映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】クリミナル 2人の記憶を持つ男
2017年02月26日 (日) | 編集 |
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クリミナル(2016)イギリス/アメリカ
原題:Criminal
監督:アリエル・ヴロメン
脚本:ダグラス・S・クック/デヴィッド・ワイズバーグ
出演:ケヴィン・コスナーライアン・レイノルズゲイリー・オールドマン/トミー・リー・ジョーンズ/ガル・ガドット/マイケル・ピット
【あらすじ】
謎のハッカー“ダッチマン”の居場所を知るCIAエージェントが任務中に死亡した。世界を救う最後の希望として彼の記憶は死刑囚ジェリコに移植され・・

【感想】
ケヴィン・コスナーがすっごい犯罪者を演じてると話題の本作。”2人の記憶を持つ男”という副題にもそそられました。
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冒頭、何者かから追われる様子のビリー(ライアン・レイノルズ)が捉えられ拷問の挙句に非業の死を遂げる
彼はCIAのエージェントで、謎のハッカー「ダッチマン」の居場所を知る唯一の人物だったことが分かります。

ダッチマン(マイケル・ピット)がテロリストに利用されれば世界は大変なことになるってんで
CIAはビリーの情報に辿りつく手段として、彼の脳を他人に移植するという荒業に出るんですな。

CIA指揮官はわれらがゲイリー・オールドマン。脳外科医にトミー・リー・ジョーンズ。
そして脳を移植され「2人の記憶を持つ男」になってしまうのがケヴィン・コスナーです。

これは面白かったね。



ケヴィン演じるジェリコという男、グリコみたいな名前で可愛いですが、これが折り紙付きの極悪人で
まずはケヴィンの悪童ぶりを堪能。
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彼はビリーの脳を移植させられたばかりに、CIAとテロリストの攻防に巻き込まれていくわけなんですが
面白いのはモラルもへったくれも持たない男が、移植されたビリーの脳に影響され始めるところ。

店員に悪態をついたかと思えば、そのあと謝ったりする。
そして、今謝ったのは自分じゃないからと言い訳するのがかわゆいの。

まぁね、記憶をつかさどる「脳」の移植が行動や人格に影響を与えるというのは眉唾で、ツッコミどころをあげればきりがないけども、極悪人が人の心を持ち始めるところにグッとくるのです。
しまいには犯罪者として身につけた技と、CIAエージェントのスキルの両方を駆使してテロリストに挑むというのが、一種ユーモラスでもあり、面白い。
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ビリーには愛する家族がいて、ジェリコの中のビリーの家族愛がその原動力になってるんですが・・
もしも、もしもね、ジェリコを若くてカッコいい俳優さんが演じていたとしたら、妻ジル(ガル・ガドット)との間にロマンスが生まれても受け入れるかもしれないけれど、ケヴィンではあまりも老けすぎだよね。(身も蓋もなくてスマンw)
ともあれ、ジェリコの思いの処理があいまいなのは続編への布石なのか、そこのところはちょっとモヤっとしたな。

ライアン・レイノルズの役は『セルフレス』を思いだすところ。
家族への思いを残し死んでしまったものとして、『ゴースト ニューヨークの幻』みたいなことになるのかなと思ったら、後半に出番がなくてお気の毒。

続編は『ゴーストエージェント 2人の記憶を持つ男』でお願いします。

お気に入り度4.1

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【映画】バスキア
2016年09月13日 (火) | 編集 |

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 バスキア(1996 アメリカ
原題:Basquiat
監督:ジュリアン・シュナーベル
脚本:ジュリアン・シュナーベル/マイケル・トーマス・ホルマン
出演:ジェフリー・ライト / クレア・フォーラニ/ マイケル・ウィンコット/ デヴィッド・ボウイ/ デニス・ホッパー/ ゲイリー・オールドマン/ ベニチオ・デル・トロ / ウィレム・デフォー/ クリストファー・ウォーケン

