映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『ミッドナイト・スペシャル(原題)』はSFスリラーとして観ると失敗する
2016年04月20日 (水) | 編集 |

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ミッドナイト・スペシャル
(2016)アメリカ

原題:Midnight Special
監督/脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:マイケル・シャノンキルステン・ダンストジョエル・エドガートンジェイデン・リーバハーアダム・ドライヴァー
 
 【あらすじ
追っ手から息子を守るため、父は深夜車を走らせる


【感想
『MUD マッド』のジェフ・ニコルズ監督の新作はちょっと変わったSFです。

奇妙なサングラスをかけた子供(ジェイデン・リーバハー)と何やら緊張した面持ちの男が二人(マイケル・シャノンジョエル・エドガートン)。片方の顔が指名手配のニュースで映し出され、3人はモーテルを出て夜明けのハイウエイに車を走らせる。
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何もわからぬまま、3人の逃避行を見守ることになる本作
正直、冒頭の10分を見損ねたのではないかと頭の中「@&?+%」状態となりますが
次第に彼らが政府とカルト集団の双方から追われていることが分かってきます。

ようやく身を寄せた家でガタガタピシピシ・・
ここでも大地震発生か??!!
と思いきや、それが子供の超がつく能力の一端であることを知るんですわ。
 

ジェフ・ニコルズ監督作品は好きでデビュー作から観てますが、監督の作品のほとんどが家族への責任や絆といった結婚生活で感じたことが題材になっているんですね。
本作も幼い息子が熱性けいれんを起こし、夫婦で怖い思いをした経験から生まれた作品だそうです。

けいれんを起こした人を間近に見た経験のあるかたはお分かりでしょうが
およそ人間とは思えないような動きや表情を目前にするのは怖いものがあります。
ましてや幼いわが子となれば、子供を失うのではないかとの不安にもかられるでしょう。

本作では監督のミューズ マイケル・シャノンが、息子の能力に畏怖しながらも、息子を愛しひたすら守ろうとする父を演じ、監督の思いを代弁しています。
SFという監督にしては珍しいジャンルながら根本に家族愛があるところは従来通り。
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クライマックスに向けスケールも大きくなるし、結末に衝撃もあるものの
正直面白かったかといわれると微妙(汗)
リニューアルした劇場の革張りの座席が滑って姿勢が落ち着かず集中できなかったのもあるけど
スローな逃走劇に少々飽きたし疲れてしまった。

唯一よかったのは、『スターウォーズ/フォースの覚醒』でレンを演じたアダム・ドライヴァー
政府側のアナリストを演じるドライヴァーのどこかほのぼのした学者肌なキャラが退屈な作品(言っちゃったw)にユーモアと癒しを与えてくれました。

共演はほかにサム・シェパードとマイケル・シャノン
田舎のおばさんの風貌にはちょっとビックリなキルステン・ダンストが意外な母性を見せくれます。

はたして子供は何者かで家族は息子を守ることができるのか・・
SFスリラーを期待せずに観るのが正解かと。


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アップサイドダウン 重力の恋人
2013年06月27日 (木) | 編集 |





アップサイドダウン 重力の恋人(2012)カナダ
原題:Upside Down
監督:フアン・ソラナス
出演:キルステン・ダンスト/ジム・スタージェス/ティモシー・スポール
日本公開:9/7
 2重引力の存在する世界を舞台に、異なった引力の支配する世界に住む二人が惹かれあうという
ちょっと変わったSFロマンスです。

ジム・スタージェスは「下」の世界に住む青年アダム
キルステン・ダンストは富裕層の暮らす「上」の世界に住む女性エデン。
2人は幼い頃、引力の合流する地点で偶然知り合い、愛をはぐくむものの、ある事故で離れ離れに。




それから10年後、テレビでエデンが無事でいることを知ったアダムはエデンに遭う為に
危険を侵し、エデンの職場であるトランスワールドで働き始める・・

富裕層と貧困層の暮らす2重の世界が存在するというのは、近年SFでよく描かれるけれど
2つの重力が存在する世界と言うのは初めてかしら。
人々はそれぞれの世界の引力の影響を受けるため、アダムとエデンも逆さの状態で交流します。
上の世界のキルステンとスタージェス君のキスは、スパイダーマンを髣髴とさせるし
互いの引力を使って、大きくジャンプしながら森を駆け抜けたりするのが楽しい!


