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【映画】ある一点に向かって運命が交錯する『イレブン・ミニッツ』
2016年08月20日 (土) | 編集 |
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イレブン・ミニッツ(2015
ポーランド/アイルランド
原題:11Munites
監督/脚本:イエジー・スコリモフスキ
出演:リチャード・ドーマー / パウリナ・ハプコ / ヴォイチェフ・メツファルドフスキ/  アンジェイ・ヒラ/  ダヴィッド・オグロドニック/  アガタ・ブゼク/ ピョートル・グロヴァツキ/ ヤン・ノヴィツキ/ イフィ・ウデ
日本公開:2016/8/20

【あらすじ

ホテルの一室で面接を受けようとする女優のアンナ、アンナを連れ戻したいやきもちやきの夫、ドラッグを届けるバイク便の男、ホットドッグ屋、画家、パラメディック、シスターたち・・それぞれの5時が始まろうとしていた・・

【感想
『アンナと過ごした4日間』『エッセンシャル・キリング』のイエジー・スコリモフスキ監督の新作は、女優アンナ(パウリナ・ハプコ)とアンナを面接する自称映画監督(リチャード・ドーマー)、面接を阻止しようとホテルに踏み込む女優の夫(ヴォイチェフ・メツファルドフスキ)のエピソードを中心に様々な人の5時からの11分をで描くちょっと変わった群像スリラーです。
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11分といっても、簡単なエピローグがあって、登場人物は携帯カメラや防犯カメラでを紹介されます。
低飛行でジェット見たり、5時を告げる時計台の鐘の音を聴いたりすることから、彼らが同じ街で同じ時間を共有していることがわかってくる。
彼らは街ですれちがったり、同じビルを眺めたり。
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そしてひとたび運命が時を刻み始めると、ある運命の一点に向かって集結するのです。
袖振り合うも多生の縁といいますが、スピリチュアルな視点でいえば全てははじめからプログラムされていたこと。ジグソーパズルのピースは運命共同体なのです。
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11という数字やジェット機のシーンなどは否が応でもNYの同時多発テロを思い出しますが、監督は本作で911を表現したわけではないと言います。
ただし、ニュースで見たジェット機の映像はトラウマ的に残ったそうで、そのイメージから解放されるために映画に取り入れたというから、まったく関係ないとは言えないのでしょうね。
2012年に息子さんを亡くしたことも、運命について考えるきっかけになったのかな。
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効果音にもあおられ、ドキドキしながら「その時」を迎える至福。
再見すると一度目に気づかなかったことも発見できて一層楽しめます。
あの「黒い点」は予言なのか、はたまた宇宙侵略なのか。
最後まで答えを見出せないとしてもそれも面白さのうち。
77歳のイエジー監督の遊び心には感服です。

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【映画】ムーンライティング
2011年07月21日 (木) | 編集 |




 



ムーンライティング (1982) イギリス
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:ジェレミー・アイアンズ/ユージン・リピンスキ/Eugeniusz Haczkiewicz



【ストーリー】
1981年、冬。ノヴァクをリーダーとする4人の男が空港から降り立つ。
彼らは、ロンドンのアパートの一室の改造工事を請け負い、ポーランドからやってきた不法労働者だ。
4人はアパートに住みながら、工事に取り掛かるが、
まもなくして、祖国ポーランドでは戒厳令がしかれ、外からの連絡は一切取れなくなる・・

ポーランド出身のイエジー・スコリモフスキ監督が、ポーランド民主化運動を背景に撮りあげた作品です。
映画の時代背景となる1981年の12月には、戒厳令が公布され約一年間続いたんですね。



 ノヴァクを演じるのはジェレミー・アイアンズ
英語を喋れるということで、リーダーとして仕事を任されているのですが
彼は祖国ポーランドで起こっている事実を、仲間に伝えることができず
あらゆる情報を隠し、仲間に仕事を強いります。
ポーランドと連絡も付かないことから、お金も尽きてくるなか
万引きを繰り返し、なんとか帰国の資金を維持しようとするノヴァク・・

祖国に政治的な問題が勃発し、よその国に取り残されるという点で
『ターミナル』を思い出すところだけど
本作では、一人だけ事実を知っているアイアンズが、仲間に真実を隠し立ち回る様子が滑稽でいてスリリング。
でも、彼らは本当にポーランドに帰れるのかと、観てるほうは気が気じゃない。


言葉も分からず、言われるままに労働に従う3人の労働者に、
ポーランドの国の情勢を被せているのかな など、いろんな解釈ができますね。
時々「なんじゃこりゃ?」なシーンがはさまれるのが監督らしい感じかな。

コメディの形をとりながら、ポーランド出身の監督ならではの憤りや、悲哀がつめこまれた作品でした。

本作はカンヌで脚本賞を受賞。
戒厳令勃発の翌年にカンヌに出品していることからも、世界に事実を発信しようとする監督の思い入れを感じるところ。