【あらすじ
1979年、壁に落書きするグラフィティスタイルで独自の世界観を表現していたバスキアは、徐々にその実力を認められるようになる。

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感想
1988年に 27歳で亡くなったアーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアの伝記映画。
『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベルの監督デビュー作品です。

主役はバスキアを演じるジェフリー・ライトですが、「イギリス男優50人斬り」につき、今日は主に共演のデヴィッド・ボウイゲイリー・オールドマンについて書きます。
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まずはオールドマン。
登場人物のほとんどが実在の人物という中、オールドマン演じるアルバート・マイロは架空の人物です。実はこの役に監督は画家でありバスキアと親交のあった自身を投影したんですね。家の廊下にバスキアが排尿するのも監督の家で実際にあったこと。オールドマンの娘として登場するのは監督の実の娘です。

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ボウイ演じるアンディ・ウォーホルはポップアートの旗手として有名ですが、バスキアとも親交があった人。
映画の中でバスキアの恋人ジーナが「ウォーホルはバスキアを利用している」と言うシーンがあるように、世間ではそういう噂も立っていたようだけど、監督はウォーホルをバスキアのメンターであり父親のような存在として描きたかった様子。ボウイ自身は頭角を現した新しい才能に敬意を表しつつ、自分の知識を与え、ともに成長しあう存在として演じたとのことで、当人をよく知る監督と、アーティストとしてウォーホルを尊敬するボウイ、2人とも引けないものがあるらしくらインタビュー動画で少し気まずい空気が流れてました。

それでもボウイの演技には監督も絶賛で、本物のウォーホルが着用していたという銀髪のウィグをつけ、世間を見る空虚さや反発心を目で表現したボウイが凄くいい。
劇中バスキアがキャビアを買って、ウォーホルが3000ドルをカードでポンと払うシーン
これは「お前なんかに買えないだろう」という態度の店員をバスキアが見返す場面として描かれてますが、成功の影には世間の偏見や中傷にもさらされてきたんでしょう。
ちなみに実際に一緒にキャビアを買ったのはウォーホルではなく監督だったらしいですよ。

ジャンキー仲間で何言ってるのかわからないベニー役のベニチオ・デルトロには吹き出したけど、ラストシーンにはベニーのやさしさが救いに感じられて心が温まった。

初監督のインディーズ作品にもかかわらず、デニス・ホッパーやクリストファー・ウォーケンなど著名な俳優陣や多くのミュージシャンが参加してるのもアーティストへの共感とリスペクトがあるからこそ。

時に洗脳ビデオを見てるような感覚に陥る映像も面白かったし、アーティストによるアーティストの映画としてユニークさを楽しみました。

ちなみにこちらバスキアの作品
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私も描けそうな気がする・・・w





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【映画】トラック29
2015年10月16日 (金) | 編集 |

トラック29(1987)イギリス
原題:Track 29
監督:ニコラス・ローグ
出演:テレサ・ラッセル /ゲイリー・オールドマン / クリストファー・ロイド/ コリーン・キャンプ/ サンドラ・バーンハード/ シーモア・カッセル


リンダは、列車の模型に夢中な夫ヘンリーにストレスを溜めてる。
そんなある日、リンダはバーガー店で生後二日で自分を里子に出した母親を探してると言うマーティンという青年に遭い、自分の過去を思い出していた・・

英国男優総選挙 特集 8回目
 
今日はトムハも大好きゲイリー・オールドマン !!

最近は穏やかで優しげな役を演じることが多くなったゲイリーだけど
本来キレ気味の役が嵌る人ですよね。

ということで、今日は若きゲイリー作品を
ニコラス・ローグが妻テレサ・ラッセルを主演に据え描くファンタジーサスペンスです。

ラッセル演じるリンダは、子供が欲しいと切望しても夫に取り合ってもらえず
列車の模型に夢中な夫にストレスをため、精神状態は最悪。
そんなときに彼女の前に現れるのがゲイリー演じるマーティンです。
いや~ゲイリーわっかー。しかもキラキラ可愛い!

