映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】高慢と偏見とゾンビ
2016年08月27日 (土) | 編集 |
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高慢と偏見とゾンビ(2016
アメリカ
原題:Pride and Prejudice and Zombies
監督/脚本:バー・スティアーズ
出演:リリー・ジェームズ / サム・ライリー /  ジャック・ヒューストン/ ベラ・ヒースコート/ ダグラス・ブース
日本公開:2016/9/30 

【あらすじ
片田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は、裕福な男性との結婚を夢見ながら、日々ゾンビとの戦いに備えスキルを磨いていた。

【感想
英国男優総選挙のっかりシリーズ『英国俳優50人斬り』をスタートしましょう。
1本目は、『シンデレラ』のリリー・ジェームズを主演に迎えた『高慢と偏見とゾンビ』です。

舞台となるのは18世紀後半のイギリス。
この時代、女性には家を相続する権利がなく、男の子のいないベネット家ではお父さんが死んだらいとこのコリンズが家を相続することになるんですって。だから年頃の5人姉妹を抱えるベネット家の最大の関心ごとは姉妹が良縁に恵まれること。そんな折、お隣に富豪の男子が越してきたとあってがぜん盛り上がるわけです。

え?ゾンビは? 
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心配ご無用、ゾンビもしっかり出てきます。
男の子のいないベネット家の姉妹たちは日々ゾンビと戦うし、ダーシーに至っては冷酷なまでにゾンビをやっつける。
でもね、恋愛の機微やらもちゃんと描かれていて思いのほかジェーン・オースティンの世界なんですよ。

英国男優50人斬り、今日は2人一緒に斬っちゃいますが
まずはダーシーを演じるサム・ライリーですね。
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ダーシーと言えば、ハンサムでお金持ちだけど高慢で気難しく、人との付き合いも下手
中流階級を下に見る発言もありエリザベスに反感を食らったりする役どころ。

私はBBC版の『高慢と偏見』は未見ですが、現代版『高慢と偏見』である『ブリジット・ジョーンズの日記』のダーシー役のイメージからして、コリン・ファースがピッタリなんだろうと思います。サム・ライリーは暗めで人づきあいが下手そうではあるけれど、複雑に屈折してシニカル、それでいてそこはかとなくユーモアを醸し出すコリンのダーシーには及びません。それでも、根の誠実さは感じられて、エリザベス役のリリーとの相性もいい。
二人の喧嘩シーンも壮絶で、アクションコメディとしても見せ場を作ってくれました。
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50人斬りもう一人は、ベネット家のお父さん、Mrベネットを演じたチャールズ・ダンス。
女系家族の中にあって、結婚結婚とうるさいお母さんとは違って穏便で事なかれ主義。しっかり者のエリザベスをとても愛していて、よき理解者でもあるという役どころですが、正直言うとダンスさんにはちょっと物足りないなぁ。
できればゾンビになった姿を見たかった(笑)


ともすれば退屈になりがちな文芸ものですが、ゾンビを投入したことで、私みたいな人間にはとても見やすいものになってました。ただし、コアなホラーファンや純粋な文芸もの好きにはどっちつかずってことになるのかな。
とはいえ、人間VSゾンビの戦いはシビルウォー的な迫力もあり、全体にわたって手抜きなし。
多分ろうそくの灯りだけで撮影したのかなと思われる、室内の舞踏会シーンなども趣があり。

なかなかのクオリティですぞ。



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ビザンチウム
2014年01月09日 (木) | 編集 |



ヨーロッパシリーズ 今日はニール・ジョーダン監督によるヴァンパイア映画『ビザンチウム』です。
ビザンチウム(2012)イギリス・アイルランド
原題:Byzantium
監督:ニール・ジョーダン
出演:ジェマ・アータートン/ シアーシャ・ローナン/ サム・ライリー/ ジョニー・リー・ミラー/ ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ ダニエル・メイズ
日本公開:2013/9/20
 
ニール・ジョーダン監督といえば、美しい男たちが吸血鬼を演じた『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を思い出すところですが、今回の主人公は女性。
シアーシャ・ローナン演じる16歳のエレノアとジェマ・アタートン演じるクララ、二人の関係を紐解きながら、彼ら背負う壮絶な運命を描きだすファンタジー・ホラーです。

エレノア(ローナン)はヴァンパイアではあるけれど、自分の運命を悲観している。
血を求めるのも、死を間近にしそのときがきた者のみに、安らかな死へと導く役割を担う形です。
ご老人の血・・ま、まずそうなんだが(汗)
一方エレノアは、娼婦をしながら邪魔者を消す手段として殺人を繰り返す。
そのたびに二人は住む場所を変える。こうして長い長いときを過ごしているのです。



映画は、ある海辺にたどり着いたエレノアが、保養地の施設でウェイターをするフランク(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)と出会うところから動き始めます。エレノアの弾く美しいピアノに魅せられたフランクが、「どのくらい練習したの?」と訊く。するとエレノアは「200年」と答えるんですね(笑)
クララを嫌い、自分の運命を悲観するエレノアは、全て明かすことで安らぎが得られるのではと思い始めているのでした。




