いながら、自身のアイデンティティを模索するお話。
タランティーノ流ブラックなアクションから始まって次第にヒューマンな色合いを濃くし、最後はティーンエイジャーの成長物語になってるのが意外な展開でした。

 監督は『プレシャス』でアカデミー脚本賞を受賞したジェフリー・フレッチャー
本作が初監督作品ということらしいですが、ハーバード大学で心理学を学んだという監督は、空想の中に登場人物の心理を投影するのを得意としている様子。
本作でも途中空想と思われるシーンが登場するんですよね。
映画なので思い切り非現実的でもいいじゃないかという監督の意見には異論はなく
ギャル2人がマフィア数人をあっという間に皆殺しにしたり、ブラックな笑いを入れてるのもOK。
だけど、せっかく入れた空想シーンが何を意味するのかわかりにくく、個人的にはモヤモヤが残ってしまいました。心理学に通じていると理解できたのかしら。




 まぁ不消化なところもあるのだけど、この映画が素晴らしいのはやっぱりギャンドルちゃんの存在感です。
不覚にもソファーで眠りこけてしまった2人にそっと掛け物をかけてあげたり
クッキーを焼いて振舞ったりね(笑)
厳しい現実を抱えながらも、デイジーたちには父親のような包容力も見せるギャンドルちゃんが素敵過ぎ。
物悲しさと優しさの合わさった瞳にノックアウトでした。

 デイジーとバイオレットは同一人物なのかなとか、自転車の持つ意味はなんだったかなとか、さまざまな疑問も残ってしまったけど、終わってみれば切なさと爽快感を感じ、嫌いじゃなかったです。
もう一回観るともっと映画の本髄を理解できるかも。




【映画】 ザ・ホスト 美しき侵略者
2014年05月20日 (火) | 編集 |



ザ・ホスト 美しき侵略者(2013)アメリカ
原題:The Host
監督:アンドリュー・ニコル
出演:シアーシャ・ローナン/ ジェイク・アベル/ マックス・アイアンズ/ フランシス・フィッシャー /
 チャンドラー・カンタベリー/ ダイアン・クルーガー/ ウィリアム・ハート
日本公開:2014/6/14
 
【ストーリー】
近未来、人類は「ソウル」と呼ばれる知的生命体の侵略にあっていた。わずかに残った人類は逆襲の機会をうかがいながら、ソウルに身体を乗っ取られまいと逃亡していた。ある日ソウルの襲撃にあったメラニーだったが、寄生され消えたと思ったメラニーの意識は残り、一つの体に人類とソウル、二つの意識が共存することになり・・

『ガタカ』のアンドリュー・ニコル監督の新作SFです。
身体を乗っ取られ、人類が知的生命体に完全に置き換わろうとしている世界観は、『光る眼』などでも昔から描かれてきたSFホラーの定番ですが、本作は乗っ取られると眼の色が変わってしまうので、人間かソウルかわからないといった怖さはまるでなく、乗っ取られる恐怖よりも、逃亡しながら逆襲の機会を待つアンダーグラウンドな人間たちの活躍が主に描かれています。

面白いのはヒロインの設定ですかね。
シアーシャ・ローナン演じるメラニーは知的生命体に乗っ取られた後も、オリジナルのメラニーの意識がホストとして残ってしまっていて、人間からすれば敵と味方の半々的な存在であるというのが変わってます。
でもシアーシャが内なるメラニーと会話しながら行動する一人芝居は笑えます。
しかも原作者が『トワイライト』シリーズのステファニー・メイヤーとあって
お約束の三角関係が描かれるわけです(笑)
といっても、メラニーを愛する青年と、ワンダラー(ワンダ)となったシアーシャちゃんを好きになってしまう青年二人(ポスター参照)との変則的三角関係ね。
ベッドシーンもこなすシアーシャちゃんも大人になったなぁと思いつつも、ロマンスとしては少女趣味。
知的生命体たちの特性も際立たず、中途半端なSFになってしまった印象でしたね。

変な話、知的生命体の運営する世界は合理的で理想郷に見えたりしてね
「人間って素晴らしい!」ってところを実感できないと、映画としては感動のしようもないかなぁ。




ビザンチウム
2014年01月09日 (木) | 編集 |



ヨーロッパシリーズ 今日はニール・ジョーダン監督によるヴァンパイア映画『ビザンチウム』です。
ビザンチウム(2012)イギリス・アイルランド
原題:Byzantium
監督:ニール・ジョーダン
出演:ジェマ・アータートン/ シアーシャ・ローナン/ サム・ライリー/ ジョニー・リー・ミラー/ ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ ダニエル・メイズ
日本公開:2013/9/20
 