リンダに自分を捨てた母親の影を重ねているらしく、マーティンはリンダの周辺に姿を現すようになるんですが、
幼児のように駄々をこねるかと思えば、荒々しくリンダに身体を重ねてみたり
これが実に不思議なキャラ

フラッシュバックでリンダの過去を見せながら
次第に幻想と現実の境が曖昧になっていきます。

でも、途中リンダを第三者から見た映像が挟まれることから
観客はマーティンがリンダだけに見える存在であるとわかるんですね。
おそらくはリンダのトラウマや欲望を具現化したものなんでしょう。


ゲイリーはピアノを弾いて歌を歌ってくれたり
セクシーだったり、ときにキレたり
一応一人二役で別キャラも演じつつ、
すっぽんぽんでロイドにしがみつくなどの怪演を見せてくれるんだから
ファンにはたまりません。
でも日本ではソフトになってないみたいで残念。

ストレスもこじらせると怖いというのを
幻想で見せるサスペンスでした。

夫ヘンリーに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のクリストファー・ロイド



    職場でナースとSMごっこの図。そもそもあなたが悪い。




タイニー・ラブ
2013年03月03日 (日) | 編集 |


TiVoが賢いのは、一度録画予約したら主演や監督の関連作品を次々に録画してくれること。今日はその中からマシュー出演のこんな作品を。



タイニー・ラブ(2003)アメリカ
原題:Tip Toes
監督:マシュー・ブライト
出演:ケイト・ベッキンセイル、 ゲイリー・オールドマンマシュー・マコノヒー、 ピーター・ディンクレイジ、 パトリシア・アークエット

ポスターからしてマシューとケイト・ベッキンセールのラブコメという雰囲気なんですが、これが意外にシリアスなドラマでした。

新鋭画家のキャロル(ケイト・ベッキンセール)はある日、同棲中の恋人・スティーヴン(マシュー・マコノヒー)の子供を妊娠する。しかし、子供を欲しがっていたはずのスティーヴンが、何故か喜んでくれない。

結婚を前提に付き合っていた恋人同士が、妊娠を機に
思いがけない危機に直面する姿を描く作品です。

まぁ大前提なので言いますが、
マシュー演じるスティーヴンの家族は両親も双子の兄も小人症なんですね。
生まれてくる子供も小人症の可能性が高いことから、さぁどうするということになるわけです。

アメリカでは小人症の俳優も多く、コメディもこなすのでこういう映画も受け入れやすいのかもしれないけど、日本ではおそらく作られないタイプ。
ある意味タブーな作品ですよね。

映画は身障者に対する偏見や、本人家族の葛藤に迫りながら恋の行方を追います。
これがおよそラブコメではありえないような予想外な展開となり驚きます。

スティーヴンの双子の兄を演じるのは、なんと小人症のお姿のゲイリー・オールドマン。ベンジャミン・バトン同様な撮影法でしょうか。

この映画日本でも未公開だったけど、こちらでもえらく評判が悪いのね。
コメディかシリアスかわからない描き方でテイストが掴みにくいのと
無駄と思えるドタバタシーンが多いのが問題かな。
ゲイリー・オールドマンの元カノのことや、ピーター・ディンクレイジ&パトリシア・アークエットのこととか無い方がよっぽどすっきりしそう。




それでも身障者を描くことに真摯に向き合う姿勢は好感が持てるところで
マシューの葛藤も、ベッキンセールの母性も理解できた。
どんでん返し的ではあるけれど、穏やかな余韻を残すラストも良かったと思います。
ドタバタさせなければもっといい作品になったんじゃないかな。惜しい。

映像はあまり良くないですが、動画貼っておきます。




裏切りのサーカス
2012年04月17日 (火) | 編集 |
今日はフランス映画未公開傑作選から『三重スパイ』を記事にしようと思ったんですが
その前にニ重スパイおさらいしときます(笑)
消化不良だった『裏切りのサーカス』をDVDで再見しました。
ジョン・ル・カレの代表作を『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン監督が映画化した一本です。

