映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】レヴェナント:蘇えりし者
2016年01月10日 (日) | 編集 |
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レヴェナント:蘇えりし者(
2015)アメリカ
原題:The Revenant
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
脚本:マーク・L・スミス/アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:レオナルド・ディカプリオ / トム・ハーディ/ ドーナル・グリーソン/ ウィル・ポールター

【あらすじ
奇跡的に一命をとりとめたグラスは、裏切ったフィッツジェラルドに復讐すべく極寒の荒野を行く。


【感想
昨年のオスカー覇者『バードマン』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の新作を観てきました。

いわゆる「西部」が生まれるもっと前の1823年、
アメリカではフランスやイギリス、スペインなどの西洋諸国や周辺国から、多くの入植者が新大陸に基盤を作るべくやってきて
混沌とした世界を生き抜いてきたんですね。
本作はそんな時代の荒涼とした雪原を舞台に、仲間への復讐を果たすべくサバイバルする男の物語。
実話として語られてるヒュー・グラスのストーリーをベースにしています。

この映画に出てくるグループは寄せ集めの軍隊みたいなんだけど、熊の皮を剥いだりしてる。
レオナルド・ディカプリオ演じるヒュー・グラスもそのメンバーで
トム・ハーディ演じるジョン・フィッツジェラルドらとともに、ドーナル・グリーソン率いる狩猟チームに所属します。、
ドーナルは『SW フォースの覚醒』でもファースト・オーダーの若き指導者を演じてたけど、出世したなぁ。

任務中にグラスが瀕死の重症を負うところから、彼の復讐とサバイバルの旅が始まります。

しかしこれ、単純にグラスの復讐モノというだけでは語れない映画でね。
もっと深いところに作り手のメッセージが込められている。
死の淵から蘇る(原題の意味です)男がサバイバルの途中で直面するのはとてつもない自然の驚異です。
でも同時に、人間はいかに自然に助けられ生きているのかにも気づかされる。
飢えや渇きを凌ぎ、ぬくもりを求め最小限の欲求を満たすために生き続けるレオの行為が
ものすごく崇高に見え、自然に感謝する気持ちさえ湧き上がるのですよ。

辛いのは、インディアンに対する残虐行為など負の歴史も目撃することになること
これはイニャリトゥ監督ならではでしょう。

撮影は『バードマン』に続いてエマニュエル・ルベツキ。
マジックアワーに集中し、自然光だけで撮ったという映像は荒涼とした雪原の厳しさを映しだし
リアルで壮絶なアクションシーンでさえも美しい。
ルベツキはオスカー3連覇もありえるかも。

リアルであるために役者の負ったリスクも大きかったはずで
みんな大変だったでしょうけど、ほぼ出ずっぱりで自然と格闘したレオの役者魂には敬服します。
これ観たらもう、レオにオスカーあげてくれって思うもんね。
何度顔を背け、息を呑んだかわからんよ。

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トムハは前半の怪力振りが好きだけど、今回は汚れ役だね。
でも彼も生きることに必死な一人のサバイバーに過ぎない。
この時代、誰もがサバイバー。移植者も原住民も、クマや自然でさえも。


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グラスがのどを負傷し、言葉を殆ど喋れないという設定もきっと意味があるのでしょう。
熊の着ぐるみ状態のレオがモフモフで可愛い・・というのは置いといてw
人間も自然を生き抜く小さな生き物に過ぎないじゃないかというね。

いろんなメッセージが伝わりますが
とにかく、壮絶で美しく、神聖さに魂を揺さぶられた。大傑作だと思います。


日本公開は4月


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【映画】『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』映像に驚き!
2014年11月12日 (水) | 編集 |


バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡 (2014)アメリカ
原題:Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン/ ザック・ガリフィナーキス/ エドワード・ノートン/ アンドレア・ライズブロー/ エイミー・ライアン/ エマ・ストーン/ ナオミ・ワッツ
日本公開:2015春
 
『21グラム』『バベル』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の新作。
かつてコミックヒーロー『バードマン』を演じ一世を風靡するも、いまや落ち目の役者が、現実と幻想のはざまで追い込まれながら舞台に再起をかける姿を描きます。



元『バードマン』俳優リーガンを演じるのは『バットマン』俳優のマイケル・キートン
キートンさんの本作の演技が絶賛されていて、まさに主人公を体現する形になるんですが
そもそもこ映画が作られたのは、監督自身の「今の自分」に対する焦燥感が根底にあった様子。
そういえば『21グラム』ほどに賞賛される映画は撮ってなかったか。
冒頭登場するくらげはまさに実態のない自分を表現しているんでしょう。
本作は監督自身の再起をかけたチャレンジといえるんでしょうね。




ほんと、凄いものを観せていただきました。
まず言われているのは全編にわたりほぼワンテイクに見える脅威の長まわしね。
実際には切れてるんでしょうけどそう見えない。
ただの会話劇ならわかるけど、本作にはスーパーナチュラルな現象やアッと驚くファンタジーまで盛り込まれてますから。いったいどうやって撮ったんだ。
と思って調べたら撮影は『ゼロ・グラビティ』でオスカーを獲ったエマニュエル・ベルツキ
やりますなぁ。

勿論素晴らしいのは映像だけではなく、オスカーの筆頭に挙げられるキートンの演技は本物です。
リーガンは役者として、父親として、夫としても見放され自分自身の存在感を無くしつつある男。
それでも過去の栄光を引きずる彼は頭の中でバードマンの声を聞く。
彼の焦燥感をスーパーナチュラルな絵でみせるため、ともすれば奇をてらった作品と見られそうだけど
未来を模索する崖っぷち男が文字通り風穴を開ける地道なドラマでもあります。

多分風穴を開けたのは監督自身でもあるんでしょう。
共演者もみんな演技者ぞろいでグッジョブ。
中でも普段ふざけた役の多い ザック・ガリフィナーキスがとっても良かったのはサプライズでした。


妄想?現実?
きっとそんなのどうでもいい。
最初は不安を煽っていたBGM代わりのドラムの音にも次第に力が沸き
その気になれば私たちは何だってできるんだよ! そんなメッセージが聞こえる作品です。