面白いのは一方の世界においても、元の世界の引力に支配されてること。
だから、エデンの世界で逢瀬を果たすのは大変なことで、
そのための苦労や工夫がコミカルで笑わせてくれます。
撮影はどうやったんだろうなぁと興味も沸きます。



しかし、異なった世界の交流は認められておらず2人の恋は危険を伴うことから
映画はサスペンスフルなものへと展開していくんですね。
それだけに、切実な恋物語として面白く観ました。

奇想天外なSFゆえ、ツッコミどころも多いですが
独創的な発想と、幻想的で美しい映像はとても新鮮でした。

上の世界は豊かではあるけれど強欲で、排他的
貧しい下の世界の人々の方が優しく素朴であることなど
富裕な国家に対する皮肉も垣間見えますね。

2人の恋を助けることになるトラススワールドでの同僚、「上」の世界のボブを演じるティモシー・スポールは、相変わらず脇役としていい仕事をしますね。
無重力を利用したスポールのダンスシーンは笑えました。

ラストはあまりに足早なんですが、続編ありきなのかなぁ。
ま、語り過ぎないくらいの方がいいのかもしれません。





 











メランコリア
2012年02月17日 (金) | 編集 |



ラース・フォン・トリアー
監督のSFスリラー
キルスティン・ダンストがカンヌで女優賞を受賞した作品です。
 
メランコリア (2011) デンマーク/スウェーデン/フランス/ドイツ
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:キルステン・ダンスト/シャルロット・ゲンズブール/キーファー・サザーランド
シャーロット・ランプリング/ウド・キア/ステラン・スカルスガルド/アレキサンダー・スカルスガルド
 
メランコリアには「憂鬱」という意味があり、
これはキルスティンがうつ病の女性を演じる作品だと思ったのだけど
それだけじゃなかったですね。

この映画、2章に分かれていて、
一章目はキルスティン演じるジャスティンの結婚式の様子が描かれます。
式の途中から言動が怪しくなるジャスティン。
何故かジャスティンの母親シャーロット・ランプリングの言動も奇妙で
結婚式は予定どおりに進行せず、皆をイラつかせます。

そして第二章では、ジャスティンの欝の原因ともいえる
巨大惑星メランコリアの地球接近が描かれ、一気にSFスリラーへと様相を変えていくのです。

劇中キルスティンが「The earth is evil」と言うシーンがあるけれど
ヒトラーを擁護する発言をしたというラース・フォン・トリアー監督の本心は
もしかすると、この言葉にあったのかな。
つまり、邪悪な人類の存在により、地球は滅びるべきであると・・。

今年はなんと言っても2012年。
数年前までは、それほど真剣に考えてなかったのだけど
ここのところの地球の異変を見るにつけ
世界の終末がこんなふうにやってくることもありかな・・と思ったりもします。
 
 
奇しくも昨年のパルムドールは
地球の創生に遡り、命の根源を描いた『ツリー・オブ・ライフ』が受賞したけれど
地球の終末を描くことで人類の罪や魂の救済をあぶりだす本作こそ
今の私たちが求める作品かもしれません。
 

ワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」のオーケストラのサウンドをバックに
繰り広げられるスペクタクルな映像美も圧巻。
キルスティンとW主演と言うべきシャルロット・ゲンズブールの演技も見事です。
 シャーロット・ランプリングの奇怪な言動も、最後まで見れば
あー、そうかと謎が解けます。
 
一瞬たりとも息を抜けない緊張感の中、ふっと訪れる静寂に
最後は不思議な安らぎを感じ、ひたすら泣きました。
 
ヒトラー発言が不利になったか、アカデミーから嫌われてしまったけど
何はともあれ、これは凄い作品です。

日本公開は2/17~