映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】沈黙 ーサイレンスー
2017年01月22日 (日) | 編集 |
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 沈黙 ーサイレンスー(2016 アメリカ
原題:Silence
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ジェイ・コックス/マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールドアダム・ドライバー/浅野忠信/キアラン・ハインズ/リーアム・ニーソン/窪塚洋介/イッセー尾形/塚本晋也

【あらすじ】
17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、若き宣教師のロドリゴとガルペは日本にやってくる。


【感想】
 ようやく今年の劇場1本目
先日帰省の際、原作をゲットしたので読んでからと思っていたんですが、昼間の上映最終日ということで、慌てて観てきました。

隠れキリシタンが迫害を受けた江戸時代初期の日本を舞台に、信仰と向き合う若きポルトガル人宣教師の姿を描くマーティン・スコセッシ作品です。

「踏み絵」や「隠れキリシタン」というのは日本史の授業でも教わったことですけど
幕府による迫害の実態についてはイメージできなくて、ちゃんと習ったんだっけ?

本作は残忍な迫害シーンもたっぷり。信仰に篤そうなお年寄り夫婦とかに交じっての鑑賞だもので、キリスト教徒でもない日本人の私としては、ちょっと肩身の狭いものがありました。
『レイルウェイ 運命の旅路』の時の感覚にも近いもの。

もちろん段々には、これは「真の信仰とは」を問う映画だとわかって来るので、日本人としての肩身の狭さは薄れてはきます。
幕府に迫害されながらも、懸命に信仰を全うしようとする姿に心を打たれるのもあります。
出てくる隠れキリシタンたちは外観はうす汚れてはいても、心の清純さを感じさせるんですよね。
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そんな中、目を引くのが窪塚洋介演じるキチジロー。
インタビューでは自らを「踏み絵マスター」と称してましたがw他の信者が踏み絵を頑なに拒む中、彼は何度も踏み絵をする(笑)
でも軟弱なのに、それでも神にすがることをやめない=信仰を捨てないところに柳のような強さがあるんですね。キチジローが登場すると会場に笑いが起きたりして、裏切者でもどこか憎めない存在となっているのは窪塚のうまさかな。救いを求めようとするキチジローの存在が宣教師の信仰心を保たせることにもなっていたことを思うと、彼は完全にキーパーソンでした。

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個人的にツボだったのはイッセー尾形ですね。
一つ一つの動作に計算しつくされた可笑しみや、時には怖さがあって、和製クリストフ・ヴァルツとお呼びしたい。
塚本晋也もよかったんですが、私には英語がわかり難かったのが残念。
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ガーフィールド君ももちろん熱演で、宣教師の葛藤は観ていて辛くなるほど伝わりました。
神父さんと思しき方々の感想をyoutubeで聴いてみると、宣教師ロドリゴに対しはっきり「裏切者」と言い放つ人もいて、聖職者でも理解しがたいものがあるようす。スピリチュアルな表現をしてる部分は賛否の別れるところかも。
それでも背徳者の立場に身を置きながらも、誰かの命を救うことに生涯をかけたロドリゴの生きざまに心惹かれずにはいられません。

波の音を聞きながら崇高な気分になる、静かだけど力強い映画でした。

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【映画】ハクソ―・リッジ(原題)
2016年11月05日 (土) | 編集 |
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ハクソ―・リッジ(原題)(2016 オーストラリア・アメリカ
原題:Hacksaw Ridge 
監督:メル・ギブソン
脚本:アンドリュー・ナイト/ロバート・シェンカン/ランダル・ウォレス/グレゴリー・クロスビー
出演:アンドリュー・ガーフィールド/ヴィンス・ヴォーン/サム・ワーシントン/ヒューゴ・ウィーヴィング/テリーサ・パーマー

【あらすじ】
逃子供時代の体験から武器を持たないことを誓ったエドモンド・ドスは、入隊後も銃を手にすることを拒否する


【感想】
第二次世界大戦中の沖縄戦で、衛生兵として戦地に立ったエドモンド・ドスの活躍を描く実話ベースの戦争映画です。
監督は『アポカリプト』以来10年ぶりにメガホンをとったメル・ギブソン

アンドリュー・ガーフィールド演じるエドモンド・ドスは子供の時の体験から、命の大切さを学ぶと同時に、人を傷つけることをしないと心に決めます。大人になり、入隊することになっても彼は信念を曲げず、敵を殺すためでなく仲間の命を救うため前線に行くと宣言。当然ひと悶着あるんですが・・

