映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『へイル、シーザー!』ザ・50年代!
2016年02月18日 (木) | 編集 |
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ヘイル、シーザー!(2016)アメリカ

原題:Hail, Caesar!
監督/脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演:
ジョシュ・ブローリン/ ジョージ・クルーニー/ オールデン・エアエンライク/ レイフ・ファインズ / ジョナ・ヒル / スカーレット・ヨハンソン/ フランシス・マクドーマンド/ ティルダ・スウィントン/ チャニング・テイタム
日本公開:2016/5/13 

 【あらすじ
1951年、ハリウッドの映画会社で映画「ヘイル、シーザー!」撮影中、世界的大スターのウィットロック(ジョージ・クルーニー)が誘拐される。スタジオのフィクサー(ジョシュ・ブローリン)が解決に奔走するが・・


【感想
コーエン兄弟の新作、1951年のハリウッドのスタジオを舞台にしたコメディです。

タイトルの『ヘイル、シーザー!』はクルーニー扮する大スターウィットロックを主演とした劇中映画のタイトル。
この撮影中にウィットロックが誘拐され、さぁ大変という話ですね。

でもこれ、映画サイトにあるように「個性的なスターたちを巻き込んで難事件に挑む!」みたいなものを期待すると
裏切られるし、トレーラーのノリも違う。

映画はあくまで、ジョシュ・ブローリン演じるスタジオのフィクサーの一日を描くもの。
エディ・マニックスというのは40年代から50年代にかけて実際にハリウッドでフィクサーとして活躍した人物らしいんですが
50年代はハリウッド黄金時代の中でも後期にあたり、
テレビの普及に伴って映画業界自体が勢いをそがれる時代に入ってくるので
人々の夢を夢で有らしめるために、スターのゴシップをもみ消したり、フィクサーの仕事は大変だったんでしょう。
そんなマニックスの一日に注目した本作は、50年代のハリウッドにタイムスリップする作品になっています。


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スタジアムでは5つの映画が制作されていて、ウエスタンからミュージカル、歴史モノに至るまで色んなジャンルを一気観できるのはMGMスタジオの見学ツアーに連れて行ってもらった気分になるし、ノワールな雰囲気に合わせた音楽や撮影など、コーエン兄弟の力量も感じられます。
この時代に詳しいと、水兵姿で踊るチャニング・テイタムや、西部劇の オールデン・エアエンライク、人魚コスチュームのスカヨハなどが誰をモデルにしてるとかも分かるでしょうからそういう楽しみ方も出来る。
でも、私もそうだけど50年代に疎いと楽しみ方も半減になるかな。
あと、この映画が問題なのはそれぞれが単発的で、誘拐事件とうまく絡んでこないこと。
あくまでも誘拐事件は時代を象徴する一つのモチーフと考えるべきでしょうね。

もう一つ言うと、主役であるブローリンも、冒頭から教会で懺悔してたりして、
彼なりに悩みを抱え込んではいるんだけどそれが観客に悩みとして伝わらない。
彼の心情を観客が共感できないから面白くなっていかないのが残念なところでした。




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豪華キャストで目を引くのはタップダンスや歌まで披露して芸達者なところを見せてくれたチャニング・テイタム
50年代ハリウッド女優の喋りを見事に再現したスカーレット・ヨハンソン
そして一番美味しいところを持っていったのが、目を見張るカウボーイ・アクションを見せてくれたたオールデン・エアエンライク。アクションはいいけど実は大根という設定で、監督役の レイフ・ファインズとのやり取りは笑えた。


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マイケル・ガンボンがナレーターというのもミソで、50年代を感じる映画でしたね。
私は少々退屈して寝てしまったところもあったけどwテクニカルな面など、玄人ほど楽しめる作品かもです。



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『インサイド・ルーウィン・ディヴィス 名もなき男の歌』のインサイド
2015年11月22日 (日) | 編集 |
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先日、撮影風景とインタビューで構成された『インサイド・インサイド・ルーウィン・デイヴィス』というドキュメンタリーを観て、劇場鑑賞以来はじめて、コーエン兄弟の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』を再見しました。

主演は新作『スター・ウォーズ』の新顔オスカー・アイザック
オスカー演じるルーウィン・デイヴィスは60年代初頭グリニッジ・ヴィレッジを中心に活躍したデイヴ・ヴァン・ロンクというフォークシンガーをモデルにしているとのこと。しかし自伝と言うわけではなく、おそらくはボブ・ディラン以前に出ては消えていったシンガーたちをひっくるめた描き方なのでしょう。