ニール・ジョーダン監督といえば、美しい男たちが吸血鬼を演じた『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を思い出すところですが、今回の主人公は女性。
シアーシャ・ローナン演じる16歳のエレノアとジェマ・アタートン演じるクララ、二人の関係を紐解きながら、彼ら背負う壮絶な運命を描きだすファンタジー・ホラーです。

エレノア(ローナン)はヴァンパイアではあるけれど、自分の運命を悲観している。
血を求めるのも、死を間近にしそのときがきた者のみに、安らかな死へと導く役割を担う形です。
ご老人の血・・ま、まずそうなんだが(汗)
一方エレノアは、娼婦をしながら邪魔者を消す手段として殺人を繰り返す。
そのたびに二人は住む場所を変える。こうして長い長いときを過ごしているのです。



映画は、ある海辺にたどり着いたエレノアが、保養地の施設でウェイターをするフランク(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)と出会うところから動き始めます。エレノアの弾く美しいピアノに魅せられたフランクが、「どのくらい練習したの?」と訊く。するとエレノアは「200年」と答えるんですね(笑)
クララを嫌い、自分の運命を悲観するエレノアは、全て明かすことで安らぎが得られるのではと思い始めているのでした。




ヴァンパイア人生がどうやって始まったのかを描いていて斬新な作品でした。
200年前にさかのぼる場面も、クラシックな音楽とともに荘厳で美しい。
トーンを落とした色彩の中描かれる血の赤も印象的ですが、ヴァンパイア誕生を象徴する血の滝のシーンは、しまいにはしつこくてちょっと笑ったがな(笑)招かれなければドアから入れないというお約束もしっかり描かれていてニヤり。でもそれ3回も繰り返すのもやっぱりしつこい。もはや繰り返しの面白さを狙ったコメディかな(笑) 確かにウケましたw



ヴァンパイアものながら、おどろおどろしいだけのホラーにはなっておらず、シアーシャの深いグリーンの瞳が映画全体の憂いを象徴するかのごとく、モンスターとして生きる悲しみに溢れています。それでも陰鬱なだけに終わらないのは、人は愛のために過酷な運命を背負い、愛のために命を繋ぐのだという描き方にあるでしょうね。重厚なヴァンパイア映画に仕上げたジョーダン監督はさすが。



ハンナ
2012年03月04日 (日) | 編集 |



ハンナ
2011年(米)

原題:HANNA
監督:ジョー・ライト
出演:シアーシャ・ローナン  
       エリック・バナ  
       ケイト・ブランシェット  
       トム・ホランダー  
       オリヴィア・ウィリアムズ  
       ジェイソン・フレミング 
       ジェシカ・バーデン

【ストーリー】
フィンランドの山奥で元CIA工作員の父に戦闘技術を徹底的にたたき込まれて育った16歳の少女ハンナは、ある任務のためヨーロッパを旅立つ。しかし、父のかつての同僚でCIA捜査官のマリッサがハンナを執ように追跡する。(映画.comより)



今月のキーワード「アイリッシュ」
なんでアイリッシュのキーワードでこの映画が出てくるかといいますと
主演の
シアーシャ・ローナンがアイルランド人だから(笑)
アイルランドアカデミー賞でもデビュー以来5年連続 賞を受賞する
国民的女優に成長していますね。

本作は、父親を凌ぐ戦士に成長した16歳のハンナが
ついにフィンランドの森を離れることになるが
それは同時にCIA捜査官のマリッサとの対決を意味していた という話で
文芸もののイメージのある
ジョー・ライト監督には珍しく、アクション映画の仕上がりです。

個人的にはこれは、フランケンシュタインものとして面白く観ました。
もっと言うならミュージカル版フランケンシュタインかな。

百科事典的な知識は持ち合わせているものの、
森ではほぼ野生のような暮らしをしていたハンナが外に出て
文明に触れ、父親以外の人と触れ、友を作り、家族と言うものを知る。
初めて目にした電気やシャワーに驚きパニックに陥るシーンなんて
とってもミュージカル的に観えたな。

ハンナが目にする他民族の歌や踊りもエキゾチックで
常に音楽が溢れていたのもそう感じた一因でしょうか。
アクションも何かリズムを感じましたね。

なぜフランケンかは、映画をご覧になった方には判ってもらえると思います。
モンスターである自分を知ることになるハンナの切ない物語でもありました。




強烈だったのはマリッサを演じた
ケイト・ブランシェットでしたね~。
冷徹かつ執拗に任務を遂行するマリッサは、ある意味ハンナ以上にモンスターな存在。
そのストイックさを表現するのに、歯磨きのシーンを採用してるのだけど
電動歯ブラシで血が出るまで磨くんですよね。あれには笑った(笑)

さて、モンスター対決を制すのは、ハンナかマリッサか は観てのお楽しみ。

そんなに強いならハンナは逃げなくてもいいんじゃないか・・とか
森での生活色々など、ツッコミどころはあるけど
ありきたりなアクションものになってなかったところが面白かったです。