映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
ランページ/裁かれた狂気
2013年03月07日 (木) | 編集 |






ランページ/裁かれた狂気(1988)アメリカ
原題:Rampage
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:マイケル・ビーン、アレックス・マッカーサー、 ニコラス・キャンベル、 デボラ・ヴァン・フォルケンバーグ、 ジョン・ハーキンス、 ロイス・D・アップルゲイト

引き続きフリードキン監督作品を。

猟奇殺人事件が起こり、若き検事トニー(マイケル・ビーン)が事件を担当することになる。二度目の事件の後、リチャード・リース(アレックス・マッカーサー)が捕まった。

実際にあった猟奇殺人事件を基にしたサスペンス映画です。

スポーツ店で拳銃を買い、日中の人家に押し入り、説明もなく発砲
愛想のいい笑顔をたたえた青年の一連の行動に度肝を抜かれます。
女性の死体は切り裂かれ、臓器の一部は持ち去られている。
捕まった犯人リースによると、身体を維持するために血を飲まなければならなかったと。。




異常な供述を繰り返す犯人
彼が精神疾患で加療した既往を持つことから、
裁判の争点は犯人の責任能力の有無に絞られることになります。

日本でも似たケースはたくさんあって、精神疾患により責任能力なしとされることは
ある意味罪から逃れる手段にも思えてしまうこともありますよね。

この映画ではシンプルに
「精神に異常をきたした上での犯行は罰を受けるべきかどうか」に迫ります。
事実をほぼなぞりつつも、監督の言わんとすることはマイケル・ビーン演じるトニーに託した形でしょうね。
ナチスのユダヤ人迫害を引き合いに出すところは凄く面白い。
ナチスドイツのしたことは、とても正常な精神では考えられない
とするなら、彼らは幻想に惑わされて犯罪を犯したのか。
では、ユダヤ人を殺害した責任は誰が負うのか ということ。

治療により通常の生活が可能になる患者を救いたいとする精神科医の義務感もわかる。
しかし、どうも憎々しく見えるのは、監督の気持ちが反映されてるからかな。
判決の行方はとても興味深いところでした。

ただね、私の観たバージョンが撮影されたあとに、モデルとなった獄中の犯人が自殺したことから、エンディングに新しいエピソードを加えた別バージョンが作られたようなんですね。
そちらも観てみたい気がするけど、映画サイトのユーザーレビューによると、詰め込みすぎという感想も寄せられていました。
オリジナルはシンプルだったけど、殺人シーンの異常性が緊張感を持って描かれ、
裁判の争点もわかりやすかったのでこれでよかったかもと思います。





『ターミネーター』で未来からやってきたカイルを演じたマイケル・ビーン
娘を亡くした経験から、犯人の死刑判決を望むようになる検事を熱く演じています。
笑顔の下の虚ろさを表現した犯人役、アレックス・マッカーサーの異様さも印象に残ります







ウィリアム・フリードキン『ジェイド』
2013年03月05日 (火) | 編集 |







ウィリアム・フリードキン監督作品も少し。

ジェイド(1995)アメリカ

原題:Jade
出演: デヴィッド・カルーソー、 リンダ・フィオレンティーノ、 チャズ・パルミンテリ、 マイケル・ビーン、 リチャード・クレンナ、ドナ・マーフィ

富豪殺害の犯人を捜すというミステリーです。





事件を調査する検事補のコレリ(デヴィッド・カルーソー)は、パトリスという女性を尋問。ジェイドという謎の美女の存在が浮かび上がる。
ビデオ映像からジェイドはコレリのかつての恋人で今はやり手弁護士(チャズ・パルミンテリ)の妻カトリーナ(リンダ・フィオレンティーノ)であることが判明。凶器に残された指紋からカトリーナの犯行が疑われた。
一方で、コレリは何者かに命を狙われ始める。

フレンチ・コネクション並のカーチェイスは驚くほどの迫力だったし、チャイナタウンの祭りの中を追うシーンのビジュアルもいい。
殺害シーンのグロさもフリードキンらしくて良かったのだけど、ミステリーとしての見せかたは今ひとつ。
R指定を外すために色々削るうち、必要な部分まで削ってしまったのか、カーチェイスの相手も結局はっきりしないし、殺されたり、殺したりしてる人物もそれ以前にたいしたエピソードがないままのため「これ誰だっけ?」状態だったんですよねぇ。私だけかな。

登場人物の内面の描き方も十分とは言えず、コレリが今もカトリーナを思っているのはわかるのだけど、夫とカトリーナに関してはやや曖昧で、自分で想像するしかなかったのが残念。
そのため最後に犯人の自白を聞いても「ふーん」だったな。