ヴァンパイア人生がどうやって始まったのかを描いていて斬新な作品でした。
200年前にさかのぼる場面も、クラシックな音楽とともに荘厳で美しい。
トーンを落とした色彩の中描かれる血の赤も印象的ですが、ヴァンパイア誕生を象徴する血の滝のシーンは、しまいにはしつこくてちょっと笑ったがな(笑)招かれなければドアから入れないというお約束もしっかり描かれていてニヤり。でもそれ3回も繰り返すのもやっぱりしつこい。もはや繰り返しの面白さを狙ったコメディかな(笑) 確かにウケましたw



ヴァンパイアものながら、おどろおどろしいだけのホラーにはなっておらず、シアーシャの深いグリーンの瞳が映画全体の憂いを象徴するかのごとく、モンスターとして生きる悲しみに溢れています。それでも陰鬱なだけに終わらないのは、人は愛のために過酷な運命を背負い、愛のために命を繋ぐのだという描き方にあるでしょうね。重厚なヴァンパイア映画に仕上げたジョーダン監督はさすが。



オン・ザ・ロード
2013年09月02日 (月) | 編集 |
 

『道』から繋いで、今日は『オン・ザ・ロード』ビートニク作家ジャック・ケルアックが自身の体験をつづった「路上」を、
『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレスが映画化した一本です。
オン・ザ・ロード(2012)アメリカ原題:On The Road 監督:ウォルター・サレス 出演:
サム・ライリーサル・パラダイス(ジャック・ケルアック)
ギャレット・ヘドランドディーン・モリアーティ(ニール・キャサディ)
クリステン・スチュワートメリールウ(ルアンヌ・ヘンダーソン)
エイミー・アダムスジェーン(ジョーン・フォルマー)
トム・スターリッジカーロ・マルクス(アレン・ギンズバーグ)
ダニー・モーガン
アリシー・ブラガ
エリザベス・モス
キルステン・ダンストカミール(キャロリン・キャサディ)
ヴィゴ・モーテンセンオールド・ブル・リー(ウィリアム・バロウズ
日本公開:8/30
  ニューヨークに暮らす若い作家サル・パラダイスは父親を亡くした喪失感に苛まれていた。そんな彼の日常は、セックスとドラッグにまみれ、常識に囚われない風変わりなディーン・モリアーティとの出会いによって一変。やがてディーンとともに広大なアメリカ大陸を放浪する…。

製作総指揮のフランシス・フォード・コッポラが30年前に製作権を獲得し映画化を念願した作品がようやく公開になりました。
サレス監督でいくと決めてからも8年間の年月がかかったらしい。執念ですね。

主演に『コントロール』のサム・ライリー
奔放なディーンに触発され旅に出た若き作家サルが旅を通し経験したことを本にしたのが、
ヒッピーたちのバイブルともなった『路上』。

映画は、サルの視点で、ディーンに代表されるビートニク世代の若者の刹那的な日常を描き出します。
 
ディーンは自由を求めて熱狂し、何か自分を満足させるものが必ずあると信じて旅をする。
16歳の若妻メリールウ(クリステン・スチュワート)がいながら、カミール(キルステン・ダンスト)にも心魅かれる。
形に囚われないというと聞こえはいいけれど、あえて安住を拒むかのよう。

結局何に対しても責任を持つことをしないディーンは、自責の念にからてか次第に光を失っていく。
旅をしても本当に求めるものを見つけられないディーンの孤独が痛い。
安住することに不安を覚えるのは、心の支柱を持たないからなのか。
探しても見つけることが出来ないディーンの父親は、その「支柱」を象徴しているようにも思います。

 

旅を通し、やがて大人へと脱皮していくサルと、いつまでもそこにとどまるディーンディーンの後姿を見せるラストシーンでは、
その後に何があるのかを知っているだけに、涙が止まりません。

サム・ライリー演じるサルはケルアック自身。他にケルアックと交流のあった作家たちが描かれるので、
作家に詳しい方はキャストを参照して、誰が誰を演じてるのかをチェックしてるといいかも。

ヴィゴが『裸のランチ』のウィリアム・バロウズを演じていて、思わずその顔にゴキブリを重ねてしまった(汗)

 

キャスト中いいのは女性陣ですね。特にメリールウを演じたクリステン・スチュワートがいい。
彼女のキャリアに『トワイライト』シリーズはいらない。
インディーズ系の作品で魅力を発揮する女優さんだと思います。

ディーンを演じたギャレット・ヘルランドにはもう少しカリスマ的な魅力が欲しかった。
どこまでも続く道を横長の画面で見せる映像も美しく、土地土地にあった音楽も多様で面白く
その時々の感情を表現するのに使われる「言葉」を堪能するのも、この映画の楽しみ方のひとつでしょう。

いい映画でした。