映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
フランス映画未公開傑作選『刑事ベラミー』
2012年04月22日 (日) | 編集 |

今月のテーマ映画の國名作選V フランス映画未公開傑作選」のっかかり企画から
今日はクロード・シャブロルの遺作になった『刑事ベラミー』。
これも旧ブログで紹介したんですが、今回再見したので記事に手直しをしています。

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刑事ベラミー
2010年(フランス)
原題:Bellamy
監督:クロード・シャブロル
出演:ジェラール・ドパルデュークロビス・コルニアックジャック・ガンブランマリー・ブネルバイナ・ジョカンテマリー・マテロンアドリエンヌ・ポリーイブ・フェアホーフェンブリュノ・アブラム=クレメールロドルフ・ポリー【ストーリー】
休暇中で妻と穏やかな毎日を過ごしていたベラミー警視は、ノエル・ジャンティと名乗る怪しい男から呼び出され、モーテルで男と会う。ノエルは1枚の写真をベラミーに見せ、写真に写る男を殺したと告白するが、その男はノエルと瓜二つだった。不審に思ったベラミーがノエルの身辺を調べていくうちに、世間を騒がせた保険金詐欺事件の意外な真相へとつながっていく。(映画.comより)


冒頭、ユラユラとしたカメラの視線は海沿いにそそり立つ丘の墓地をめぐる・・
遺作にしてお墓から始まるとは、、シャブロルはすでに死を意識してたのか などと思っていると
カメラは海岸に視線を移動し、そこに投げ出せた車とハンドルを握った黒焦げ死体を映し出す

 とまぁ、なんとも斬新なオープニングで掴みはOK。
 
舞台は変わり、
南フランスで愛妻と休暇を過ごす刑事ベラミーの元に
「人を殺したかもしれない」と語る不審な男から連絡があり、ベラミーは話を聞くことにした。
調べてみると、男は世間を騒がしている保険金殺人で死んだはずの男!
じゃ、あの黒焦げ死体は誰? というミステリーです。

刑事ベラミーを演じるのは、シャブロルとは最初で最後のコラボとなったジェラール・ドパルデュー
ベラミーは保険金殺人の渦中にある男の話を聞き、事件の真相に迫っていくのだけど
映画はベラミーの日常を描き、
徐々にベラミーと弟の確執を浮き彫りにするという二重構造になっているんですね。

保険金殺人の事件では「一人の男の死」という事実がある
けれども、その死の真相は意外なところにあって
「結果」をどう裁くのかということも問題になる。
シャブロルの他の映画がそうであるように、本作も謎解きに重きを置くのではなく
登場人物の人間模様を楽しむ手法。
表から見えることだけが真実ではないという見せ方も面白いところ。
異母兄弟であるベラミーと弟は、血の繋がりがあるのに、
互いを受け入れられない深い溝がある・・・。
事件を温情で解決しながら、自らの問題を解決することは出来なかったべラミー。
冒頭にリンクするラストシーンに切ない余韻を残しました。
思えば登場人物の誰もが、身近に救うべき者がいるのに気づかずにいるというのも
皮肉な描き方ですね。

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ベラミーの妻を演じたクロビス・コルニアックが美しく魅力的でした。
奥さんにぞっこんのベラミーはクロビスの胸やお尻を触ったりで役得。
でもクロビスはもはや母親的存在だったかも。
それにしてもドパルドュー太りすぎでしょ。
電話やドアベルがミニチュアに見えたし(汗)
ちょっと動いただけで軽く喘鳴がしたり、咳をしたり、、これで犯人を追うシーンがあったら
確実に心臓発作で死んでますね。

シャブロルとの撮影シーンは楽しそう。
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余談だけど、劇中、市が劇場を買い取って『狩人の夜』を上映してるという台詞があるの。
きっと映画に関連させてるんだろうなと思いながら、監督の意図を読めなかったのが残念。
わかる方教えてください。

★★★★

悪の華
2012年02月08日 (水) | 編集 |


 










悪の華(2003)フランス
監督:クロード・シャブロル
出演:ナタリー・バイ/ブノワ・マジメル/シュザンヌ・フロン/ベルナール・ル・コク/メラニー・ドゥーテ



4代に渡り姻戚関係を続ける二つの名家をめぐる、因縁のサスペンスです。
冒頭、カメラは時代を感じさせる車の停まった邸宅に入り、中をゆっくりと移動。
階段を上ると、ベッドルームに横たわる男の死体を映し出す。
場面変わって、ボルドー・メリニャック空港。
3年いたアメリカから帰国したフランソワ(ブノワ・マジメル)を、父のジェラール(ベルナール・ル・コック)が迎える。ジェラールの再婚相手であるアンヌ(ナタリー・バイ)は、市長選に出馬のため忙しく迎えにこない。
そんなアンヌをジェラールは気に入らない。
フランソワはアンヌの連れ子ミシェル(メラニー・ドゥーテ)がいる。
義理の兄妹でありながら、互いに特別な思いを抱く二人を
一家とともに暮らすおばのリーヌ(シュザンヌ・フロン)は、静かに見守っていた。
一見平安に満ちた家族に、アンヌの選挙を妨害する1枚の中傷ビラが届けられる。
それはアンヌの家族にまつわる殺人事件に関するものだった……。


4代に渡り姻戚関係を続ける2つの名家の・・と書いたように
この物語はフランソワの世代から遡り、父と母と、フランソワからするとおじいちゃんや
その上の世代の因縁が絡むお話です。
映画が進むにつれ、冒頭のシーンがどんな事件であったのかが判ってくるのだけど
現代に生きるフランソワとミシェルの物語にどう絡んでくるのかと、興味津々で観ることになりました。







実はこの2つの名家の姻戚関係というのがえらく複雑で、どうやら色んな近親相姦を続けてきた様子。
そもそもおばは兄と恋人関係にあった人。
アンヌの夫はそもそもジェラールの兄弟で、何故かジェラールの妻と一緒にいて事故死・・
ミシェルとフランソワは実は血の繋がった兄妹か ってな話になってくる。
3年間離れてはみたものの、再会した二人はやはり惹かれあう。
そして別荘で二人過ごしあと、そこで新たな事件発生となるのです。
振り返ってみれば、邸宅をなめるように進んだ冒頭のカメラ目線から
この映画では「家」に意思を感じるのですよ。
おばと兄が愛し合ったことも、父母たちとの関係も
そしてフランソワとミシェルの関係も、すべてこの家の因縁が引き起こしたことのように見えてくる。
序盤では、家族が集うシーン、何故か唐突にカメラが引き、ミシェルとおばをインテリアの鳥かご越しに映し出す。まるで二人が籠に入った鳥のように見えるそのシーンに何があるのか。
後半、その答えを知った瞬間、ある種のカタルシスさえ感じますでもあのラストはなんだろな。
事件が起きた後なのに、華やかな祝賀パーティに突入(笑)
事件の処理中にちょっとした弾みで笑いあうシーンも印象的だったし。
色々あってもしたたかに生き抜くブルジョワたちの、能天気なたくましさを描きたかったのか。
それもシャブロルらしいところでしょう。
個人的には、こんな因縁劇は終わりにしようと、家が静かに赦しを与える。。だといいなぁと思います。
DVDには、特典に二つの家族の家計図が添えられていました(笑)
私が本作に邦題をつけるなら『ファミリー・ツリー』ですね。
あ、クルーニー新作と被ったw でも絶対こっちの方が合ってるって(笑)