これはね、ものすごい映画体験でした。
予告でも手りゅう弾で吹っ飛ぶさまは描かれてますが、それだけではない地獄絵がこれでもかと繰り広げられる。
その長さと恐ろしさに「もう勘弁して!」となるけど、メル・ギブソンが許してくれるはずもなく、まぎれもないホラーを目の当たりにすることになりました。日本兵も米兵も国を守るために戦って、戦場では身を守るために相手を殺すしかないんだよなぁ。
戦争ものとあって会場はお年寄りでいっぱい。中にはご夫婦連れもいて彼らの心臓が止まるんじゃないかと心配したがな。退室者がいなかったのが不思議。
勿論沖縄戦が舞台なので、日本人としては辛く複雑な思いにもかられるんですが、ドスがひたすら仲間を救おうとする姿が痛快で感動してしまうんです。
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戦闘シーンにおけるギブソンの演出はひたすらリアルで、見せたくないものをオブラートで包むことを一切しない。
一方でドスの活躍はファンタジーと言いたくなるほどだけど、実話というのだから凄い。
神風以上に神がかりなドスを描くことは、進行に篤いメル・ギブソンならでは。
勿論、戦場の熾烈さもギブソン仕様。

共演者の中では、ドスの父を演じたヒューゴ・ウィーヴィングとドスの上司に当たるハウエル軍曹を演じたヴォンス・ヴォーンが印象的。特にヴォーンは前半はコメディ担当(笑)兵士を叱りつけながらのセリフがユーモラスで会場は笑いに包まれる。それでも戦場で指揮を執る様子はかっこよくて、初めていい役者だと感じたもんね。
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主演のガーフィールド君はどんな状況でも飄々としてユーモアを湛えているのがいいし、その誠実さに仲間が信頼を寄せていくのも気持ちがいい。テリーサ・パーマーとのラブストリーでもあります。
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ロープを縛る練習のシーンが見事な伏線となって後半に繋がるのも胸がすく。
メル・ギブソンは映画の面白味を知り尽くした人なんだと思う。

内容が内容だけに日本では物議をかもすかもしれないけど、IMDb8.7の好スコアは伊達じゃない。
間違いなく傑作です。公開して欲しいね。

ついでに本作も英国男優50人斬りに加えるとして、今回はアンドリュー君ふたたびと、隊のキャプテンとしてカッコよかったサム・ワーシントンの二人斬りだよ。

アンドリュー君とエマちゃんのカップルが一緒にオスカーノミネートされるといいな。

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【映画】ドリーム ホーム 99%を操る男たち
2016年10月20日 (木) | 編集 |
 
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ドリーム ホーム 99%を操る男たち(2014 アメリカ
原題:99 Homes
監督/脚本:ラミン・バーラニ
出演:アンドリュー・ガーフィールドマイケル・シャノン/ティム・ギニー/ノア・ロマックス/ローラ・ダーン/クランシー・ブラウン/ウェイン・ペレ

【感想
ラミン・バーラニが原作、脚本、監督を手掛けた本作は、自宅の立ち退きを命じられたシングルファーザーを主人公にしたエコノミック・ドラマです。
今年『マネー・ショート』『マネーモンスター』と観て、いまいちピンとこなかった経済音痴の私でも、これはわかりやすく、しかも身につまされました。

本日「50人斬り」の34人目の英国男優はスパイダーマンのアンドリュー・ガーフィールド

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アンドリュー演じるデニスは屋根葺きなどの建築作業員として働いていたが、不況のあおりを受け仕事が激減。
借金が返せなくなり、母と息子と暮らす持ち家からの立ち退きを余儀なくされる。

立ち退き現場に警察と現れ、冷徹に仕事を進める不動産ブローカー、リックを演じるのがインディーズ映画で抜群の存在感を見せるマイケル・シャノン。本作でも流石の演技力で悪徳ブローカーを演じてます。
デニスに自分を重ねている部分もあって、父のような兄のようなシンパシーも持っているように見える。悪なだけじゃないと思わせるところがシャノンのうまさ。
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愛する家族に家を買い戻したい一心から、憎くてたまらない男に雇われるデニスですが
手段を選ばぬやり方に戸惑いながら、大金を得るようになると次第にモラルの意識が薄れていく。
ある意味スポ根もののような見せ方で、観る者の感覚さえ翻弄する演出が凄い。

しかし利益を上げるものがいれば、その分誰かがお金を失っているわけで
やがて私たちはデニスとともに弱肉強食のアメリカ経済の仕組みを、いやというほど見せられるですよね。
デニスのジレンマとアイロニー。苦悩が似合うガーフィールドは熱演です。

共演はほかにローラ・ダーン。
欲にほだされることなく、良心を貫き通すデニスの若い母親を演じています。
家族を愛するがゆえに悪魔に心を売るデニスだけど、彼が心を取り戻す力となるのは、やはり家族の存在でしょう。

終盤起こることへの伏線も十分で、映画に漂う緊張感は半端なし。
ダレるところの全くない演出でアメリカ社会の闇を描き上げた傑作ですね。

監督はイラン系のアメリカ人。敬愛する批評家、故ロジャー・エバート氏が、「これからのアメリア映画を背負っていく最高の映画監督」と絶賛したとのことで、ラミン・バーラニ監督、要注意だわ。




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