映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】ビースト・オブ・ノー・ネーション
2015年12月14日 (月) | 編集 |
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ビースト・オブ・ノー・ネーション(2015)アメリカ
原題:Beasts of No Nation
監督/脚本:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演: エイブラハム・アッター/ イドリス・エルバ

【あらすじ
内戦中の西アフリカのとある国、アグーの住む村にも政府軍が押しよせ・・

西アフリカの架空の国を舞台に、少年兵となった少年の軌跡を追うNetflix制作の衝撃作
いくつかのアカデミー前哨戦でイドリス・エルバが助演男優賞にノミネートされてるので観てみました。

今年一番泣かされてしまった・・

アグーの暮らす村は、内戦下にあっても比較的平和で周辺の難民を受け入れたりしています。
学校が閉鎖され時間をもてあますアグーと友人たちが
テレビのフレームを利用した「移動テレビ」なるパフォーマンスを披露する冒頭は
不当な金額をふっかける子供たちに苦笑しながらも、軍用の食料を分けてあげる国連兵士との交流なども
さりげなく描かれ微笑ましい。

ところが内戦が激しさを増し、ついにアグーの村にも危険が迫ると、映画は一気に緊張を帯びてきます。
より安全な場所に避難することになった母と小さな妹と離れ離れになった矢先
スパイを探す政府軍に襲撃され、家族を殺されたアグーは一人ジャングルへと逃げ込むんですね。

なにが起きてるの?どうして?!!

説明を極力省いた演出により、観客もアグーと同じ恐怖と困惑の中に放り込まれる
冒頭のほのぼのムードが一転、アグーの孤独な逃走に息を呑みます。

そんなアグーの前に現れるのが政府に抵抗するゲリラ軍団。
もはやここまで、と思うところでアグーは軍団のリーダー「コマンダント」(イドリス・エルバ)に命を拾われる。
しかし、アグーはここで少年兵として闘うことを余儀なくされるんですね。

考える余地もなければ、他の選択肢もないのがよくわかります。

アグーはやがてコマンダントの信頼を得て、少年兵のリーダー的な役まで担うことになる。
連帯感とある種の恍惚感とで政府軍相手にライフルをぶっ放す子供たちの姿に愕然

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村人たちの死体が道にあふれ、永遠とも思えるバトルが続く中
かなりグロい描写まで施されることに気持ちが落ち込み
こんな映画作る必要あるのかとさえ思い始めるとき、映画は大きく展開します。

終盤、アグーの口からタイトルにもついている「ビースト」という言葉が出たとき
アグーの心の中を理解するために、この過酷な闘いを嫌というほど観なければいけなかったんだと気づいて
涙が止まらなくなった。

少年兵を率いるコマンダントは酷い奴だと思うけれど、彼がいなければ子供たちはとっくに死んでいただろうとを思うと、彼を悪人と言い切ることは難しい・・
イスラム国などでもこうして少年たちが戦闘に参入しているであろう現実を思わずにいられません。
残虐性と優しさを持ち合わせたカリスマ指導者を演じたイドリス・エルバが素晴らしい。


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監督はデビュー作『闇の列車、光の旅』で南米の不法移民問題のフォーカスした日系4世のキャリー・ジョージ・フクナガ
本作も原作に感銘を受けた監督が15年の構想を経て撮りあげたというからその思い入れは相当なもの。

映画の最後にみえる一筋の希望に、監督の思いの全てが詰まっているように思いました。
辛いけど世界で起きていることに目を背けてはいけないと感じた一本。

現地でスカウトされたというアグー役のエイブラハム・アッター君も
素人とは思えない演技でアグーの内面の変化を表現していて凄い。

Netflixユーザーはぜひご覧ください。



余談ですが、私はallcinemaの表記を基準にしてるので監督の名前Caryをキャリーと書いたけど
女性名Carrie(キャリー)とは綴りも違うわけで、ケイリーまたはケーリーと書くほうがいいんじゃなかろうか。
ケーリー・グラントも同じCaryだよ。


ジェーン・エア
2012年03月25日 (日) | 編集 |


ジェーン・エア
2011年(イギリス・アメリカ)
原題 Jane Eyre
監督:ケイリー・ジョージ・フクナガ
出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジェイミー・ベル、サリー・ホーキンス、ホリデイ・グレインジャー、タムジン・マーチャント、イモージェン・プーツ、ジュディ・デンチ

【ストーリー】
悲惨な子ども時代を過ごした孤児のジェーン・エアは、教師の資格を取り、ソーンフィールドという屋敷で住み込みの家庭教師の職を得る。晴れて新しい生活を手したジェーンは、屋敷の主人ロチェスターと恋に落ちていくが、ロチェスターにはある秘密があった……。(映画.comより)


去年の4月11日に旧ブログで記事にしたものの移動ですが、
TVで放送され再見したので、手を加えています。

闇の列車、光の旅』で移民の厳しい現実を描いたケイリー・ジョージ・フクナガ
ブロンテ姉妹の文学作品に挑戦するというので話題になりました。
日本でもついに公開が決定。ファスベンダーのブレイクを受けてというところでしょうか。

1847年に出版されたブロンテの原作は、主人公のジェーンが孤児という身分を越え、
男女平等という反骨精神を貫きとおしたことでも、ビクトリア文学としては活気的で、しかも作者が女性であった(当初男性名で出版)ことも大変話題になったようです。
 
残念ながら原作も知らないし、過去に作られた映画も、舞台も見てないのだけど
フクナガ監督の本作は、大人になったジェーンのロマンスをメインを置く描き方。

孤児院を卒業したジェーン(ミア・ワシコウスカ)は、その後裕福なロチェスター家の長女のガヴァネス(子供の勉強と身の回りの世話をする役割)として働きます。
そこで、当主のロチェスター(マイケル・ファスベンダー)とロマンスが生まれるわけですがこれが甘いものではない。
しかもここで起こることが少々ミステリアスで、何気にホラータッチなんですね~。
ちなみにオフィシャルサイトの予告は見せすぎ(汗)

不運な少女時代を過ごし、人の愛情をあまり受けずに育ったジェーンは
恋に深く傷ついても、感情を殺し自分に立ち向かう女性。
だからこそ、なんとか幸せを掴んで欲しいと思わずにいられない。

前半時間軸が交錯することもあり、物語を知らない私にはちとわかりにくく
退屈に感じてしまうところもあったけど
二人のロマンスが展開し始めてからは、切なく旋律と美しい映像の助けもあり
胸キュンで惹きこまれました。

ロチェスター家に働く女中頭を演じるジュディ・デンチ
普段はジェーンのよき理解者なのだけど、
ジェーンとロチェスターの関係を知った後には、少し複雑な反応を見せるんですね。
貧しく生まれたものは、生涯日の目を見ることなく高望みなどもってのほか
それが当時の女性の当たり前の姿だったのでしょう。
ジェーンとの対比という点でも重要な役柄と言えるでしょうね。