映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】マンチェスター・バイ・ザ・シー
2016年12月15日 (木) | 編集 |
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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016 アメリカ
原題:Manchester by the Sea
監督/脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック/ルーカス・ヘッジズ/ミシェル・ウィリアムズ/カイル・チャンドラー

【あらすじ】
ボストンで雇われの便利屋で生計を立てるリー・チャンドラーは兄のジョー危篤の知らせを受け病院に駆けつけるもジョーは臨終していた。リーは兄の息子パトリックの後継人に選ばれたことを告げられるが・・


オスカー主演男優賞の最有力候補、ケイシー・アフレックが素晴らしい演技を見せる再生のドラマです。

ケイシー演じるリーは水道工事などよろず便利屋で生計を立てる独り身の男。
時間も守り腕もいいのに、愛想がなくぶしつけであることから客とのトラブルが絶えない。
ある日兄のジョーが急逝し、故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーで兄の葬儀などを切り盛りするリー。
彼はジョーの遺書に記されていたジョーの息子の後継人になるという現実に直面し戸惑う。自分のこともままならないリーにはそれを受け入れる自信がない。

それはなぜか、というのをフラッシュバックで丁寧に紐解く作品です。
この役はそもそもマット・デイモンが監督&主演を務めるはずだったらしいですがスケジュール調節できず、マット自身がケイシーに主演をオファーしたとのこと。ケイシーで正解でしたね。
もうね、リーの過去のあることが明かされる瞬間には会場がどよめくほどで
胸が張り裂ける思いとはまさにこのこと。
人間本当に辛かったらこんな風になるんだというケイシーの演技に、ただただ涙が出ましたねぇ。
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本作ではリーはもちろんのこと、パトリックもある意味壊れている。
この映画は壊れたもの同士の再生の物語でもあります。
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過去のフラッシュバックはリーにフォーカスしてるように見えて、さりげなくパトリックとリーの関係も描かれている。リーを支えてくれた兄のそばにはいつも幼いパトリックがいて、2人の絆は思いのほか固いのだと感じさせてくれる。そのあたり監督の脚本は丁寧だと思いますね。

ミシェル・ウィリアムズも出番は少ないながら重要な役どころを演じていて見事。
彼女もまた再生を必要とする人でしたが、女性としてはあの形がベストなんだろうと思う。

冬のマンチェスター・バイ・ザ・シー(という地名です!)は寒すぎて、死体を埋葬できないということで、ジョーの遺体は春まで保存されることに。
雪が融けてようやく埋葬できるとき、過去の悲しみも融けていく感じが上手い。

エンドロールが始まると隣のおばさんグループなどは「ここで終わるの?」という風にすっとんきょうな声を上げてましたけど、全てを説明しつくさない作風につき行間を埋めるのは観客。
後から色々考えて気づいたことにまた涙したり、個人的にはこういう映画は好みです。

見た記憶のあるボストンの風景、音楽も美しかった。




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【映画】 ベイルを侮るな!『ファーナス/訣別の朝』
2014年04月20日 (日) | 編集 |



『クレイジー・ハート』のスコット・クーパー監督の新作です。

ファーナス/決別の朝(2013)アメリカ/イギリス
原題:Out of the Furnace
監督:スコット・クーパー
出演:クリスチャン・ベイル/ ウディ・ハレルソン/ ケイシー・アフレック/ フォレスト・ウィテカー/ ウィレム・デフォー/サム・シェパード
日本公開:2014/9/27
 ラッセル(クリスチャン・ベイル)とロドニー(ケイシー・アフレック)は寂れた鉄鋼業の町に暮らす兄弟。
よりよい人生をと思いながらも、病気の父を抱え、生活のために地元で働く兄ラッセル。
一方弟ロドニーは、定職にもつかず賭博金の借金から賭けボクシングに関わり始めていた。
ある日、オーバーワークを重ねるラッセルが事故を起こしたことから、兄弟の人生は更に狂い始め・・
 
 冒頭、ドライブイン・シアターで起きるトラブル。
無慈悲に暴力を振るい、周りを震え上がらせる男ハーラン(ウディ・ハレルソン)が影でこの町を支配する悪の根源であることがわかってきます。
このとき上映されているのが、『ミッドナイト・ミートトレイン』(2008)。
今でもドライブインシアターが存在するところにも、この町のひなびた一面が見えるというもの。




 クリスチャン・ベイル演じるラッセルはまじめで優しい男ですが、彼の起こした事故により家計を支えることができなくなり、兄弟の未来に暗雲が立ち込めるんですよねぇ。
監督がベイルをあて書きしたとあって、ベイルははまり役。



ケイシー・アフレックも、フラフラと頼りないのに危なっかしい男を演じさせたら右に出る者なしでしょ。
心に傷を負ってやさぐれてはいるけれど、家を支えたい思いは彼にもあり、その責任感が不幸へとつながってしまうのが悲しいんですよね。
今回は賭けボクシングで細マッチョな一面も見せてくれます。



 中盤まではとことん落ちていく兄弟の悲哀にひたすらドヨヨーン
行方不明になった弟を探すため、ラッセルが動き出すあたりから緊張感もピークに。
巨万の富も、バットマンスーツも持たないベイルが、どう悪に立ち向かうのかも興味あるでしょ。
しかも彼を援護するのが『MUD』でのお姿も記憶に新しいサム・シェパードですからね。
ま、実際は思ったよりもかなり地味でしたが・・

 ロドニーを雇う町のやくざに ウィレム・デフォー、警察にフォレスト・ウィテカー
田舎町の閉塞感と、そこに生きる男たちの悲哀がたまらない映画です。
ケイシーとベイルの兄弟愛も見もの。
ケイシーがイラク帰りで心に傷を負っていたり、経済の破綻を垣間見せるところに
政治の問題も垣間見せますね。
嫌いじゃないけど元気なときに見るのが正解かな。

ポスターは『クレイジーハート』のギターをライフルに置き換えただけ・・みたいなw