ちなみに、これはエロティック・ミステリーとジャンル分けされる作品ですが
どうやら12分長いVHSの方にエロティックなシーンが収録されているらしい。
TiVoをチェックしたら同タイトルを2本勝手録画していて、一本はサスペンス、一本はアダルトとなってたのはそういうわけだったのか。
今回意識せずに見たのでどっちだったのか不明ですが、どっちにしてもリンダ・フィオレンティーノにはあまりエロティシズムは感じませんでした。



恐怖の報酬(1977)
2013年02月17日 (日) | 編集 |


ただいまひっそりとリメイク映画特集中です。
今日のリメイク作品は1953年のアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの傑作『恐怖の報酬』を
『エクソシスト』のウィリアム・フリードキンがリメイクした1977年の作品。











恐怖の報酬(1977)アメリカ
原題:Sorcerer
監督:ウィリアム・フリードキン
出演: ロイ・シャイダー、 ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドウ カッセム、 ラモン・ビエリ、 ピーター・カペル、カール・ジョン



人里離れた油田で爆発事故が起こり、消火のためには爆薬を使うしかない。
油田のオーナーは衝撃により爆破の危険性の高いニトログリセリンを運ぶ4人のドライバーを募集することになる・・

というプロットはオリジナルと同じ。
53年版を観たのは髄分前で詳細を忘れているのだけど、
危険な道を行くハラハラドキドキな展開が面白かった。
そしてこのオリジナル
いや~、こっちの方が数倍面白いじゃないか。

無秩序で汚らしいこの土地は、行き場をなくした犯罪者たちの吹き溜まり
フリードキン版では、冒頭に男たちがこの土地に流れつく経緯を見せるため
命をかけてでも、ここを抜け出したいという男たちの気持ちが痛いほどにわかる。

油田で焼け爛れた人々を村人のもとに送り届けるシーンはホラーだ。
黒焦げの焼死体、生焼け血みどろの死体がビニール袋に包まれ
荷台から運び出されると、村人の怒りが爆発する
おそらくは悪政蔓延る軍事国家により貧しさを強いられた村人は
暴徒となって軍に襲い掛かる。






 


道中の危険度もこちらの方が俄然上に見えた。
壊れそうなつり橋を傾きながら渡るシーンなど、どうやって撮影したんだか。
過酷な撮影だったであろうことは想像に難くなく『エクソシスト』同様に
フリードキンのストイックさを垣間見る。
だからこそ映画として面白いのだけどね。音楽までもホラーだった。








キラー・スナイパー
2012年12月26日 (水) | 編集 |
今日はウィリアム・フリードキン監督6年ぶりの新作『キラー・ジョー(原題)』を。
インディペンデント・スピリット賞でマシュー・マコノヒーが主演男優賞にノミネートされています。





キラー・スナイパー
2012年(アメリカ)
原題:Killer Joe

監督:ウィリアム・フリードキン
出演:マシュー・マコノヒー、エミリー・ハーシュ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ジュノ・テンプル、ジーナ・ガーション

 
 
テキサスのドラッグ・ディーラー、クリス・スミス(エミリー・ハーシュ)は借金を抱え、
唯一の解決策に保険金目当てで自分の母親を殺すことを決める。
父親(トーマス・ヘイデン・チャーチ)と義理の母(ジーナ・ガーション)を巻き込み、
殺し屋に”Killer” ジョー・クーパー(マシュー・マコノヒー)を雇うことに。
ところが返礼金の不足を知るや、ジョーはクリスの妹ドッティー(ジュノ・テンプル)を担保に要求し・・

テキサスを舞台に繰り広げられるクライム・スリラーです。
トレーラーハウスに住むホワイトトラッシュのスミス父子に雇われる殺し屋が
キラー・ジョーことジョー・クーパー。なんと本職はダラス警察の刑事!!




とにかくジョーを演じるマシュー・マコノヒーが変態で最高です。
刑事としての洞察力は一流だが、ジョーの目はどこか退廃的。
時間にも正確で几帳面な反面、女にも容赦なく暴力を振るい、
事件を自分なりの手段で解決し「明るい家族」を強要する。
いかにも不釣合いなガーリーなドッティーにのめり込むジョーの姿には
汚い世界にまみれすぎた男が小さな理想郷を求めているようにも感じられる。

エミリー・ハーシュ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ジーナ・ガーションと共演者たちも実力派揃い。
とくにガーションのビッチぶりは最高。
登場シーンなんて顔を見せずにボーボーな下半身ヌード姿ですから^^;

非道徳で暴力的で退廃的な作品ながら、どこか可笑しみがあって
小さな希望にすがりたくなるような哀しみも秘めている。
これはなかなかツボでした。

★★★★