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約束のよろこび消えはてぬ 『二十日鼠と人間』
2012年09月02日 (日) | 編集 |
悲しい映画と聞かれると、これを挙げます。
ジョン・スタインベックの同名小説の映画化で
主演のゲイリー・シニーズが監督を務めた『二十日鼠と人間』



二十日鼠と人間
1992年(アメリカ)
原題:Of Mice and Men
監督:ゲイリー・シニーズ
出演:ゲイリー・シニーズ、ジョン・マルコヴィッチ、レイ・ウォルストン、ケイシー・シマスコー、シェリリン・フェン
 


1930年、大恐慌時代のカリフォルニア。小柄で頭の切れるジョージと、巨漢だが知恵遅れのレニーの2人は、農場から農場へ渡り歩きながら労働に明け暮れる日々を送っていた。レニーは気持ちの優しい男だが、他愛のない失敗でよく面倒に巻き込まれるのが日常茶飯事だった。そんなレニーを聡明なジョージ何かとかばい、レニーは行動の全てをジョージに支持してもらい頼りきっていた。

ここのところ、大恐慌時代の作品を続けて取り上げてますが
これもそんな時代の底辺に生きる二人の男を描くヒューマンドラマ。
わけあって農場を追われ、新しい土地で働き始めてわずか4日間の出来事です。




ジョン・マルコヴィッチ演じるレニーは純粋で心優しいが
感情と力の制御ができない知恵おくれの大男。
幼なじみのジョージ(ゲイリー・シニーズ)は聡明な青年だったが、
なにかといざこざを起こしてしまうレニーをかばい、共に農場を渡り歩く生活。
そんなどん底生活ながら、二人にはいつか農場を持つという夢がありました。
レニーはいつもジョージにこの夢の話をすることをせがみます。
うるさそうにしながらも次第に生き生きと夢を語りはじめるジョージ。
その横で目を輝かせて話に聞き入るレニー。二人にとっての至福のひと時。
新しい農場でであったら老人キャンディ(レイ・ウォルストン)の申し出で、夢が叶うと思われたとき、
不運が二人を襲うのです。


「二十日鼠と人間」の原題「Of Mice and Men」はスコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩「ハツカネズミ」からとったものだそうです。
    
    ハツカネズミと人間のこのうえもなき企ても
    やがてのちには 狂いゆき
    あとに残るはただ単に悲しみそして苦しみで
    約束のよろこび消えはてぬ

これ、映画の内容そのままなんですよね。
観終わってあらためてこの詩を読むと無性に泣ける。


女優になることを夢見た事もある農場主の息子の嫁(シェリリン・フェン)の虚無感も印象的。
彼女はカールの妻と呼ばれるだけで役名さえもない。
誰もが貧しく、夢を持つことさえ難しい時代。
ジョージにとってはレニーの純真さが心の支えでもあったのでしょう。
それだけに、夢の実現を目前にして起きた事件は悲しく
老人と犬のエピソードが伏線になっていたと気づくラストに、余計に涙が溢れるのです。

音楽も農場の風景も美しく、心に残る作品です。


  *旧ブログ記事に加筆しています。


★★★★☆