映画の感想や好きな俳優の情報を発信します。新作以外はネタバレあり。
【映画】パラダイスの夕暮れ
2017年07月12日 (水) | 編集 |
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 パラダイスの夕暮れ(1986フィンランド
英題:Shadows in Paradise 
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マッティ・ペロンパー/カティ・オウティネン/サカリ・クオスマネン/エスコ・ニッカリ
【あらすじ】
仲間の死によって独立の道を断たれた、ゴミ収集車の運転手ニカンデル。スーパーのレジ係イロナに恋をした彼は、彼女をデートに誘ったものの、ビンゴ会場に連れて行ってしまい大失敗。ところが、仕事をクビになったイロナが彼のもとに転がり込んでくる。2人の関係はうまくいったかのように見えたが……。


【感想】
アキ・カウリスマキ監督の長編三作目。
めずらしくテレビでかかったので観ました。

ゴミ収集車の運転手ニカンデルとスーパーのレジ係(をクビになる)イロナ
ともに明日に希望を見出せない、労働階級の孤独な中年同士の出会いと恋の行く末を描くドラマです。

カウリスマキ作品は沢山は観てないんですけど
いわゆる人生の負け犬的な労働者階級の人々が不思議な可笑しみと哀愁を漂わせるのが特徴ですね。

主人公のニカンデルも車を修理すれば手に怪我をするし、同僚から一緒に新しい仕事を始めないかと持ち掛けられたと思えば、同僚はあっさり現場で死んで独立話はおじゃんになる。
その場から野良犬が勢いよく走り去る姿に、ニカンデルのかすかな夢が凄い勢いで消え去るさまを重ね、切ないやら可笑しいやら。

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落胆しレストランで暴れて挙句牢屋に入れられたりと、ツイテないことこの上ないニカンデルだけど、修理の時に怪我をしたから、スーパーのレジ係のイロナと接近できたんだし、牢屋に入ったから新しい友人もできた。
悪いことがあれば、いいこともあるよ というところにカウリスマキのやさしさを感じます。

しなしながら負け犬人生が長くなると、人は勇気を失くしてしまう。
ふがいない自分をわかっているだけに、ふがいなさを指摘されることが辛いんだな。
でも彼は友人に背中を押してもらって少しの勇気を振り絞る
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つましいながらも、きっちりしてこぎれいな暮らしぶりと仕事に対しても真面目な姿勢に
彼はその気になれば絶対に頑張れる人だと思えるのもいい。
だからダメもとでもやってみればいいよねというラストシーンに、涙がにじんだし幸せな気持ちにもなった。
友人の運転する清掃車だって、私にはリムジンに見えたしね。

初期にしてすでにほぼ完成していたと思えるペーソス溢れる作風
途中流れる音楽にもどこかノスタルジックで、やっぱりカウリスマキ監督いいわ。

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港町の人情寓話『ル・アーヴルの靴みがき』
2012年08月17日 (金) | 編集 |
ヨーロッパ映画強化月間でして、
今日はアキ・カウリスマキ監督がフランスを舞台に描く港町人情劇です。





ル・アーヴルの靴みがき
2011年(フィンランド・フランス・ドイツ)
原題:
Le Havre
監督:アキ・カウリスマキ
出演:アンドレ・ウィルムカティ・オウティネンジャン=ピエール・ダルッサン
ブロンダン・ミゲル



アンドレ・ウィルム演じるマルセルは、北フランスの港町ル・アーブルの駅前で
靴磨きを生業にする初老の男。
妻アルレッティ(カティ・オウティネン)と愛犬ライカとともに、つましく暮らすある日、
港に不法移民が乗ったコンテナが漂着。
マルセルは港に潜伏する移民の黒人少年と出会う。





最初にこの映画の話を聞いたときには、アキ監督がフランスを舞台に、
しかも移民問題を絡めてることに少し驚いたのだけど
固い社会派な作品に仕上げているわけではなく
監督らしいペーソスは健在で、下町の人情をにじませてくれているのが嬉しい。

それでもあえて移民問題を題材にしているところに監督のメッセージが感じられる。
登場人物の中ではベトナムからの移民の青年が
アイディンティティを偽って今の暮らしがあるのだと語るシーンがある。
けれど、どうやら港町の他の面々も、
マルセルはじめどこかからの移民なのかなぁと感じる風情。

だからこそ、終盤、急展開で繰り広げられるドタバタ劇が一層楽しく
感動的なまでに温かい。

人の靴を磨くのが仕事なのに、自分の靴は埃まみれ。
そんな夫の靴を、夜に黙々と磨くのは妻のアルレッティ。
家賃を払うことはできない貧しさの中でも
夫が酒場に集わせる妻もなんだか粋だし
移民少年のためにサンドイッチの袋の中にお金をしのばせる
マルセルも優しい。

けれど、この映画は末期の病を告げられた妻の描き方がそうであるように
非現実的ともいえるもので、
監督にしてみれば、移民青年を助けるこの下町の人情劇さえも
寓話に過ぎないということなとなのでしょう。

せめて映画の中だけでも、こんな人情劇があってもいいじゃないか。
そう思うとちょっぴり切ないけれど
一切の無駄を省き、究極の人情を描きあげる本作に、
監督の熟練味を感じますねぇ。
アキ監督の世界、たまりません。

★★★★☆