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【映画】天国の門
2015年03月25日 (水) | 編集 |



天国の門(1981)アメリカ
原題:Heaven's Gate
allcinemaデータ

(あらすじ)
ハーバード大学で青春時代をともに過ごしたエイブリルとアービン。20年後、保安官となったエイブリルは、ワイオミング州で牧場を営むアービンと再会を果たす。牧場主リーダーが牛泥棒根絶を名目に移民たちの殺害を計画していると知ったエイブリルは想いを寄せる娼婦館のエラにワイオミングを去るよう告げるが・・


『ディア・ハンター』でアカデミー賞監督となったマイケル・チミノ監督が次に撮った本作は、19世紀末のワイオミングで農場主と東欧からの移民らの間で実際に起きた争いを基にした一大叙事詩です。
その時代にタイムスリップした感覚に陥る重厚な映像と、壮絶なバトルシーンなどスケールの大きい作品に仕上がってはいるものの興行は振るわず、巨額な制作費が老舗映画会社を倒産に追い込んだのは有名な話。関わったものにとっては地獄の門となってしまったわけですねぇ。

80億も使う前に誰かお財布の紐を締める者はいなかったのかと思うところだけど
そもそも、なぜこれがそんなに受け入れられなかったんだろうか。

一つにはアメリカの暗部をほじくる作品のテーマ自体が受け入れられなかったというのはあるでしょうね。西部劇は廃れ、アメリカンニューシネマの時代も終わった80年代、観客はもっとポップなものを求めていた。あるいは、3時間越えで制作されたものを監督の監修なしに149分にカットして上映されたらしいので、チグハグな部分が出てもおかしくないでしょう。

今回私は2012年に監督自身が監修しデジタル修復された229分の完全版をテレビで観たんですが、すでに失ったフィルムは取り戻せなかったようで、時間が長く無駄が多い割りに、肝心なところが説明不足なんですよね。

以下、内容に触れているので未見の方はご注意願いたいんですが・・



個人的に気になるのが保安官のジム・エイブリル(クリス・クリストファーソン)と、娼婦エラ(イザベル・ユペール)と、ネイト・チャンピオン(クリストファー・ウォーケン)の関係性と人物像。
この三人は三角関係にあるのだけど、エラはチャンピオンよりもエイブリルを想っているのは、チャンピオンからはお金を取るという彼女なりのけじめをつけていることから判ります。
でもエイブリルとエラとのなり染めも描かれず、新任して来た保安官がエラとどの位長い付き合いなのかもわからない。エイブリルは殺害リストに挙がっているエラにワイオミングを去るよう説得するものの、一緒に行こうとは決して言わない。そもそも彼の部屋には女性と写った写真が飾られていて、しかもラストシーンから推察すれば、エイブリルは最初から結婚していた可能性さえあるんですよね(汗)




まぁ、そんなだから一途にエラを想うウォーケン演じるネイト・チャンピオンが一層切なく見えるのですけどね。あばら家を精いっぱいに整え、エラを迎える準備万端のウォーケンが可愛かったなぁ。
ネイトの愛に気づくユペールの表情もいい。でも彼女の背景が説明されてない故に、そこに留まろうとするエラの入植者としての意地とかを全て理解するのは難しかった。



ま、そんなこんなで気になるところはあるものの、映画的な魅力もたくさんあって
特にタイトルと同じ「ヘヴンズ・ゲート」という社交場で入植者たちがバンドの演奏をバックにローラースケートを楽しむシーンは躍動感あってお気に入り。
終盤のバトルシーンも生身の迫力があり、三角関係のほろ苦さも相まって作品としてはとても好き。儚き時代の愛と友情と悲しみを描く壮大な物語を楽しみました。

豪華客船から海を見つめるエイブリルのアンニュイな表情を映して終わるラストシーンは
冷酷に入植者を排除したアメリカへの揶揄を込めたのかな。
豊かな時代を迎えようと心は晴れるはずないよな。って