再見して新たな発見もあり、大変面白く見たんですが、解釈に困る部分も出てきてしまいました。
そのうち一つはシカゴに向かったロードムービー風のパートは現実か?という点です。

シカゴへの道中、悪夢としか思えないような不運が連続して描かれるからというのもありますが、ジョン・グッドマン演じるローランド・ターナーが『バートン・フィンク』のチャーリーを髣髴させることから、バートン・フィンク同様にとことん行き詰ったルーウィンの心象風景と取るべきなのかと思ったのです。

そうして振り返れば、シカゴのバド・グロスマンが妙に表情がなく、至近距離で対面しルーウィンの曲を聴くところもなにか変だったと思えてきたり・・・
でも、ルーウィンが寝ている傍でシリアル(?)を食べるトロイも妙だったし、猫の名前が途中で変わっているところもあれ?って感じで、色々変なところが出てきます。まぁ、コーエン流のユーモアといえばそうなんですが。

幾度となく、オスカーが眠りから覚めるシーンが描かれるし、窓の外でサイレンのような音が鳴ることも気になる。
もしかしたらロードムービーの部分だけでなく、その前から現実ではなかったのかもしれませんね。
って、勝手な解釈ですけど。

映画は性懲りなく同じことを繰り返すルーウィンを象徴するように、同じシーンを繰り返すループで構成されています
可哀相なオスカー・アイザックは冒頭で何者かに殴られ、ラストシーンでも再び殴られる。
しかし、二度目にはその理由が分かるのが可笑しいですね。

この映画を悲観的なものと見るかどうかについては意見が分かれるところでしょう。
カリスマ ボブ・ディラン登場の歴史的瞬間をルーウィンが打ちのめされるシーンで描くシニカルな演出から、彼のキャリアからすると悲観的と考えるのがふさわしいのかもしれない。

実力があってもその世界を動かす存在になるのは容易なことではなく、
ルーウィンだけでなく、多くのシンガーがディランにノックアウトされたんですよね。

でも、観客はきっとルーウィンを好きにならずにいられない。
根なし草だけど、なんとか中絶代を工面する誠実さがあるし、
自分の子供がいることを知ってちょっぴり嬉しそうにするルーウィンは愛おしくもあります。

コーエン兄弟によると、ルーウィン役にふさわしい歌って演じられる役者をみつけるのには大変苦労したようです。
もう殆ど諦めかけていたところにオスカー・アイザックと出会い、奇跡だと思ったのだとか。
それだけのこだわりに応えるオスカーのギターと歌は本物。
共演者もそれぞれ歌える面々を揃え、音楽の楽しさを味わうことも出来ます。

映画の制作に加わったメンバーたちの名もなき男たちへのリスペクトや慈しみを感じるから
この映画は優しい余韻を残すのでしょうね。


バートン・フィンク
2014年04月06日 (日) | 編集 |



作家シリーズ
最後はコーエン兄弟の『バートン・フィンク』いってみます。
バートン・フィンク(1991)アメリカ
原題:Barton Fink
監督:ジョエル・コーエン
出演:ジョン・タートゥーロ/ ジョン・グッドマン/ ジュディ・デイヴィス/ マイケル・ラーナー/ ジョン・マホーニー/ トニー・シャルーブ/ ジョン・ポリト/ スティーヴ・ブシェミ
 1941年のニューヨーク。社会派劇作家のバートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)は、ハリウッドに招かれて映画のシナリオを依頼された。早速ホテルにチェック・インしたが、そこは薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。とりあえず部屋に入った彼だったが……。

 カンヌでパルムドールを獲得するなど、高い評価を得たコーエン兄弟の代表作の一つです。
前に観た時には、突拍子もない票視も展開を見せる変わった映画という印象でしたが、今見直してみると色んなメタファーを考えずにはいられませんね。

 まず舞台となるホテルが面白すぎる。
なんたってエレベーター係りの死人のようなおっさんのほか、従業員はブシェミ先生の姿しかありません。
しかもフロントデスクの下の床の下から扉を開けて登場する。いつまでも鳴り続ける呼び鈴にしても普通じゃなく、この時点でこのホテルは何かおかしいということになります。


 ところで、この映画ネタバレなしには書けそうにないので、以下 未見の方はご注意ください。

 



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