映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】『手紙は憶えている』認知症ナチハンター 復讐の旅路の果てに・・
2016年07月27日 (水) | 編集 |
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手紙は憶えている(
2015) カナダ/ドイツ
原題:Remember
監督:アトム・エゴヤン
脚本:ベンジャミン・オーガスト
出演:クリストファー・プラマー  /マーティン・ランドー/ヘンリー・ツェーニー /ブルーノ・ガンツ 
日本公開:2016/10/28 

【あらすじ 
老人ホームに暮らすゼフ(クリストファー・プラマー)はあるミッションを遂行するためホームを抜け出した

【感想
アトム・エゴヤン監督の新作は、ある老人の復讐の旅路を描くサスペンス・ドラマです。

クリストファー・プラマー演じるゼヴはアメリカの老人ホームに暮らすお年寄り。
腕の数字の入れ墨から彼がホロコーストの生存者であることがうかがえます。
妻を亡くして一週間経ってもまだ朝起きると妻を探してしまうほどの認知症を患うゼヴですが
彼は老人ホームを抜け出し、あるミッションを遂行する旅に出る。
家族を殺したナチスドイツの残党に復讐しようとしているのです。


制作年の2015年は戦後70年の節目。
終戦時、20歳だった人ももう90歳。幹部級のナチス残党ともなれば100歳は超える計算になるわけで、
リアルタイムのナチスハンターを描くこういう映画が作られるのも、もうほとんど最後でしょうね。

ゼヴもまた90歳という高齢で、認知症を患う彼は、どうして見知らぬホテルにいるのか、自分が何をしているのかさえもわからない。そんなゼヴはホーム仲間であり、同じアウシュヴィッツの生存者のマックス((マーティン・ランドー)に渡された手紙を読み、腕の入れ墨を目にすることでかろうじてミッションを自覚しているというのが面白いところ。
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つまりゼヴは自分の「恨み」の気持ちの実態を持たぬまま復讐を実行しようとしている。
アイデンティティの不確かさというのが映画のカギですね。

被害者と加害者の両方の思いを伝えつつノワールで終わらせ
でも気づけば見事に復讐を完結させているんだから、見事としか言いようがない。

9 Christopher Plummer - Remember 


人間、忘れることは幸せなこともあるかもしれない
あるいは知らないままでいたいこともある

タイトルの「リメンバー」が深く切ない余韻を残す傑作です。

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プラマー様のピアノも聴けるよ




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【映画】 デヴィルズ・ノット(原題):メンフィスの猟奇殺人事件を実録で追う
2014年06月17日 (火) | 編集 |


デヴィルズ・ノット(原題)(2013)アメリカ
原題:Devil's Knot
監督:アトム・エゴヤン
出演:リース・ウィザースプーン/コリン・ファース/デーン・デハーン/ジェームズ・ヘムリック/アレッサンドロ・ニヴォラ
日本公開:
 
1993年、アーカンソーのウェスト・メンフィスで3人の子供が行方不明になったあと、川底から死体となって発見された。まもなく容疑者として3人のティーンエイジャーが浮上するが・・

アーカンソーで起きたウェスト・メンフィス3という事件をもとにした実話ベースのクライム・ドラマです。

実は、「悪魔信仰に興じる若者が3人の子供を猟奇的に殺した作品」くらいの情報で、裏ブログの「背筋が寒くなる映画特集」用にチョイスしたんですが、開けてみたら悪魔が出てくるホラーじゃなかった(笑)
なんと有名な事件の裁判を描く作品だったんですね。あてが外れたけど興味深く観ました。

メガホンを取ったのは『スウィート・ヒア・アフター』のカナダの名匠アトム・エゴヤン
この事件、1996年に『パラダイス・ロスト』という3部作のドキュメンタリーが制作されていて、監督もそれに衝撃を受けて、映画にしようと思ったんだとか。




この事件は冤罪とも言われてるんですが、監督が本作でやろうとしたのは、被害者の母親、私立捜査官、死刑を宣告された容疑者のダミアンを中心にドラマ部分を強調しつつ、事件の異常性を明確にすることでしょうか。




リース・ウィザースプーン演じるパムは被害者の母親であると同時に真犯人(確定ではないですが)に繋がるキーパーソン。しかしまぁ、だらんと大きな胸にユルめの服装でいかにも田舎の労働階級の女性という風のリースには驚きましたが妊娠中だったんですね。
コリン・ファース演じる捜査官ロンが実在の人物なのか、架空の人物なのかはちょっと不明です(調べてません)が、警察の粗を浮き彫りにする役割を担ってました。

映画サイトなど観てみると、ドキュメンタリーで描かれているものを新たに映画にする意味がわからんという意見が大半で、助長、ダルいという感想が多いのね。実際20年経った今も事件は完全に解決しておらず、新しい作品に真相を求めた人には期待はずれに映ったようです。



逮捕された3人がハードロックを好む若者で、悪魔信仰に興味を持っていたり黒を好んで着ており、信仰深い田舎町では異端の存在。それが彼らを犯人に結びつける材料になったようで、事件はもはや魔女裁判の様相なのが個人的には面白かった。

ま、しかしエンドロールで真犯人を匂わすだけというのは、ミステリーとしては物足りなさが残ります。
こうなったら真相を知りたいですから。デーン・デハーン君はなんだったんだとか色々中途半端なんですよね。
仕方ないんでしょうけど。
2012年に製作されたピーター・ジャクソン製作のドキュメンタリー『West of Memphis』が評判いいみたいなので観てみよう。主犯として死刑を宣告された(2011年に全員釈放)ダミアンが製作に加わっているのも興味深いですしね。