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裏切りのサーカス

2011年(フランス・イギリス・ドイツ)
原題 Tinker Tailor Soldier Spy
原作:
ジョン・ル・カレ
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマンキャシー・バークベネディクト・カンバーバッチコリン・ファーススティーブン・グレアムトム・ハーディキアラン・ハインズジョン・ハートトビー・ジョーンズサイモン・マクバーニーマーク・ストロング
【ストーリー】
1960年代のロンドン。ある作戦の失敗でイギリスの諜報機関サーカスを引責辞職したジョージ・スマイリーに、ある日特命が下される。それは、いまもサーカスに在籍する4人の最高幹部の中にいる裏切り者=2重スパイを探し出せというものだった。(映画.comより)


原題は『Tinker Tailor Soldier Spy』
これはイギリスの数え歌の一節らしく、実際には
Tinker, Tailor,Soldier, Sailor,Rich Man, Poor Man,Beggar Man, Thief.と続きます。
映画の中では、ミッションのミスでイギリス諜報機関サーカスを引責辞任することになる
元司令塔のコントロール(ジョン・ハート)が
独自の調査でめぼしをつけた裏切り者候補5人を、
それぞれTinker、Tailor、 Soldier、 Poor Man、Spyというコードネームをつけ呼んでいたんですね。

前の記事でも書いたけど、これは往年のスパイものを期待すると裏切られます(笑)
本作はスマイリーが密かに真実に近づくというプロットを取りながら
この時代に生きたスパイたちの葛藤を描く静かな映画なのです。

監督は言葉で説明する代わりに、映像で見せるタイプだろうと思うのだけど
本作も冒頭からしばらくは、物語の方向性が見えにくく、退屈に思うかもしれない。
けれども、見直してみると様々な情報を含んでいるので
ここはじっくり観察するつもりで見るのが正解。
特に途中何度か挿入される、サーカスメンバーのクリスマスパーティに集う
人々の表情なども要注意です。

見直してみるとね、アカデミーで主演男優賞にもノミネートされた
ゲイリー・オールドマンがやっぱり素晴らしい。
やや老けメイクで静かなスマイリーを演じてますが、洞察力に長け隙がない。
サーカスを去った後も、彼は自宅玄関のドアに小さな木片を挟み
留守中の侵入者に気づくようにしている。
移動中、車内に入り込んだ蝿を部下がうるさそうに払うのに対し
スマイリーは蝿の動きを見て、さっと窓をあけ逃がすとかね。
細かい演出で巧みにキャラクターを描写していて無駄がありません。
静かな彼が終盤一度だけ声を荒げるシーンがあり、これは最高に効果的でした。

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個人的に嬉しかったのは、スマイリーの部下ピーターの下
ロシアで諜報活動をするリッキー・ターを演じるトム・ハーディの存在。
彼は仕事で張っていた先で、暴行を受けていたロシア人女性イリーナを好きになってしまうという
だめだめスパイなんですねw
鑑賞後、気になる箇所を監督とオールドマンのコメンタリーを聞いたのだけど
二人で力太(リッキー・ターだけどw)を馬鹿馬鹿と言ってて笑う。

本作はあまり説明がなく、時間軸も若干交錯したりするので
一度で理解しにくいという感想を持つ人が多いだろうと思います。
でも、この映画ね、モグラ探しを楽しむというよりも
登場人物の心理描写が秀逸なんですよ。

例えばスマイリーの妻への想いとか。
マーク・ストロングの愛(笑)とか。
勿論お馬鹿呼ばわりされようと、単細胞で泣き虫のトム・ハーディには胸キュンだし。
スマイリーの部下として活躍するベネディクト・カンバーバッチ演じるあるシーンでは
唯一スパイものらしい緊張感を楽しめます。

インテリアや小物で60年の雰囲気を出すことにも成功していて
窓越しなど、キューブの中で見せる映像も面白い。
ややスモーキーなトーンで、差し色にもってきたオレンジも効いています。
最後は全てが再生に向かうことをイメージさせる音楽とともに
清々しい気持ちで見終えることのできました。
再見で面白さを痛感したけど、一度で判りにくいのが難点かな。(私だけ?w)

★★★★


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